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第一章 ロードライトの令嬢
46 それは、脅迫にも似た
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「お前は、誰だ?」
そう、彼に問いかけられて。
彼の蒼い瞳を少しの間見つめた後、わたしは静かに目を閉じた。
――誤魔化しには、意味がないだろう。
この兄がどれだけ妹のことを見つめてきたか、わたしは身をもって知っている。
彼は確信持って、わたしに問いかけているのだろうし。
ならば誠意を返すことが、わたしに出来る精一杯だ。
「……演技を、しても良かったんですけど」
彼の指先が、そっとわたしの頬を撫でる。
わたしは、静かに目を開けた。
演技をしようと思えば、そんなものは簡単に出来た。
かつてのリッカの記憶通りに振る舞うことは、わたしにとって造作もないことだったから。
ただ、訪れる痛みと熱に耐えて、耐えて、耐えて……耐え疲れて、ぐったりしたその疲労感と共に、ベッドで倒れているだけでいいのだから。
どこかに行ったり、誰かと話したり、そんな行動ができるような元気なんてない。
生きる希望? そんなもの、どこを探したってある訳がない。
ロクに動かない虚弱な身体。
高熱で思考は溶かされて、物事を深く考える余裕なんてものもない。
いつ襲い来るかも知れない痛みにビクビクしながら本のページを捲っても、頭に入る筈もない。
何がどこに書いてあったかまで、全て憶えてしまった数冊の絵本。
一度ルールを理解してしまえば、何度だって遊べるボードゲーム。
リッカにとっては、それらが精一杯だったのだ。
それでも、精一杯、生きたのだ。
未来なんて夢見たことがない。
それが自分にもあるなんて、考えたことすらなかった。
希望の持ち方も、夢の見かたも分からない。
リッカにとって、ただただ、大事だったのは。
ただ、ただ、光だったのは――リッカにとって、それこそ『生きる希望』であったのは――
「それでは――改めまして、オブシディアン様。わたし、九条六花と言う者です」
希望を見据えて、わたしは言う。
「簡単に言えば、あなたの妹の前世のようなものですよ」
◇ ◆ ◇
『ゼロイズム・ナイン』――九条六花が死ぬ直前にプレイしていたゲームのオチを、わたしはクリア前に知っていた。
オブシディアン・ロードライトがどんな最期を迎えるのかを、わたしは事前に予感していた。
『ゼロナイ オブシディアン 死』【検索】
…
……
………
「みな@試験までツイ禁中 @minyaa** 10月24日
@yuc***ca あたしもゼロナイのオブシディアン様が死ぬところまで進めたよ~!途中ちょっとダレたけど後半一気にやり込んじゃった ゆっか今裏ダン?通話しよ」
「カルナはゼロナイを始めたようです @real_ga_koi** 10月23日
【ネタバレより伏】全クリした後しばらく考えてたんだけど……オブシディアンが死んだのってシリウス様が〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇 fsetre.srv/rea..」
「sono(固定トイ必読) @o_no_s*** 10月25日
ゼロナイ未プレイだけど、オブシディアン?ってイケメンが死ぬことだけ知ってる(笑)TLラーニング」
「┏┛喪中┗┓ @ri_c_52*** 11月2日
ゼロナイ、ネタバレ踏んで知ってたのにオブシディアンが死ぬところで私の涙腺もやっぱり死んだ 明日休みでよかった てかマジで死んだ……」
『ゼロナイ ラスボス』【検索】
…
……
………
「花葵 @kan_ai_** 10月22日
あっ、ゼロナイのラスボスって黒曜殿下なん??」
「柚木@ゲーム垢 @yuzu_2** 10月23日
【注意喚起】
ゼロナイまだクリアしてない人、ラスボスってワードミュートしておくことを推奨します……!ネタバレ回ってるようなのでご注意ください……」
「あがさ @crist**nu 11月1日
ゼロナイラスボス強すぎて草 もう五回死んだ 明日にするは…もうシリウス様の号泣ボイス聴きたくねぇ…」
「NAOKI@ゼロナイ10/20発売中 @chi**ke3 10月25日
ラスボスが主人公の親友、まぁあるあるだよなぁ…それでもやっぱり裏切られた時はゾクッとしたけど。初見で『こいつ闇深そう』って思った俺の嗅覚は間違ってなかった」
一瞬で全世界へと繋がる、手のひら大の小さな端末。
インターネットで検索すれば、それこそ発売当日にも、ネタバレはそこかしこに転がっている。
完全にネタバレを避けたいのなら、それこそ自分がクリアするまで、ネットも何もかもを断ち切ってしまうのが一番だ。
