68 / 116
67話
しおりを挟む
レイモンド殿下のエスコートで馬車に乗った。馬車の中でレイモンド殿下は黙ったまま私の顔をじっと見つめた。
「殿下……どうなさいました?」
「………うん?あ……ああ……レイン、君はカイ殿にもらった小瓶はまだ持っているの?」
「知っていらっしゃったんですね。はい……お守りなのでずっと持ち歩いております」
カイさんとレイモンド殿下は色々話をしているのかしら?
「うん、そっかぁ、迷わず身の危険を感じたら使うんだよ」
とても優しく微笑む殿下の顔はなぜか少しだけ辛そうにみえた。
どうしたんだろう………
馬車の揺れがとても気持ちがいい。
王城は侯爵家から馬車ですぐに着く。ただ、城内に入ってからの方が会場まで着くのに時間がかかる。
朝から忙しなく準備に追われ疲れたのかしら?
とても眠たい……ウトウトとしてはいけないのに……
耳元で「レイン、ごめん」と聞き慣れた声が聞こえた。
ごめんってなに?
何もされていないのに……ただ、眠いだけ……
冷たい。
頬に冷たい水が落ちてきた。
目を開けると真っ暗な……部屋?物置?よくわからないけどジメジメした床に寝かされていた。
「さ、寒い」
薄いドレスしか着ていない。肌寒く、暗い部屋を目を凝らしてみた。
窓はなくジメジメとした部屋は、おそらく地下ではないかと思われる。
殿下はどうしているのだろう?
今は……どのくらいの時間が経ったのだろう。
怖いのに、なぜか冷静に今の状況を考えることができる自分がいた。
カイさんに何度も何かあるといけないから気をつけろと言われていたからかしら?
だけど……殿下は大丈夫なのかな?
ここには今誰もいない。
「誰か……いませんか?」
声が響いていた。やはり地下に閉じ込められているような気がする。
「寒い……」
どうしよう、助けに来てくれそうな人はいないわよね。
私の人生っていつもこんなふうに巻き込まれてばかりなのよね。
リドラー伯爵もいなくなってカリーナ様に狙われることもなくなって少しだけ安心していたのに。
殿下まで巻き込まれて、なんとお詫びしたらいいのかしら?
「はあ……これからどうしようかしら?」
のんびりため息を吐きながらも暗さに目が慣れてきたので周りを観察した。
頑丈な木の扉があるけど、何も置かれていない石で作られた地下室のようだ。
換気用に壁に穴のようなものが空いていてそこから月明かりなのかほんの少し外の灯りが入ってきていた。
何もない床に座り込んでいるとさらに体が寒くなる。
仕方なく体を動かすことにした。
柔軟体操をして少しでも体を温めていると扉を開ける音がした。
灯のランプを持った男が数人現れた。
「ほお、元気なご令嬢だね」
私の方へと灯りを向け、なんともいやらしい目つきで私の体をなめるように見た。
気持ち悪い!!
思わず声に出そうになるのをグッと堪えた。
後ろにいる男たちもニヤニヤと笑っている。
よく見ると一人の男は……
「え?嘘………貴方は……宰相…様?」
どうしてここに?
混乱する私に宰相は舐め回すようにいやらしい目でもう一度私を見た。
「驚いた顔も美しいな。最近はその紫の瞳を隠してしまってとても寂しいと思っていたんだ」
「な、何を……言ってるのですか?」
「ずっと君を私のコレクションとして欲しかったんだ。一度失敗してからはなかなか侯爵の守りが堅くて君を私のものにできなかったんだ」
「…………??」
「忘れたのかい?ああ、記憶をなくしたんだったな。あの馬車の事故で。
君の両親は頭から血を流して死にかけていたな。君を隠そうとするからバチが当たったんだ、御者達がわざと馬車の事故を起こした。御者達は君の両親と兄上を殺して君だけは殺さなかった。それは私がそう命令したからだ。なのにあの男達は君を殺すか奴隷商に売ろうと考えた、顔を見られたから」
「…………どうして?なぜ両親を殺さないといけなかったの?」
…………思い出した………
私は……忘れていたことを全て思い出した。
憎き男達のことを!
