室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々

文字の大きさ
499 / 516
第1章 月森ヶ丘自由学園

手間をかけさせないで下さい。

「フンっ!奴が死んだと思っているお前ほど、おめでたい奴はいないな」

クリフェイドは勿論、毒を吐くことを忘れない。

「な……に…ッ!?馬鹿な!!そんなことがあってたまるか!!二年前から立てていた計画なんだぞ!?替え玉だって?馬鹿な!!奴には四六時中、監視を付けていたんだ。そんな隙はないし、現に私が奴を殺した!!!」

クリフェイドの言葉に酷く動揺する学園長は、馬鹿な…!そんなはずが…っと一人喚くばかり。

その様子をクリフェイドはただ一人せせら笑う。

「あの男が死んだだって?何をほざくかと思えば、笑止。奴はそう表に出てくることすら稀だと言うのに」

目を窄めるとクリフェイドは笑みを深めた。

「替え玉と代わる隙がなかったって?まったく、笑わせてくれる!当然だろう?最初から、替え玉なんだからな」

そんなことにも気付かないのか?阿呆が…とクリフェイドは毒づく。

(室長の機嫌がすこぶる悪い…。原因と言えば‥‥睡眠不足にストレスといったところでしょうか……?いつにましてや酷い毒舌っぷり。あの餌食だけはなりたくないですね‥。)

シフォンが内心そう思っていたことはクリフェイドは知るはずもない。

「な゙!? ど…どういうことだ!!」

「奴は……簡潔に言えば、臆病者。それ故、厄介なのがIQが高いということだ。気に入らないことは全て裏で‥。気にくわない奴がいても、面と向かって本人に言えないアイツは影で他殺に見せかけて殺す。

そんな卑劣で小心者なアイツに表立って人前に出てくるわけがないだろ?アイツは常に部下を駒のように扱い、命令するのみ。全て金で片付け、卑劣な手口で人の命を弄び、自分は安全地帯で高見の見物。お前が殺したスクワットのダミーと会った瞬間から、騙されていたというわけだ。奴は小心者でも、馬鹿ではない。組織の人間の考えていることはお見通しだったわけだ。

つまり、こうなること自体がスクワットには、とうの昔にわかっていたこと、ということだ。理解できたか?」

クリフェイドは馬鹿にしたように鼻で笑う

「奴の狙いは僕でもある。憎しみか恨みか‥‥はたまた他のことか、どちらにせよ、僕が奴を失脚させた主な原因だからな。

薄々は気付いていたが、それでも奴本人が現れないかと思ったが、現れなかったし、アシスも取り戻した。こちらとしては、もう、あんたに用はないんだ。……さっさと帰してくれないか?」