そんなタイプは、わたしの友人にも居た。一度クリアしたいゲームが出来たら、もう連絡すら付かなくなるのが常だった。
わたしはと言えば、そこまでではなく。
積極的にネタバレは踏みに行かないものの、それでもどこからともなく漏れ聞こえる『風味』を味わいながら、これから先の展開をほんのり予測しながら――どんでん返しを期待しつつも、それでも心のどこかで『うんうん、それも予測のうち』と、予防線を張っているような。
一歩引いた安全地帯から、物語を眺めているのが好きだった。
――だから、オブシディアンが死んだ時も。
『ゼロナイ ラスボス どうして』
『ゼロナイ オブシディアン 理由』
『ゼロナイ ラスボス 闇堕ち 妹』
クリア直後、納得したくて、言葉を変えては検索して。
人の意見を通して、自分の感情を整理する。
時に、誰の得にもならないような戯言を書き散らしながら。
…
……
………
「六条九日@鍵 @ricca123* 11月1日
オブシディアンって、多分色々背負いすぎたキャラなのだと思う。妹のことも婚約者のことも、本来彼が背負いこむ必要なんてないはずなのに、それでも真面目に背負いすぎちゃった。だから闇堕ちするのもある意味妥当っちゃ妥当というか……うーん……わからん……」
「六条九日@鍵 @ricca123* 11月1日
みんなオブシディアンについてどう思ってる?『妹が死んでから僕の人生は変わってしまった』って、死ぬ間際の最後の独白でサラッと言ってたけど、正直言ってその辺りの掘り下げもっと欲しかったよ~……なんだかんだでわたし達、オブシディアン殿下については闇堕ち後の姿しか見てないわけで……」
「六条九日@鍵 @ricca123* 11月2日
妹が生きてる時は、オブシディアンもまた性格違ったのかなぁ。確かに彼は罪を犯したし、その罪は許されないものだけど、それでもどうにかならないものかと思ってしまう……どうにかならなかったのかな……」
…
……
………
――六花が知っているのは、妹が死んだ後のオブシディアンだけ。
分かっている。
この、わたしの目の前にいる少年は、まだ六花の推しじゃない。
分かっている。
そんなことは、分かっていた。
わたしは、推しが死ぬ、その運命までも含めて、彼のことが好きだった。
◇ ◆ ◇
わたしの言葉を聞いて、オブシディアンは胡乱げに目を細めた。
「リッカの、前世?」
「えぇ。十六歳、日本の現役JKでしたよ。滅茶苦茶呆気なく早死にしましたが」
あまりに呆気ない死に様過ぎて、後悔してもし足りない。やっぱり、溺れてる子をたった一人で助けに行くのは無謀だった……。
両親と友人らに申し訳ない。こんなに早く逝く気はなかったんだ……。
彼はぱちりと目を瞬かせた。
……というか、睫毛、長ぁ……。
「じぇ、じぇいけぃ……?」
「あっ、それは気にしないでくださいなっ! ただの戯言ですのでっ!」
スラングが、ついつい。
コホン、と咳払いするオブシディアン。
「日本という国があるのは、知ってるよ。東の方の島国だろう? それじゃあお前は、そこに居たと言うのか?」
「あー……多分、わたしが居たのはここではない別世界でしょうけど……」
わたしの元いた世界では『ゼロイズム・ナイン』はゲームだった訳だし。
というかこの世界にも、日本ってあるんだな……。
「それで、その別世界で死んだお前は、リッカ・ロードライトとしてこの世界に生まれ変わったと?」
「……まぁ……多分……」
ついつい歯切れが悪くなる。
信じてもらえないのは、当然だ。六花だって、いきなり家族が「前世では別世界で女子高生だったの~」なんて話をし始めたら正気を疑う。
「そ、そんな前世を思い出したのは、ほんの数ヶ月前のことなんです! それまでは、本当に何も憶えてなくって……」
「……ふーん……?」
「う、ううぅっ……!」
抉るような目が怖いなぁ……!
と、そこでオブシディアンは大きく息を吐いた。わたしの頬から手を離すと、椅子に倒れ込むように力なく腰掛ける。
「前世……前世、ねぇ……」
「……到底、信じられ、ないですよねぇ……」
ついつい、ベッドの上で正座をしてしまう。膝の上で、両手をきゅっと握り締めた。
彼はしばらく天を仰いでは、目元を手で覆い、考え込むように黙っていた。その口が、緩やかに言葉を紡ぐ。
「……お前、悪霊とかじゃないのか? リッカに取り憑いた何かとか……」
「はいぃっ!? えっ、はぁっ!? 違いますよ!」
悪霊扱いされるとは思っていなかった。思わず慌てて否定するも『この場合、慌てて否定した方が余計怪しくないか?』なんて気分にもなってくる。
でも違う(多分……多分……)ので、否定くらいはさせてくれ。少なくともわたし、善良だよ? 誰かを怨んだり呪ったりしない、良い霊だよ? ……いやそもそも霊じゃないし!