あの大雨の日、御者のおじちゃんと知らないおじちゃん達が私を殺すか売ろうと言っていた。私が顔を見てしまったから。
そこにやってきたのが、この男……宰相だった。そしておじちゃん達と揉めて周りにいた人たちがおじちゃん達を殴りつけ私を連れ去ろうとした。
兄様は大怪我をしているのに、必死で止めようとして殴られた。
『にいさま!!』
泣きじゃくる私は何もできなくて雨の中震えていた。にいさまに駆け寄ろうとしたけど阻止されて……私は絶望の中、意識朦朧となり……諦めて気を失った。
その後お義父様に助けられた?
「必要だったのは紫の瞳を持った君だけだ、他は邪魔でしかなかった。なのに金を渡したのにあの男達は君に顔を見られたと怯んで慌てて殺すか売ろうと言い出した。ちょうど引き取りに行った私はそこで揉めてしまった。揉めさえしなければ君は私のものだった。すぐにあの男達を殺そうとしたんだが、そこにバイセム侯爵と騎士達がやってきたので仕方なく君を放置して身を隠したんだ」
「酷い……」
「何が酷い?君がその瞳を持って生まれたことの方が酷いことだろう?その瞳がどれだけの価値があると思っているんだ?バイセム侯爵のところの娘の瞳は多少魅力的だったが、何度か犯して仕舞えば面白みもなくつまらない娘だった」
唾をぺっと吐き捨てた。
「そんな時本物の紫の瞳を持つ少女がモリス国にいると耳にした。そして私が攫った娘のバイセム侯爵家に身を隠すと聞いた。
ははは、面白い話だろう?
バイセム侯爵は私が自分の娘を攫って犯した犯人だと知らずに態々陛下に報告に来たんだ、セーラ・シトラーとデュオス・シトラーを匿うとね、セーラは紫の瞳を持つ少女なので何があっても守らなければいけないと言ってたんだ」
「貴方は狂ってるわ」
腹が立った。なぜ?この男のせいで私の……人生は狂った。両親だって死ななくてすんだはずなのに……
「当たり前だろう?ずっと手に入れたくてなんとか手に入れようとしたのに、バイセム侯爵は君を常に守ってあまり外に出そうとしなかった。学園にいる間も君は隠れて護衛がつけられていた。手を出したくてもたくさんの学生がいるから攫うことができない、文官になって私の近くに来たんだ、やっと私のものにできると思ったらレイモンド殿下が君の上司として常にそばにいるし、外務部の奴らが君を守っていた」
私はそんなに守られていたの?気づかなかった……お父様は私が狙われていたことはご存知だった、でも宰相のことは?
「今回はレイモンド殿下と取引をしたんだ」
「取引?殿下と?」
どういうこと?
私は……殿下に……嘘?どうして?
「殿下……どうなさいました?」
「………うん?あ……ああ……レイン、君はカイ殿にもらった小瓶はまだ持っているの?」
「知っていらっしゃったんですね。はい……お守りなのでずっと持ち歩いております」
カイさんとレイモンド殿下は色々話をしているのかしら?
「うん、そっかぁ、迷わず身の危険を感じたら使うんだよ」
とても優しく微笑む殿下の顔はなぜか少しだけ辛そうにみえた。
どうしたんだろう………
馬車の揺れがとても気持ちがいい。
王城は侯爵家から馬車ですぐに着く。ただ、城内に入ってからの方が会場まで着くのに時間がかかる。
朝から忙しなく準備に追われ疲れたのかしら?
とても眠たい……ウトウトとしてはいけないのに……
耳元で「レイン、ごめん」と聞き慣れた声が聞こえた。
ごめんってなに?
何もされていないのに……ただ、眠いだけ……
冷たい。
頬に冷たい水が落ちてきた。
目を開けると真っ暗な……部屋?物置?よくわからないけどジメジメした床に寝かされていた。
「さ、寒い」
薄いドレスしか着ていない。肌寒く、暗い部屋を目を凝らしてみた。
窓はなくジメジメとした部屋は、おそらく地下ではないかと思われる。
殿下はどうしているのだろう?
今は……どのくらいの時間が経ったのだろう。
怖いのに、なぜか冷静に今の状況を考えることができる自分がいた。
カイさんに何度も何かあるといけないから気をつけろと言われていたからかしら?
だけど……殿下は大丈夫なのかな?