しれっと遠慮なしに告げるクリフェイドに学園長は開いた口が塞がらない


「ッ!これ以上、私をコケにするなっ!!」

「ちょっ……室長っっ!??なに、相手を煽ってるんですか」

「別に煽ってなんかいない。僕はただ、疲れたから、さっさと終わらせてくれと言っただけだ」

腕を組み憮然と言い放つクリフェイドにシフォンは頭を抱えたくなる。

「だからっ!それが煽ってるんですって!!!」


「えぇいっっ!!喧しい!!どいつもこいつも…っ 私の邪魔ばかりっ!!もう、何もかもが終わった!道連れにお前達を殺してやるっ!!」

憤る学園長にクリフェイドはシフォン達を後ろに一歩進む。

「…そこまで、道連れにしたいのなら僕を殺すといい。その代わり、そこの三人には……特に崙だけは手を出すな。マフィアとの抗争だけはこの上なく厄介だからな」

「室長っ!!」

「クリフェイドーっ!!」

「クリフェイド!お前、自分が何を言っているのか、わかっているのか!?」

  コツコツコツ――…

アクシオン達がクリフェイドに叫んでいるとき、FBIのヘリ近くに控えていたヒューの1部下のグレイは目の前を横切る年若い青年の突然の来訪に目を疑った


『……ぇ…今のって‥まさか……あのっ…マコーネル・レイド!?』


グレイの声に気づかないのか、はたまた違うのか。目の前の青年は、肩につくか、つかないか程よい長さに切られた美しい金髪を風になびかせて足を運ぶ…

その顔の額辺りにはくっきりと青筋が浮き出ていた。


「仕方ないだろ?シフォンは官僚だし、アシスは王子。残る崙はマフィアのボスで論外。ならば、何もない僕しかいないだろ?」

後ろで喚くシフォンと前方で怒鳴ってくる父と兄を鬱陶しげに見据える

「な…っ!!」

「くくっ…。霧島君、君には本当に邪魔されてばかりだったからね。殺せるのが嬉しくてたまらないよ」

クリフェイドに銃口を向けた


 その瞬間――‥

「……ほう? 何もないですか。大それたご冗談を。そこの方は貴方ごときが殺して良い人物ではないんですよ」

コツコツ、

「そこの方は、英国国家機密情報機関特殊組織の責任者、室長という重役、幹部に付き、組織を管轄。及び国の情報セキュリティを支えるエキスパート。国の情報セキュリティ管理の大半を扱っている彼が何もないわけないでしょう?

彼がいなくなれば、今ほど高度なセキュリティは出来ませんからね‥。それほど、彼は国に必要とされている存在です。

その彼に手を出すとなれば、容赦しませんよ…」


――…ジャリ、

憮然とした表情の金髪美形の青年は前に出ると足を止めて冷ややかな目で前を見据える

「あまり、手間をかけさせないで下さい。…………とくに、」

『そこの二人』

マコーネル・レイドはさっと青ざめるシフォンと、やべっ…と顔をしかめるクリフェイドを睨み据えて言った。
感想 42

あなたにおすすめの小説

笑わない風紀委員長

馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。 が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。 そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め── ※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。 ※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。 ※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。 ※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。

目立たないでと言われても

みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」 ****** 山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって…… 25話で本編完結+番外編4話

天啓によると殿下の婚約者ではなくなります

ふゆきまゆ
BL
この国に生きる者は必ず受けなければいけない「天啓の儀」。それはその者が未来で最も大きく人生が動く時を見せる。 フィルニース国の貴族令息、アレンシカ・リリーベルは天啓の儀で未来を見た。きっと殿下との結婚式が映されると信じて。しかし悲しくも映ったのは殿下から婚約破棄される未来だった。腕の中に別の人を抱きながら。自分には冷たい殿下がそんなに愛している人ならば、自分は穏便に身を引いて二人を祝福しましょう。そうして一年後、学園に入学後に出会った友人になった将来の殿下の想い人をそれとなく応援しようと思ったら…。 ●婚約破棄ものですが主人公に悪役令息、転生転移、回帰の要素はありません。 性表現は一切出てきません。

百合豚、男子校に入る。

BL
百合をこよなく愛する男子高校生・眞辺恵。 母の歪んだ価値観により共学への進学を断たれ、彼が入学させられたのは―― 男同士の恋愛が“文化”として成立している、全寮制男子校《私立瑞嶺学園》だった。 この学園では、生徒会長は「抱かれたいランキング」で選ばれ、美貌こそが正義とされる世界。 それでも眞辺は決意する。 生徒会長になり、この学校を“共学”に変え、間近で百合を拝むことを。 立ちはだかるのは、顔面至上主義の学園制度、性に奔放すぎるイケメンな幼馴染、そして彼らに憧れ恋をする生徒たち。 さらに何故か、学園の人気者たちに次々と目をつけられてしまい――。 百合を拝むため男子校を変えようとする異端者が、歪んだ王道学園を改革する物語。

モブらしいので目立たないよう逃げ続けます

餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。 まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。 モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。 「アルウィン、君が好きだ」 「え、お断りします」 「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」 目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。 ざまぁ要素あるかも………しれませんね

灰かぶり君

渡里あずま
BL
谷出灰(たに いずりは)十六歳。平凡だが、職業(ケータイ小説家)はちょっと非凡(本人談)。 お嬢様学校でのガールズライフを書いていた彼だったがある日、担当から「次は王道学園物(BL)ね♪」と無茶振りされてしまう。 「出灰君は安心して、王道君を主人公にした王道学園物を書いてちょうだい!」 「……禿げる」 テンション低め(脳内ではお喋り)な主人公の運命はいかに? ※重複投稿作品※

【完結】我が兄は生徒会長である!

tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。 名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。 そんな彼には「推し」がいる。 それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。 実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。 終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。 本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。 (番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)

学園ものに転生した悪役の男について

ひいきにみゐる
BL
タイトルの通りにございます。文才を褒められたことはないので、そういうつもりで見ていただけたらなと思います。