室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々

文字の大きさ
486 / 516
第1章 月森ヶ丘自由学園

銀髪君。キミ……まさか、そんな趣味があったネ?

しおりを挟む
「ちっ…意識ぶっ飛ばしやがって、つま………ん?よう、久しぶりだなぁ?下僕1」

今の今まで岬に自分の存在がバレないよう目を合わさないようにしていたシフォン…。だが、ついに岬の視線がシフォンに向いてしまった

「………下僕1?」

何ネ?と首を傾げる崙は岬の視線を辿っていくと、そこには真っ青になったシフォンの姿、

「…な゙……な…な、何てモノを隊長に飲ませてくれてんですか!!? た、隊長にアルコールを飲ませる馬鹿が何処にいるんです?!

おかげで、俺が……」


失神し、地面に俯せになっている意識のない学園長に嘆きながら怒鳴るシフォンは少しでも岬の視線から逃げるように崙の背中に隠れる。

「銀髪君。キミ………まさか、そんな趣味があったネ?」

本気でドン引きする崙にシフォンは、キッと睨みつけた

「馬鹿なこと言わないでください!!!し…隊長は、酒癖が悪いんですよ!酒などのアルコールを口に含むと、他人の歪める顔を見て愉しむ……

超鬼畜のサディスト野郎になるんですっ!!」


『超鬼畜のサディスト野郎になるんですっ!!』

というシフォンの言葉に、一瞬にして水を打ったような静けさに包まれる───。


「くっくっくっ…。鬼畜だぁ?ハッそいつは違うな。俺の言うことを聞けない奴にお仕置きしてるだけだ。ククッ‥そうだ、下僕1。お前、ご主人様に対してその言いようはどうかと思うがな…? どうやら、お前も…」

――バシィィィッ!!

「…俺に調教されたいようだな?(ニヤッ」




鞭をビシッと張り、ニヤッと軽く口角を上げると薄く微笑んだ岬は獲物を狙うが如く鋭い目でシフォンを捉える

「ひっっ…ー!!!ち、ちがいます!!俺は下僕になったつもりはないん…(バシィッ」

シフォンの声をほぼ無視し、鞭を打つ岬にシフォンのぎゃっ!!!という叫び声‥

「ちょ…ちょっと待ってください!!ってか、鞭を下ろして!!俺にそんな趣味はありませんからっ!!!」

半泣きに近い声で岬に叫ぶシフォンは崙の背中に避難する。

「ちょいと、銀髪君。なに、私の背中に隠れてるネ!?」

シフォンが崙の背中に張り付いたことにより岬の目が自然と崙へ向けられる…

 そして、

まるで獲物を見つけたように、ニヤッと口の端を釣り上げる岬を見た途端、崙は背筋に悪寒が走った。

「な、なにするネ!?私まで巻き添え喰らうのは嫌だヨ!」

慌て、背中に張り付くシフォンを離そうとする崙は必死だ。だが、もちろんシフォンも大人しく離れるわけがなく‥

「嫌ですよ!!俺一人だけ被害に合うなんて断固お断りですっ!!それなら、せめて崙さんを盾にして…」

「嫌ネ!私、痛いのは嫌いアル!!」

二人して揉めるシフォンと崙。それを暫し眺めていた岬は、ほくそ笑んでいた――‥。そんなシフォンと崙のピンチは意外にも、

乱入者によって免れる。

「み、岬君!?」

そこには、走って来た為か、ハァハァ‥と息を乱す涙の姿が。

続いて、他のメンバーも到着するが、あまりの酷い惨状に思わず我が目を疑う伊集院たち。

シフォンと崙に狙いを定めていた岬は突然の来訪者に僅かに眉間をひそめるも、涙に目を向ける

「ま、マズイですよ!!!」

突然現れた涙達の姿に血の気が引くのを感じ、シフォンの顔色が蒼白になった。

そこへ駆けつけた柊兄は明らかにいつもと様子が違う岬を怪訝に見つめながら、弟を庇うように涙を背中へ隠すけれども、岬は涙達には大して興味がないようで、すぐに視線を逸らした。

そして、視線をズラした先を鋭い視線で見据える岬は、獲物を見つけた獣のように瞳を細めると、鞭を構え、ニヤッと悪魔の笑みを浮かべる…

――‥ヤバくねぇ…?

岬の視線が捉える先には冷や汗を垂らす伊集院の姿があった。

伊集院は悟る-

(話を聞かなくとも、この惨状とアイツの目を見れば確実に奴の今のターゲットって俺‥‥‥だよな…?)


知らず知らずして、伊集院は後退る…


(俺、さすがに鞭は‥…ちょっと…パスだわ)

後退る伊集院が釘付けに見つめるのは、岬がバシィ!バシィッ!!と地面に打ち付ける鞭。もはや、岬のターゲットはシフォンと崙から外れて伊集院に変わっていた。
しおりを挟む
感想 42

あなたにおすすめの小説

ビッチです!誤解しないでください!

モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃 「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」 「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」 「大丈夫か?あんな噂気にするな」 「晃ほど清純な男はいないというのに」 「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」 噂じゃなくて事実ですけど!!!?? 俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生…… 魔性の男で申し訳ない笑 めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!

王道学園に通っています。

オトバタケ
BL
人里離れた山の中にある城のような建物。そこは、選ばれし者だけが入学を許される全寮制の男子校だった。 全寮制男子校を舞台に繰り広げられる様々な恋愛模様を描いた短編集。

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

目立たないでと言われても

みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」 ****** 山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって…… 25話で本編完結+番外編4話

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。

春雨
BL
前世を思い出した俺。 外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。 愛が重すぎて俺どうすればいい?? もう不良になっちゃおうか! 少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。 説明は初めの方に詰め込んでます。 えろは作者の気分…多分おいおい入ってきます。 初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。 ※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫だと……思います(?) ※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。 もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。 なるべく全ての感想に返信させていただいてます。 感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます! 5/25 お久しぶりです。 書ける環境になりそうなので少しずつ更新していきます。

悪役令息(Ω)に転生した俺、破滅回避のためΩ隠してαを装ってたら、冷徹α第一王子に婚約者にされて溺愛されてます!?

水凪しおん
BL
前世の記憶を持つ俺、リオネルは、BL小説の悪役令息に転生していた。 断罪される運命を回避するため、本来希少なΩである性を隠し、出来損ないのαとして目立たず生きてきた。 しかし、突然、原作のヒーローである冷徹な第一王子アシュレイの婚約者にされてしまう。 これは破滅フラグに違いないと絶望する俺だが、アシュレイの態度は原作とどこか違っていて……?

【完結】その少年は硝子の魔術士

鏑木 うりこ
BL
 神の家でステンドグラスを作っていた俺は地上に落とされた。俺の出来る事は硝子細工だけなのに。  硝子じゃお腹も膨れない!硝子じゃ魔物は倒せない!どうする、俺?!  設定はふんわりしております。 少し痛々しい。

処理中です...