ここには今誰もいない。
「誰か……いませんか?」
声が響いていた。やはり地下に閉じ込められているような気がする。
「寒い……」
どうしよう、助けに来てくれそうな人はいないわよね。
私の人生っていつもこんなふうに巻き込まれてばかりなのよね。
リドラー伯爵もいなくなってカリーナ様に狙われることもなくなって少しだけ安心していたのに。
殿下まで巻き込まれて、なんとお詫びしたらいいのかしら?
「はあ……これからどうしようかしら?」
のんびりため息を吐きながらも暗さに目が慣れてきたので周りを観察した。
頑丈な木の扉があるけど、何も置かれていない石で作られた地下室のようだ。
換気用に壁に穴のようなものが空いていてそこから月明かりなのかほんの少し外の灯りが入ってきていた。
何もない床に座り込んでいるとさらに体が寒くなる。
仕方なく体を動かすことにした。
柔軟体操をして少しでも体を温めていると扉を開ける音がした。
灯のランプを持った男が数人現れた。
「ほお、元気なご令嬢だね」
私の方へと灯りを向け、なんともいやらしい目つきで私の体をなめるように見た。
気持ち悪い!!
思わず声に出そうになるのをグッと堪えた。
後ろにいる男たちもニヤニヤと笑っている。
よく見ると一人の男は……
「え?嘘………貴方は……宰相…様?」
どうしてここに?
混乱する私に宰相は舐め回すようにいやらしい目でもう一度私を見た。
「驚いた顔も美しいな。最近はその紫の瞳を隠してしまってとても寂しいと思っていたんだ」
「な、何を……言ってるのですか?」
「ずっと君を私のコレクションとして欲しかったんだ。一度失敗してからはなかなか侯爵の守りが堅くて君を私のものにできなかったんだ」
「…………??」
「忘れたのかい?ああ、記憶をなくしたんだったな。あの馬車の事故で。
君の両親は頭から血を流して死にかけていたな。君を隠そうとするからバチが当たったんだ、御者達がわざと馬車の事故を起こした。御者達は君の両親と兄上を殺して君だけは殺さなかった。それは私がそう命令したからだ。なのにあの男達は君を殺すか奴隷商に売ろうと考えた、顔を見られたから」
「…………どうして?なぜ両親を殺さないといけなかったの?」
…………思い出した………
私は……忘れていたことを全て思い出した。
憎き男達のことを!
あの大雨の日、御者のおじちゃんと知らないおじちゃん達が私を殺すか売ろうと言っていた。私が顔を見てしまったから。
そこにやってきたのが、この男……宰相だった。そしておじちゃん達と揉めて周りにいた人たちがおじちゃん達を殴りつけ私を連れ去ろうとした。
兄様は大怪我をしているのに、必死で止めようとして殴られた。
『にいさま!!』
泣きじゃくる私は何もできなくて雨の中震えていた。にいさまに駆け寄ろうとしたけど阻止されて……私は絶望の中、意識朦朧となり……諦めて気を失った。
その後お義父様に助けられた?
「必要だったのは紫の瞳を持った君だけだ、他は邪魔でしかなかった。なのに金を渡したのにあの男達は君に顔を見られたと怯んで慌てて殺すか売ろうと言い出した。ちょうど引き取りに行った私はそこで揉めてしまった。揉めさえしなければ君は私のものだった。すぐにあの男達を殺そうとしたんだが、そこにバイセム侯爵と騎士達がやってきたので仕方なく君を放置して身を隠したんだ」
「酷い……」
「何が酷い?君がその瞳を持って生まれたことの方が酷いことだろう?その瞳がどれだけの価値があると思っているんだ?バイセム侯爵のところの娘の瞳は多少魅力的だったが、何度か犯して仕舞えば面白みもなくつまらない娘だった」
唾をぺっと吐き捨てた。
「そんな時本物の紫の瞳を持つ少女がモリス国にいると耳にした。そして私が攫った娘のバイセム侯爵家に身を隠すと聞いた。
ははは、面白い話だろう?
