腐女子の妄想小説~R18添え~

鬼灯

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社会人シリーズ

和樹くん~歳の差/エロ控えめ/義兄~

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「ンァ…ふぁ…にい、さん、もう////」

「相変わらず、早えな…」

「あぁああああ////」


「今日もご馳走さんでした」

そう言って微笑む義兄さんに俺はまた不覚にも見とれてしまった。


俺は三浦和樹。18歳の高校生。そして、今まで繋がれていた相手は三浦大輝。三十路のサラリーマンだ。

ー俺たちは身内だ。

もっと詳しく関係を言うと、去年病気で亡くなった姉さんの旦那様が大輝さん。つまり、大輝さんは俺の義兄さんになる。

親がいない俺を姉さんが必死で養ってくれていて、結婚してからは、俺も苗字を変えて2人にお世話になっていた。今は義兄さんが養ってくれている。

それがいつからかこんな関係になっていた。付き合っているわけではない。ただ体を重ねるだけの愛のない行為。

きっと義兄さんにとっては慰めなんだと思う。死んだ姉さんと俺を重ねているんだ。

「お前、少し太ったんじゃねぇか?」

「そんなことないよ。前と一緒」

俺はそれでも良いと思っている。だから、俺はなるべく自分を姉さんに近づけている。体重や髪の長さは姉さんとほぼ同じだ。さすがに身長は同じにできない。俺の方が姉さんより低いから。

「お前も早く寝ろよ。おやすみ」

「おやすみなさい」


今日も、愛のない夜が終わってしまった。



------------------

朝ごはんを食べながら義兄さんはふと何かを思い出したように手を止めた。

「あ、そうだ。今日は晩飯いらねぇから。高阪たちと一緒に飲んでくる」

「分かりました。気をつけて行ってきてくださいね」

「おう。悪いな」

きっと酔って帰って来るんだようと俺は気が重くなった。









夜。


ガチャ

「ん…」

いつの間にかソファーで眠ってしまっていたのだろう。義兄さんが帰ってくる音で目が覚めた。

「お帰りなさい…」

ガシッ

義兄さんは俺の手を掴むと寝室まで行き、俺をベットに組み敷く。義兄さんは酔った時はいつもこうだ。

「ん…ふぁ…」

義兄さんは俺にキスをする。義兄さんから伝わる酒の匂いで俺も酔ってしまいそうだった。


「櫻子…」

「っ!」

俺は不意に呟かれた姉さんの名前に思わず義兄さんを突き飛ばした。

「…」

義兄さんは何も言わないし動かない。俺は急いで自分の部屋に戻って鍵をかけた。どうやら義兄さんが追いかけてくる様子は無い。

俺はベットにうずくまる。分かってた。義兄さんが見ているのは俺じゃない。分かってはいたんだ。でも、不意に呟かれた姉さんの名前に耐えられなくなってしまった。だって俺は、義兄さんが好きだから。

「俺は姉さんじゃないよ…義兄さん」

溢れてくる涙を拭うことはせず、俺はただ、届かない言葉を呟くだけだった。



朝になってリビングに行くと義兄さんが朝ごはんを作ってくれていた。多分、義兄さんは昨日のことを忘れている。今までもそうだった。

「義兄さん…話があるんだ」

「なんだ、和樹。好きな子でもできたか?」

「そんなんじゃないよ…。義兄さん、俺この家出て行くよ」

「はっ?」

義兄さんは動きを止めた。

「どうしたんだ、急に?」

「…ずっと考えてたんだ。だって、もう義兄さんが俺を養う理由は無いんだから」

「本当にどうしたんだよ。第一、未成年がどうやって1人で生きていく気だよ」

「高校止めてバイトするよ。大丈夫!なんとかなるって」

きっとどんな生活になっても今の生活よりはマシだと思う。もう辛いんだ。好きな人に見てもらえない生活が。

「ダメだ」

「どうして!?」

「許せるわけないだろ!お前は櫻子の大事な忘れ形見だ!何かあったら櫻子に顔向けできねぇ」


「そんなの…知らない」

そう言うと義兄さんはゆっくりと近づいてくる。俺はゆっくりと後ろに下がっていく。

ドンッ

「っ…」

俺の横に義兄さんの手があった。後ろは壁…逃げられない。


「…昨日のことが原因なのか」

「…覚えてたんだ、」

「ああ、覚えてるよ。全部な」

覚えていた。できれば、忘れていて欲しかった。もしかしたら今までも覚えていたのかもしれない。それならタチが悪い。

「…お前を櫻子だと思ってるわけじゃねぇんだ…」

「嘘つき」

義兄さんにとって俺は姉さんの代わりだ。姉さんが死んでからずっと。

「もう姉さんの代わりはうんざりだ…!辛いんだ…義兄さんを好きでいるのも、義兄さんが俺を見ないのも…姉さんになろうとしてる俺も…」


「違うんだ…」

「何が違うっていうのさ!昨日だって姉さんの名前を呼んでた!義兄さんにとって俺は櫻子で…和樹じゃ無い…」

目をそらした先には長い髪が見えた。姉さんと同じくらいの長さの髪。切ってしまいたい…。そんなこと思わなかったのに。

「こっち見ろよ」

義兄さんは俺と視線を合わせる。

「…お前が…お前だからつい口に出してしまったんだよ…」

「っ?」

「…櫻子に申し訳なかったんだ。愛した女が大事にしていた弟を愛してしまったなんて笑えねえ…俺は最低の人間だ」

顔を片手で覆いながら自嘲めいた表情で語る義兄さんを俺は思わず抱きしめてしまった。離れなきゃいけないのに。なんて愚かなんだろう。

「義兄さん…」

その先を言ってはいけない。そう頭が警告しているのに、俺の唇は止まらなかった。









「義兄さん…好き」

「俺もだ」


2人の気持ちが重なってしまった。もう、後戻りはできない。

…これは、間違いなく間違った関係だ。


「櫻子…」「姉さん」

残酷な俺たち。姉さんが愛した俺たちは今結ばれてしまったよ…。

「…もう戻れねぇんだ、櫻子…俺がお前んとこ行ったら、サンドバックでも土下座でもなんでもしてやるよ。だから、今だけは許してくれ…」

強く優しく抱きしめる義兄さんの温もりに俺は涙が出てきた。大好きな姉さん。俺もあの世に行ったら、精一杯謝る。だから、お願い。義兄さんと一緒にいさせて。

『全くしょうがない人たちね!怒るはずないじゃない。2人は私の大好きな人なんだから』

優しい風に運ばれて姉さんの声が聞こえた気がした…。


「俺、髪切ろうかな…」

「きっと短いのも似合うさ」


俺たちは目を合わせ、触れるだけの優しいキスをした。



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