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第11話 魔法の練習

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翌日、思わぬ事態が起こった。

昨日魔法の練習をすると決めた時は、深く考えていなかったけど...練習場所までどうやって移動するの?


マンガやラノベとかだと気付いたら移動してるけど...


屋敷の敷地横断するだけでもかなりの距離だし..。


屋敷の敷地横断してる途中で、絶対家の人間の誰かしらに見つかるよね?見つかってしまったらコッソリ練習する意味...。

ないね。

何で昨日の時点で気付かなかったの...。


しかも、常にご令嬢が部屋にひとりぼっち...なんてよく考えたらあるわけないよね?

必ず使用人が誰かしら側にいるよね?
じゃないと隙だらけだもの...。


作戦失敗かなぁ....。


ステラに事情を話して別の案を考えよう?って言ったらすんなり解決した。


「じゃあ身代わりに自分のコピーを置いて行けばいいし、あそこまでなら短距離転移の魔法使えばいいじゃん!ほら簡単でしょ?」


この子簡単に言い切った!


私今から魔法習うんだが?だが??
わかってるよね??

簡単に言わないでよぉぉぉ。


「じゃあまずエリーゼのコピー作ろっか。」

ご飯作ろっか?ぐらいの簡単なノリで言わないでぇ...。

しかも初魔法が自分のコピー...。

ええい!やったるわ!!
ここまで来たらヤケじゃ....!!


「 まずは、ゆっくり頭の中で、もう1人の自分を想像して?それでこう...ポーンと産み出すイメージ!産み出すイメージの時に「コピー!」って言うの。やってみて?」

随分アバウトすぎない??
本当にステラに習うの大丈夫かな...。



そんな単純に...


出来たわ...。

本当にポーンって何か出た。


これはこれで何かショック。
確実に、私の中の何かが失われた気がする...。


私の初魔法がぁぁぁ....。

初魔法はもっとこうカッコいい魔法が良かった...。



そして...もう1人の自分を改めて見ると、本当に転生したんだなって実感した。


もうこの姿は、前世とは全く異なるんだろう。

前世の日本に、こんな見事なプラチナブロンドの髪の美少女いないもんね。

目も曇りのない、綺麗なブルーだし。
髪も癖のないサラサラのストレート。


もうそこに前世の私は居ないんだ。
そう思ったら...少しだけ胸の奥がツキンと痛んだ。


その瞬間、悲しげな表情の黒髪の少年が一瞬だけ頭に浮かんだ。


今のは....誰??


今の少年を思い出そうとすると頭が痛くなった。

どうやら前世に関わる人間のようだ。


悲しげな表情の少年を思い出すと胸が張り裂けそうに痛む。


何これ...。
勝手に涙が溢れてくる...。

彼は一体誰なんだろう...。


そしてどうして私は死んだんだっけ...?

転生したのは前の私が亡くなったから...。


私が手離した記憶。
何がそんなに前世の私を苦しめたんだろう...。


でもわかるのは...私は過去を捨て、“今”を選んだ。
幸せになるために。


そう...私はこの世界で幸せになるんだ。

私は考えを振り切るように、フルフルと頭を振った。


突然涙を流したエリーゼを、心配そうにステラが見ていた。


( 大丈夫だよエリーゼ。ステラがエリーゼを守るから。エリーゼは絶対幸せになれる...だから泣かないで。この世界で絶対に幸せになろうね。)


ステラは神様とずっとエリーゼを...綾を見ていたのだ。

だからステラは、この世界へ行く綾に付き添わせてほしいと神様に頼んだ。

彼女に楽しい世界を知ってほしかったのだ。

世界はこんなに広くて、綺麗で冒険に溢れているのだから...。

綾の知らない世界を彼女に見せたかった。

今度こそ...心から綾に笑ってほしい。
ステラは、この世界に一緒に来る時にそう誓った。


「 コピーは無事に出来たね?じゃあ次はあそこまで移動しよう!」


ステラはわざと明るく言った。
もう過去に捕らわれて欲しくないから。


「 次はあそこへ行きたいと強く心の中で念じてみて?ちゃんとあの場所を見て、強く行きたいと念じるんだ。さあやってみて?」


私はステラが言ったように念じた。


すると、体がポカポカと暖かくなり...
次の瞬間、念じた場所に移動していた。


「 短距離転移は、行ったことない場所でも、目で見える範囲なら、どこへでも行ける。逆に長距離は行ったことのある場所しか行けないの。でも両方とも、今みたいに強く念じるんだ。覚えておいてね。」


初めての転移...。
今のはちょっと魔法っぽかった。


魔法楽しい!!


移動が終わるとステラが元の姿に戻った。

大きい...。
それに美しい。

白銀に輝く鱗にアイスブルーの瞳。
広げた翼も大きく輝いている。


スマートな美しいドラゴンの姿...とても幻想的な光景に私は息を飲んだ。

これぞファンタジー!!
私の憧れの世界。最高すぎる!!!

私がステラを撫でると、ステラは嬉しそうにキュウっと鳴いた。

それから私達はひたすら魔法の練習をした。

この世界の魔法は想像力が大事らしい。

転生者に魔法に優れた者が多いのは、前世でアニメやマンガを見慣れているからだろう...。

映画や小説など...想像力に富んでいるのだ。

イメージをするのが上手いのだろう。

実際イメージすると、その通りの魔法を発現することが出来た。

ただ維持をするのと威力の調整はちょっと大変だったけど...初めて魔法を使ったが、それほど難しいことはなかった。

練習や応用次第でもっと精密に使えるだろう。
何事も練習が大事ということだ。


初めての魔法はすごく楽しかった。


時間がある時はこの場所でたくさん練習しよう。





















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