バイセム侯爵は私が自分の娘を攫って犯した犯人だと知らずに態々陛下に報告に来たんだ、セーラ・シトラーとデュオス・シトラーを匿うとね、セーラは紫の瞳を持つ少女なので何があっても守らなければいけないと言ってたんだ」
「貴方は狂ってるわ」
腹が立った。なぜ?この男のせいで私の……人生は狂った。両親だって死ななくてすんだはずなのに……
「当たり前だろう?ずっと手に入れたくてなんとか手に入れようとしたのに、バイセム侯爵は君を常に守ってあまり外に出そうとしなかった。学園にいる間も君は隠れて護衛がつけられていた。手を出したくてもたくさんの学生がいるから攫うことができない、文官になって私の近くに来たんだ、やっと私のものにできると思ったらレイモンド殿下が君の上司として常にそばにいるし、外務部の奴らが君を守っていた」
私はそんなに守られていたの?気づかなかった……お父様は私が狙われていたことはご存知だった、でも宰相のことは?
「今回はレイモンド殿下と取引をしたんだ」
「取引?殿下と?」
どういうこと?
私は……殿下に……嘘?どうして?
1,260
あなたにおすすめの小説
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)
青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。
だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。
けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。
「なぜですか?」
「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」
イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの?
これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない)
因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。
『外見しか見なかったあなたへ。私はもう、選ぶ側です』
鷹 綾
恋愛
「お前のようなガキは嫌いだ」
幼く見える容姿を理由に、婚約者ライオネルから一方的に婚約を破棄された
公爵令嬢シルフィーネ・エルフィンベルク。
その夜、嫉妬に狂った伯爵令嬢に突き落とされ、
彼女は一年もの間、意識不明の重体に陥る――。
目を覚ました彼女は、大人びた美貌を手に入れていた。
だが、中身は何ひとつ変わっていない。
にもかかわらず、
かつて彼女を「幼すぎる」と切り捨てた元婚約者は態度を一変させ、
「やり直したい」とすり寄ってくる。
「見かけが変わっても、中身は同じです。
それでもあなたは、私の外見しか見ていなかったのですね?」
静かにそう告げ、シルフィーネは過去を見限る。
やがて彼女に興味を示したのは、
隣国ノルディアの王太子エドワルド。
彼が見ていたのは、美貌ではなく――
対話し、考え、異論を述べる彼女の“在り方”だった。
これは、
外見で価値を決められた令嬢が、
「選ばれる人生」をやめ、
自分の意思で未来を選び直す物語。
静かなざまぁと、
対等な関係から始まる大人の恋。
そして――
自分の人生を、自分の言葉で生きるための物語。
---
(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・
青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。
「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」
私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・
異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。
結婚十年目の夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。彼は「送り間違えた」というけれど、それはそれで問題なのでは?
ぽんた
恋愛
レミ・マカリスター侯爵夫人は、夫と政略結婚をして十年目。侯爵夫人として、義父母の介護や領地経営その他もろもろを完ぺきにこなしている。そんなある日、王都に住む夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。義弟を通じ、夫を追求するも夫は「送り間違えた。ほんとうは金を送れというメモを送りたかった」という。レミは、心から思った。「それはそれで問題なのでは?」、と。そして、彼女の夫にたいするざまぁがはじまる。
※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
白い結婚を終えて自由に生きてまいります
なか
恋愛
––アロルド、私は貴方が結婚初日に告げた言葉を今でも覚えている。
忘れもしない、あの時貴方は確かにこう言った。
「初めに言っておく、俺達の婚姻関係は白い結婚として……この関係は三年間のみとする」
「白い結婚ですか?」
「実は俺には……他に愛する女性がいる」
それは「公爵家の令嬢との問題」を理由に、三年間だけの白い結婚を強いるもの。
私の意思を無視して三家が取り決めたものであったが、私は冷静に合意を決めた
――それは自由を得るため、そして『私自身の秘密を隠すため』の計算でもあった。
ところが、三年の終わりが近づいたとき、アロルドは突然告白する。「この三年間で君しか見えなくなった。白い結婚の約束をなかったことにしてくれ」と。
「セシーリア、頼む……どうか、どうか白い結婚の合意を無かった事にしてくれ」
アロルド、貴方は何を言い出すの?
なにを言っているか、分かっているの?
「俺には君しかいないと、この三年間で分かったんだ」
私の答えは決まっていた。
受け入れられるはずがない。
自由のため、私の秘密を守るため、貴方の戯言に付き合う気はなかった。
◇◇◇
設定はゆるめです。
とても強い主人公が自由に暮らすお話となります。
もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる