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- 謎多き執事の秘密ごと -

『執事の僕に対する扱いが酷すぎる件について』

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『ふぅん?』

「…………(ドキドキッ)」


レオンのレンズの奥の瞳がキラリと光ったような気がした。

『ま、いいでしょう。とりあえずは』

そう言って元のでっかいネコを被った執事口調に戻ったレオン。その眼鏡のブリッジを指先で軽く押し上げる様も似合っていて、世の中不公平だと思った。


…そういえば前にもそういうことがあったことを思い出す。そう、確かあれは… 唐突に姉上が男装して僕に感想を聞いてきたときのことだった。

あのときも、自分のほうが男のはずなのに僕よりも美形の青年姿に男装した姉上を見て、世の中不公平だと口にしたとき、

姉上に『アンタには言われたくないんだけど』と、なぜか大きく溜め息つかれたことを思い出した。今となっては懐かしい思い出だけど、あのとき姉上が口にした言葉の意味が未だにわからない。

『それから…』

一旦、言葉を切ると、再び僕を見てなぜか溜め息をつかれる。

「え、まだ僕なにもやってないんだけど」

人の顔を見るなり溜め息つくレオンを睨んだ。


まだ・・、でしょう?つまり、これからやるということですか』

なんで、そこは疑問形ではなく確定になっているのか… 前々から思っていたけど、レオンの僕に対する扱いが酷すぎる件について今度じっくり父上に抗議したい。…いや、『したい』じゃなくて、絶対する!!!


「そ、そんなことは…っ」

ない!と断言したいのに、仁王立ちで腕を組み、ニコリと穏やかな笑みを向けるレオン。……なんでだろう。穏やかな笑み、のはずなのに異様に威圧感を感じるのは…。

気怠げにドアに凭れ掛かって腕を組んだまま、首を傾げてその眼鏡のレンズの奥からジッと見つめられて思わず目をフィッと逸らしてしまった。ああ…っ!やっちゃった!ぜっったいバレたよ!?どうすんのッ 僕のバカーッ!!
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