彼は、ゆっくりと尋ねる。
「お前は、リッカを乗っ取ったのか?」
「……確かに、そう見られてしまうかもしれません」
胸に手を当てた。
かつてのリッカには、もう、生きる元気は残っていなかった。たび重なる苦痛に、身体より先に心が折れてしまったから。
「……あなたが知ってる妹とわたしは、キャラが違うかもしれませんが……それは、うぅん、なんだろうなぁ? 前世の性格の方が支配的というか、統合吸収されちゃったというか……ただ、わたしがそんな風に捉えてるだけなんですけど……」
人格の強度として、六花の方が強かったのかなぁ……なんて、そんな感じだ。
もし、両者のキャラの強さが拮抗するくらいだったら、もしかしたら多重人格となっていたのかもしれない。……知らんけど。
「……これまで騙していて、ごめんなさい」
彼の妹として、黙って無償の愛を受け取り続けたこと。
その償いをしろと言われたら、わたしはちゃんとやろうと思う。
リッカを……彼の妹を、返すことは出来ないけれど。
死んで罪を償うことくらいは、出来る。
「……一つ、聞かせてくれ」
「一つと言わず、何なりと」
ここまで来てしまったのだ。「こいつは頭がおかしくなった」と思われても仕方ない。聞かれたら何だって答えてやる心づもりだった。
ゆるりとわたしを見た彼は、至って真面目な顔で問いかけた。
「なんでお前、シリウスには『様』付けな訳?」
……。
…………。
……………………。
「……へっ?」
何を、いきなり、この人は?
「だから、なんでシリウスのこと『シリウス様』って呼んでんのって聞いてるんだ」
声が、なんだか、その……。
怒っているというよりも、むしろこれは……拗ねてる?
ぎゅっと眉を寄せたオブシディアンは「なんでだよ」と口を尖らせた。
「……えぇと、それ、今、重要です……?」
「重要だろ! シリウスも『何でだろーなー』ってのほほんと言うだけで、僕ばかりが気になって気になって、でもお前もシリウスも皆疑問にも思ってない風だからさぁ!?」
地団駄を踏むオブシディアン。
……おぉ……それ、そんなに重要か……。
今わたし、自死も覚悟してたっていうのになぁ……?
……でも、理由か。
何だったっけ? 最初は何も気にせずというか、口からつい出ちゃったんだよな……えぇと……。
「……あっ」
「何!?」
食いつく彼。
わたしが前世について告白したときより食いつきが良い。何でだよ。
……しかし、その、これは……。
い、言えない……。
『ゼロナイ』の主人公であるシリウスがあまりにいい人過ぎて、何故かプレイヤー間でも彼の呼称が『シリウス様』に統一されてしまった、なんて……。
言えない……。
「……し、シリウス様が……誰にでも優しいし、すごくいい人だし、王子様みたいでつい『様』付けしたくなっちゃうから……」
「………………」
無言でわたしを見つめる彼。
う、うぐぅ……! なんだろう、さっきよりも今の沈黙の方が痛いような!
「……シリウスのような男が、好みなのか……?」
やがて彼は、縋るような目でわたしに尋ねた。
ま、待って! 早まらないで!
あぁっ、ちょっと目が潤んでる! そんなにショックなことだった!?
「……確かにシリウスはいい奴だし、僕のことも『ロードライトの跡取り』なんて目で見ないし、リッカにも優しいし、気取らないし、友人も多いし、リッカが好きになるのも……」
「ちっがーう!!」
大きく息を吸い込んだ。
「わたしの好みは、オブシディアン様なの! マジでもう滅茶苦茶好みど真ん中なの!! なんっで分かんないかなぁ!?」
一目見た時から、好きだった。
あーこのキャラ間違いなくわたしの好みだわーと思って、そしてやっぱり、わたしの好みだった。
何なら闇堕ちした時だって、シリウスの前にラスボスとして立ちはだかった時だって、死ぬほどカッコいいなと思っていた。
――リッカとして、彼の妹となった時も。
前世の推しだから好きなのか、彼が兄だから好きなのかは分からない。
全部引っくるめて、今のわたしはオブシディアンのことが好きだ。
その気持ちは、多分死んでも揺らがない。
オブシディアンは、わたしの剣幕にぽかんと口を開けていたが、次の瞬間「……え?」と呟いて顔を赤らめた。恥ずかしそうに手を口元に当て、目を逸らす。
「その……あ……ありがとう……?」
「……というか……何か、わたしについて無いんですか。わたし、あなたを騙していたんですよ? ずっと妹のフリしてたんですよ。ふざけんなとか、リッカを返せとか、そういうの無いんですか?」
「は? お前はリッカだろう?」
「…………、ハァ?」
なにいってんだこいつ。
さっきまで「お前は誰だ?」って言ってたのはアンタの方だけど?
混乱するわたしを尻目に、彼は腕を組んで椅子に座り直した。
「お前がリッカに害なす悪霊で、お前が消えればリッカが助かるのなら、早いうちに消えてもらおうと思ったけど。でもお前が消えたって、元のリッカが戻ってくるわけでもないんだろ?」
「……まぁ、そうでしょうね」
わたしと共に、この身体も死ぬだろう。
奇跡的にリッカの人格だけが戻ったとしても、あの子ではもう生き延びられない。
「それに、リッカは前世も含めてリッカじゃないか。身体に魂が二つ入っている訳でもないし、そもそも悪霊なら城の結界に弾かれてるか、そうでなくとも誰かが気付く」
「んな、雑な……」
「例えば、リッカが記憶を失って、僕のことも何もかもを忘れてしまったとしても、それでも僕は変わることなくリッカのことを愛し続けるよ。前世が何であろうが、多少昔より記憶が増えたところで、リッカは変わらずリッカじゃないか」
「そ……んなもん、ですかねぇ……?」
それでいいのか? 本当に? 本当にいいのか??
うーんと軽く首を捻ったオブシディアンは、「そうだな」と軽く手を合わせた。
「じゃあ質問。僕が一昨年、リッカに誕生日プレゼントとしてあげたものは?」
「えと……ガラスペンと、綺麗な蒼のインク……」
どちらも兄の瞳の色を溶かしたようで、眺めているだけでうっとりしてしまう。
「正解」と彼は頷いた。
「リッカの記憶もちゃんとある。ナナリーだって、普通にリッカの過去を視ることができたわけでさ。なら、お前はリッカだろ?」
……なーんか、よく分からなくなってきたぞ。
でも一つだけ、分かるのは。
「……それじゃあ、わたしはまだ、生きていてもいいってことですか?」
この身体で、この名前で。
彼の妹で居続けても、良いってこと?
「当然だろ。勝手に死んだら許さないからな」
「……あはは……」
入っていた力が、緊張が解けたことでくたりと抜ける。思わずふらりと倒れ込みそうになったところで、慌てて彼がわたしの身体を抱き止めてくれた。
「……リッカ?」
「大丈夫です……ちょっと、ホッとしただけだから……」
抱き締められて、服越しに温もりが伝わってくる。
よしよしと甘やかすように、わたしの背中を撫でる優しい手。
――あぁ、あったかいなぁ。
随分と緊張していたようで、身体は少し汗ばんでいた。
兄はわたしの首元に触れると「少し熱くないか? 大丈夫?」と心配そうに尋ねる。
「大丈夫ですよ、お兄様」
わたしはにっこり笑ってみせる。兄は軽く目を瞠ると「それは良かった」と言って微笑んだ。
「それじゃ、これからもよろしくね、僕の妹」
「……はい、よろしくお願いしますね、お兄様」
それは、まるで脅迫のようで。
甘やかで、ちょっと怖くて、その感覚に魅せられる。
その時、部屋の扉がノックされた。入って来たのはシリウス様とセラだ。二人が帰って来たのを、兄の肩越しに出迎える。
「お帰りなさい、二人とも。セラ、しっかり搾り取った?」
「はい! それはもう、しっかりと!」
セラの満面の笑顔が目に眩しい。比べてシリウス様は、なんだかげっそりとしていた。シリウス様は、わたしが兄に抱きしめられているのを見ては「お前ら本当に仲いいな」と苦笑する。
思わず、兄と顔を見合わせた。
どちらともなく顔を近付けあって、笑う。
「「当然 (ですよ)!」」
――兄のことが好きだと思う。
これからも、一緒に生きていたいと思う。
わたしはもう、ずっと前から。
六花の推しだったからという理由だけじゃなく、ただ純粋に、兄のことが好きだった。
「……ん?」
聴覚が、外の慌ただしさを拾う。
わたしを抱き締めていた兄も、どこか違和感を抱いたように、扉へと視線を向けた。
おざなりなノックの後、一人のメイドさんが、息急き切って部屋の中へと飛び込んできた。
父の側についている侍女の一人だ。『当主の間』でも、何度か見かけたことがある。
きょとんとした顔で、セラがメイドさんに話しかけた。
「レイラ? そんなに慌ててどうしたの?」
「セラ! あっ、皆さま、大変申し訳ありませんっ! でもあの、緊急のお知らせが……っ!」
何やら、あわあわとしているご様子。
ひとまずちょっと落ち着いたら? と、言おうとした言葉は、彼女の次の台詞で全部押し流されてしまった。
「リッカお嬢様を呪った犯人が、見つかったと報告があったんです!」
そう、彼に問いかけられて。
彼の蒼い瞳を少しの間見つめた後、わたしは静かに目を閉じた。
――誤魔化しには、意味がないだろう。
この兄がどれだけ妹のことを見つめてきたか、わたしは身をもって知っている。
彼は確信持って、わたしに問いかけているのだろうし。
ならば誠意を返すことが、わたしに出来る精一杯だ。
「……演技を、しても良かったんですけど」
彼の指先が、そっとわたしの頬を撫でる。
わたしは、静かに目を開けた。
演技をしようと思えば、そんなものは簡単に出来た。
かつてのリッカの記憶通りに振る舞うことは、わたしにとって造作もないことだったから。
ただ、訪れる痛みと熱に耐えて、耐えて、耐えて……耐え疲れて、ぐったりしたその疲労感と共に、ベッドで倒れているだけでいいのだから。
どこかに行ったり、誰かと話したり、そんな行動ができるような元気なんてない。
生きる希望? そんなもの、どこを探したってある訳がない。
ロクに動かない虚弱な身体。
高熱で思考は溶かされて、物事を深く考える余裕なんてものもない。
いつ襲い来るかも知れない痛みにビクビクしながら本のページを捲っても、頭に入る筈もない。
何がどこに書いてあったかまで、全て憶えてしまった数冊の絵本。
一度ルールを理解してしまえば、何度だって遊べるボードゲーム。
リッカにとっては、それらが精一杯だったのだ。
それでも、精一杯、生きたのだ。
未来なんて夢見たことがない。
それが自分にもあるなんて、考えたことすらなかった。
希望の持ち方も、夢の見かたも分からない。
リッカにとって、ただただ、大事だったのは。
ただ、ただ、光だったのは――リッカにとって、それこそ『生きる希望』であったのは――
「それでは――改めまして、オブシディアン様。わたし、九条六花と言う者です」
希望を見据えて、わたしは言う。
「簡単に言えば、あなたの妹の前世のようなものですよ」
◇ ◆ ◇
『ゼロイズム・ナイン』――九条六花が死ぬ直前にプレイしていたゲームのオチを、わたしはクリア前に知っていた。
オブシディアン・ロードライトがどんな最期を迎えるのかを、わたしは事前に予感していた。
『ゼロナイ オブシディアン 死』【検索】
…
……
………
「みな@試験までツイ禁中 @minyaa** 10月24日
@yuc***ca あたしもゼロナイのオブシディアン様が死ぬところまで進めたよ~!途中ちょっとダレたけど後半一気にやり込んじゃった ゆっか今裏ダン?通話しよ」
「カルナはゼロナイを始めたようです @real_ga_koi** 10月23日
【ネタバレより伏】全クリした後しばらく考えてたんだけど……オブシディアンが死んだのってシリウス様が〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇 fsetre.srv/rea..」
「sono(固定トイ必読) @o_no_s*** 10月25日
ゼロナイ未プレイだけど、オブシディアン?ってイケメンが死ぬことだけ知ってる(笑)TLラーニング」
「┏┛喪中┗┓ @ri_c_52*** 11月2日
ゼロナイ、ネタバレ踏んで知ってたのにオブシディアンが死ぬところで私の涙腺もやっぱり死んだ 明日休みでよかった てかマジで死んだ……」
『ゼロナイ ラスボス』【検索】
…
……
………
「花葵 @kan_ai_** 10月22日
あっ、ゼロナイのラスボスって黒曜殿下なん??」
「柚木@ゲーム垢 @yuzu_2** 10月23日
【注意喚起】
ゼロナイまだクリアしてない人、ラスボスってワードミュートしておくことを推奨します……!ネタバレ回ってるようなのでご注意ください……」
「あがさ @crist**nu 11月1日
ゼロナイラスボス強すぎて草 もう五回死んだ 明日にするは…もうシリウス様の号泣ボイス聴きたくねぇ…」
「NAOKI@ゼロナイ10/20発売中 @chi**ke3 10月25日
ラスボスが主人公の親友、まぁあるあるだよなぁ…それでもやっぱり裏切られた時はゾクッとしたけど。初見で『こいつ闇深そう』って思った俺の嗅覚は間違ってなかった」
一瞬で全世界へと繋がる、手のひら大の小さな端末。
インターネットで検索すれば、それこそ発売当日にも、ネタバレはそこかしこに転がっている。
完全にネタバレを避けたいのなら、それこそ自分がクリアするまで、ネットも何もかもを断ち切ってしまうのが一番だ。
そんなタイプは、わたしの友人にも居た。一度クリアしたいゲームが出来たら、もう連絡すら付かなくなるのが常だった。
わたしはと言えば、そこまでではなく。
積極的にネタバレは踏みに行かないものの、それでもどこからともなく漏れ聞こえる『風味』を味わいながら、これから先の展開をほんのり予測しながら――どんでん返しを期待しつつも、それでも心のどこかで『うんうん、それも予測のうち』と、予防線を張っているような。
一歩引いた安全地帯から、物語を眺めているのが好きだった。
――だから、オブシディアンが死んだ時も。
『ゼロナイ ラスボス どうして』
『ゼロナイ オブシディアン 理由』
『ゼロナイ ラスボス 闇堕ち 妹』
クリア直後、納得したくて、言葉を変えては検索して。
人の意見を通して、自分の感情を整理する。
時に、誰の得にもならないような戯言を書き散らしながら。
…
……
………
「六条九日@鍵 @ricca123* 11月1日
オブシディアンって、多分色々背負いすぎたキャラなのだと思う。妹のことも婚約者のことも、本来彼が背負いこむ必要なんてないはずなのに、それでも真面目に背負いすぎちゃった。だから闇堕ちするのもある意味妥当っちゃ妥当というか……うーん……わからん……」
「六条九日@鍵 @ricca123* 11月1日
みんなオブシディアンについてどう思ってる?『妹が死んでから僕の人生は変わってしまった』って、死ぬ間際の最後の独白でサラッと言ってたけど、正直言ってその辺りの掘り下げもっと欲しかったよ~……なんだかんだでわたし達、オブシディアン殿下については闇堕ち後の姿しか見てないわけで……」
「六条九日@鍵 @ricca123* 11月2日
妹が生きてる時は、オブシディアンもまた性格違ったのかなぁ。確かに彼は罪を犯したし、その罪は許されないものだけど、それでもどうにかならないものかと思ってしまう……どうにかならなかったのかな……」
…
……
………
――六花が知っているのは、妹が死んだ後のオブシディアンだけ。
分かっている。
この、わたしの目の前にいる少年は、まだ六花の推しじゃない。
分かっている。
そんなことは、分かっていた。
わたしは、推しが死ぬ、その運命までも含めて、彼のことが好きだった。
◇ ◆ ◇
わたしの言葉を聞いて、オブシディアンは胡乱げに目を細めた。
「リッカの、前世?」
「えぇ。十六歳、日本の現役JKでしたよ。滅茶苦茶呆気なく早死にしましたが」
あまりに呆気ない死に様過ぎて、後悔してもし足りない。やっぱり、溺れてる子をたった一人で助けに行くのは無謀だった……。
両親と友人らに申し訳ない。こんなに早く逝く気はなかったんだ……。
彼はぱちりと目を瞬かせた。
……というか、睫毛、長ぁ……。
「じぇ、じぇいけぃ……?」
「あっ、それは気にしないでくださいなっ! ただの戯言ですのでっ!」
スラングが、ついつい。
コホン、と咳払いするオブシディアン。
「日本という国があるのは、知ってるよ。東の方の島国だろう? それじゃあお前は、そこに居たと言うのか?」
「あー……多分、わたしが居たのはここではない別世界でしょうけど……」
わたしの元いた世界では『ゼロイズム・ナイン』はゲームだった訳だし。
というかこの世界にも、日本ってあるんだな……。
「それで、その別世界で死んだお前は、リッカ・ロードライトとしてこの世界に生まれ変わったと?」
「……まぁ……多分……」
ついつい歯切れが悪くなる。
信じてもらえないのは、当然だ。六花だって、いきなり家族が「前世では別世界で女子高生だったの~」なんて話をし始めたら正気を疑う。
「そ、そんな前世を思い出したのは、ほんの数ヶ月前のことなんです! それまでは、本当に何も憶えてなくって……」
「……ふーん……?」
「う、ううぅっ……!」
抉るような目が怖いなぁ……!
と、そこでオブシディアンは大きく息を吐いた。わたしの頬から手を離すと、椅子に倒れ込むように力なく腰掛ける。
「前世……前世、ねぇ……」
「……到底、信じられ、ないですよねぇ……」
ついつい、ベッドの上で正座をしてしまう。膝の上で、両手をきゅっと握り締めた。
彼はしばらく天を仰いでは、目元を手で覆い、考え込むように黙っていた。その口が、緩やかに言葉を紡ぐ。
「……お前、悪霊とかじゃないのか? リッカに取り憑いた何かとか……」
「はいぃっ!? えっ、はぁっ!? 違いますよ!」
悪霊扱いされるとは思っていなかった。思わず慌てて否定するも『この場合、慌てて否定した方が余計怪しくないか?』なんて気分にもなってくる。
でも違う(多分……多分……)ので、否定くらいはさせてくれ。少なくともわたし、善良だよ? 誰かを怨んだり呪ったりしない、良い霊だよ? ……いやそもそも霊じゃないし!
彼は、ゆっくりと尋ねる。
「お前は、リッカを乗っ取ったのか?」
「……確かに、そう見られてしまうかもしれません」
胸に手を当てた。
かつてのリッカには、もう、生きる元気は残っていなかった。たび重なる苦痛に、身体より先に心が折れてしまったから。
「……あなたが知ってる妹とわたしは、キャラが違うかもしれませんが……それは、うぅん、なんだろうなぁ? 前世の性格の方が支配的というか、統合吸収されちゃったというか……ただ、わたしがそんな風に捉えてるだけなんですけど……」
人格の強度として、六花の方が強かったのかなぁ……なんて、そんな感じだ。
もし、両者のキャラの強さが拮抗するくらいだったら、もしかしたら多重人格となっていたのかもしれない。……知らんけど。
「……これまで騙していて、ごめんなさい」
彼の妹として、黙って無償の愛を受け取り続けたこと。
その償いをしろと言われたら、わたしはちゃんとやろうと思う。
リッカを……彼の妹を、返すことは出来ないけれど。
死んで罪を償うことくらいは、出来る。
「……一つ、聞かせてくれ」
「一つと言わず、何なりと」
ここまで来てしまったのだ。「こいつは頭がおかしくなった」と思われても仕方ない。聞かれたら何だって答えてやる心づもりだった。
ゆるりとわたしを見た彼は、至って真面目な顔で問いかけた。
「なんでお前、シリウスには『様』付けな訳?」
……。
…………。
……………………。
「……へっ?」
何を、いきなり、この人は?
「だから、なんでシリウスのこと『シリウス様』って呼んでんのって聞いてるんだ」
声が、なんだか、その……。
怒っているというよりも、むしろこれは……拗ねてる?
ぎゅっと眉を寄せたオブシディアンは「なんでだよ」と口を尖らせた。
「……えぇと、それ、今、重要です……?」
「重要だろ! シリウスも『何でだろーなー』ってのほほんと言うだけで、僕ばかりが気になって気になって、でもお前もシリウスも皆疑問にも思ってない風だからさぁ!?」
地団駄を踏むオブシディアン。
……おぉ……それ、そんなに重要か……。
今わたし、自死も覚悟してたっていうのになぁ……?
……でも、理由か。
何だったっけ? 最初は何も気にせずというか、口からつい出ちゃったんだよな……えぇと……。
「……あっ」
「何!?」
食いつく彼。
わたしが前世について告白したときより食いつきが良い。何でだよ。
……しかし、その、これは……。
い、言えない……。
『ゼロナイ』の主人公であるシリウスがあまりにいい人過ぎて、何故かプレイヤー間でも彼の呼称が『シリウス様』に統一されてしまった、なんて……。
言えない……。
「……し、シリウス様が……誰にでも優しいし、すごくいい人だし、王子様みたいでつい『様』付けしたくなっちゃうから……」
「………………」
無言でわたしを見つめる彼。
う、うぐぅ……! なんだろう、さっきよりも今の沈黙の方が痛いような!
「……シリウスのような男が、好みなのか……?」
やがて彼は、縋るような目でわたしに尋ねた。
ま、待って! 早まらないで!
あぁっ、ちょっと目が潤んでる! そんなにショックなことだった!?
「……確かにシリウスはいい奴だし、僕のことも『ロードライトの跡取り』なんて目で見ないし、リッカにも優しいし、気取らないし、友人も多いし、リッカが好きになるのも……」
「ちっがーう!!」
大きく息を吸い込んだ。
「わたしの好みは、オブシディアン様なの! マジでもう滅茶苦茶好みど真ん中なの!! なんっで分かんないかなぁ!?」
一目見た時から、好きだった。
あーこのキャラ間違いなくわたしの好みだわーと思って、そしてやっぱり、わたしの好みだった。
何なら闇堕ちした時だって、シリウスの前にラスボスとして立ちはだかった時だって、死ぬほどカッコいいなと思っていた。
――リッカとして、彼の妹となった時も。
前世の推しだから好きなのか、彼が兄だから好きなのかは分からない。
全部引っくるめて、今のわたしはオブシディアンのことが好きだ。
その気持ちは、多分死んでも揺らがない。
オブシディアンは、わたしの剣幕にぽかんと口を開けていたが、次の瞬間「……え?」と呟いて顔を赤らめた。恥ずかしそうに手を口元に当て、目を逸らす。
「その……あ……ありがとう……?」
「……というか……何か、わたしについて無いんですか。わたし、あなたを騙していたんですよ? ずっと妹のフリしてたんですよ。ふざけんなとか、リッカを返せとか、そういうの無いんですか?」
「は? お前はリッカだろう?」
「…………、ハァ?」
なにいってんだこいつ。
さっきまで「お前は誰だ?」って言ってたのはアンタの方だけど?
混乱するわたしを尻目に、彼は腕を組んで椅子に座り直した。
「お前がリッカに害なす悪霊で、お前が消えればリッカが助かるのなら、早いうちに消えてもらおうと思ったけど。でもお前が消えたって、元のリッカが戻ってくるわけでもないんだろ?」
「……まぁ、そうでしょうね」
わたしと共に、この身体も死ぬだろう。
奇跡的にリッカの人格だけが戻ったとしても、あの子ではもう生き延びられない。
「それに、リッカは前世も含めてリッカじゃないか。身体に魂が二つ入っている訳でもないし、そもそも悪霊なら城の結界に弾かれてるか、そうでなくとも誰かが気付く」
「んな、雑な……」
「例えば、リッカが記憶を失って、僕のことも何もかもを忘れてしまったとしても、それでも僕は変わることなくリッカのことを愛し続けるよ。前世が何であろうが、多少昔より記憶が増えたところで、リッカは変わらずリッカじゃないか」
「そ……んなもん、ですかねぇ……?」
それでいいのか? 本当に? 本当にいいのか??
うーんと軽く首を捻ったオブシディアンは、「そうだな」と軽く手を合わせた。
「じゃあ質問。僕が一昨年、リッカに誕生日プレゼントとしてあげたものは?」
「えと……ガラスペンと、綺麗な蒼のインク……」
どちらも兄の瞳の色を溶かしたようで、眺めているだけでうっとりしてしまう。
「正解」と彼は頷いた。
「リッカの記憶もちゃんとある。ナナリーだって、普通にリッカの過去を視ることができたわけでさ。なら、お前はリッカだろ?」
……なーんか、よく分からなくなってきたぞ。
でも一つだけ、分かるのは。
「……それじゃあ、わたしはまだ、生きていてもいいってことですか?」
この身体で、この名前で。
彼の妹で居続けても、良いってこと?
「当然だろ。勝手に死んだら許さないからな」
「……あはは……」
入っていた力が、緊張が解けたことでくたりと抜ける。思わずふらりと倒れ込みそうになったところで、慌てて彼がわたしの身体を抱き止めてくれた。
「……リッカ?」
「大丈夫です……ちょっと、ホッとしただけだから……」
抱き締められて、服越しに温もりが伝わってくる。
よしよしと甘やかすように、わたしの背中を撫でる優しい手。
――あぁ、あったかいなぁ。
随分と緊張していたようで、身体は少し汗ばんでいた。
兄はわたしの首元に触れると「少し熱くないか? 大丈夫?」と心配そうに尋ねる。
「大丈夫ですよ、お兄様」
わたしはにっこり笑ってみせる。兄は軽く目を瞠ると「それは良かった」と言って微笑んだ。
「それじゃ、これからもよろしくね、僕の妹」
「……はい、よろしくお願いしますね、お兄様」
それは、まるで脅迫のようで。
甘やかで、ちょっと怖くて、その感覚に魅せられる。
その時、部屋の扉がノックされた。入って来たのはシリウス様とセラだ。二人が帰って来たのを、兄の肩越しに出迎える。
「お帰りなさい、二人とも。セラ、しっかり搾り取った?」
「はい! それはもう、しっかりと!」
セラの満面の笑顔が目に眩しい。比べてシリウス様は、なんだかげっそりとしていた。シリウス様は、わたしが兄に抱きしめられているのを見ては「お前ら本当に仲いいな」と苦笑する。
思わず、兄と顔を見合わせた。
どちらともなく顔を近付けあって、笑う。
「「当然 (ですよ)!」」
――兄のことが好きだと思う。
これからも、一緒に生きていたいと思う。
わたしはもう、ずっと前から。
六花の推しだったからという理由だけじゃなく、ただ純粋に、兄のことが好きだった。
「……ん?」
聴覚が、外の慌ただしさを拾う。
わたしを抱き締めていた兄も、どこか違和感を抱いたように、扉へと視線を向けた。
おざなりなノックの後、一人のメイドさんが、息急き切って部屋の中へと飛び込んできた。
父の側についている侍女の一人だ。『当主の間』でも、何度か見かけたことがある。
きょとんとした顔で、セラがメイドさんに話しかけた。
「レイラ? そんなに慌ててどうしたの?」
「セラ! あっ、皆さま、大変申し訳ありませんっ! でもあの、緊急のお知らせが……っ!」
何やら、あわあわとしているご様子。
ひとまずちょっと落ち着いたら? と、言おうとした言葉は、彼女の次の台詞で全部押し流されてしまった。
「リッカお嬢様を呪った犯人が、見つかったと報告があったんです!」
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