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蘭くん 中編
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猫カフェ/猫プレイ
次の日。
蘭は指定された場所へ急いで向かっていた。というのも、昨日は緊張してあまり寝られなかった上に服に迷って大変だった。結局に無難にパーカーとジーパンにしたが、それを決めるのに1時間もかかった。その結果、遅刻してしまったのである。もう、30分も過ぎている。
「はぁ、はぁ。すいません!」
蘭は宇佐美の姿を見つけれるとすぐ頭を下げて謝った。
「良いよ良いよ。僕も今来たところだから気にしないで」
手を振りながらそう言う宇佐美の手は真っ白で明らかに冷たそうだった。
「すいません…」
「大丈夫だよ!今日は楽しまなきゃいけないんだからそんなことで落ち込まないで」
「…はい」
「じゃ、行こっか?」
宇佐美は蘭の手を取り、歩き始める。案の定、宇佐美の手は冷たかった。その冷たさに思わず声をあげそうになったが、蘭はなんとか堪えた。
「宇佐美さん//」
「大丈夫大丈夫!誰もみてないから」
そう言ってどんどん進んでいく宇佐美に蘭は顔を赤くしながらも何も言わなかった。
「ここって…」
「うん。蘭くん動物好きなのかなって思って動物園にしてみたんだけど……ダメだったかな?」
「ダメじゃないです!動物園大好きです!」
小さな子どものように目を輝かせる蘭に宇佐美は安心したような表情した。宇佐美は昨日夜に寝る間も惜しんで蘭をどこに連れていくのが一番良いのかを考えた。考えた結果が、動物園だったが、猫以外の動物に興味がなかったらどうしようかとずっと不安だったのだ。
「 行きましょう!宇佐美さん!」
「うん」
蘭は宇佐美の手を引いて、チケット売り場に行く。
「あ、待って。今日は蘭くん財布出さなくて良いからね」
「え!?そんな訳にはいきませんよ!悪いですもん!」
「今日は僕が君を誘ったから、ね?」
目を見つめられ優しく諭されると何も言えなくなってしまった。宇佐美はそれに満足し、チケットを買って蘭に渡した。
「ありがとうございます」
「どーいたしまして。さぁ、行こっか」
宇佐美は蘭の手を引いて中に入っていく。
「あ!」
蘭は何かを見つけると、そこに行こうと駆け出す。その時、スルリと手が離れた。宇佐美はびっくりして蘭を追いかける。
「ライオン!」
蘭が駆け出した先にはライオンがいた。眩しく暖かい日差しが気持ちいいのか大きな欠伸をしている。
「可愛い~」
「蘭君はやっぱり、ネコ科が好きなんだね」
「はい!あ、でも動物は何でも好きです!」
目をキラキラと輝かせながら言った蘭の頭を宇佐美は撫でる。
「そっか。でも、急に走り出さないでね?危ないし、手が離れちゃうから」
宇佐美はゆっくりと蘭の手を握る。蘭は顔を赤くして逃げるように視線をライオンに戻した。
「可愛いな」
宇佐美が呟いた言葉に反応してしまいそうになるが、きっとライオンのことだと言い聞かせて、赤くなる顔を必死で隠した。
楽しかったデートも終盤を迎えていた。美味しいご飯やおすすめのお店など宇佐美とのデートは蘭には新鮮だった。
宇佐美は最後に連れていきたい場所があると行って車を走らせていた。蘭は自身の自宅からそんなに遠くないというのはわかるのだが、どこに向かっているのかは検討もしなかった。しかし、宇佐美に聞いても教えてはくれない。
しばらくして車が止まった。
「ここから少し歩くけど、大丈夫?」
「はい」
蘭は車から降りて辺りを見渡す。そこはどこかの森のようだった。不気味で幽霊が出そうだと思った蘭は近くに寄って来た宇佐美の腕に抱きつく。
「宇佐美さん!俺、こういうのダメなんっす!」
「ん?森嫌い?」
「森というか、何か出そうな雰囲気が…」
顔を真っ青にして怖がる蘭。
「大丈夫だよ。何回も来てるけど出たことないから。何だったら下だけ見てて」
蘭は言われた通り下を向く。宇佐美はそれを確認して歩き出した。蘭はより一層強く宇佐美の腕にしがみついた。
蘭はもうだいぶ歩いた気がしていた。実際にはまだ10分ほどしか歩いてないが、恐怖で感覚が麻痺していた。そんな蘭に宇佐美は時折声をかけ、頭を撫でた。
「着いたよ。顔を上げてごらん」
蘭は恐る恐る顔を上げた。
「わぁ!」
蘭の目に満天の星が映し出された。幻想的なその光景に目を奪われる。星はアイコンタクトをしているみたいに瞬いている。
「綺麗でしょ?僕のお気に入り」
「はい!すごく綺麗です」
恍惚とした表情で空を見上げる蘭。宇佐美は何かを決意したように口を開いた。
「僕、蘭くんが好きなんだ」
「俺も先輩大好きです!ありがとうございます」
笑顔でそう言った蘭はおそらく宇佐美が愛しているの意味で言ったことに気づいていないのだろう。宇佐美はもどかしくなり、蘭を抱きしめる。
「違う、違うんだよ」
「宇佐美さん?//」
蘭はびっくりしたように声を上げる。宇佐美は体を離す。
「…ん」
「…んん!」
宇佐美は蘭にキスをした。蘭は驚き宇佐美を突き飛ばす。
ドンッ
「…っ!」
蘭は自身の唇を手で触る。かすかに残る柔らかさと温もりがキスされた証だった。
「…なんで」
蘭が掠れた声で呟いた言葉は小さかったが宇佐美の耳に届いた。
「…ごめん。好きなんだ。好きになっちゃったんだ」
虚しい声が満天の星に消えていった。
次の日。
蘭は指定された場所へ急いで向かっていた。というのも、昨日は緊張してあまり寝られなかった上に服に迷って大変だった。結局に無難にパーカーとジーパンにしたが、それを決めるのに1時間もかかった。その結果、遅刻してしまったのである。もう、30分も過ぎている。
「はぁ、はぁ。すいません!」
蘭は宇佐美の姿を見つけれるとすぐ頭を下げて謝った。
「良いよ良いよ。僕も今来たところだから気にしないで」
手を振りながらそう言う宇佐美の手は真っ白で明らかに冷たそうだった。
「すいません…」
「大丈夫だよ!今日は楽しまなきゃいけないんだからそんなことで落ち込まないで」
「…はい」
「じゃ、行こっか?」
宇佐美は蘭の手を取り、歩き始める。案の定、宇佐美の手は冷たかった。その冷たさに思わず声をあげそうになったが、蘭はなんとか堪えた。
「宇佐美さん//」
「大丈夫大丈夫!誰もみてないから」
そう言ってどんどん進んでいく宇佐美に蘭は顔を赤くしながらも何も言わなかった。
「ここって…」
「うん。蘭くん動物好きなのかなって思って動物園にしてみたんだけど……ダメだったかな?」
「ダメじゃないです!動物園大好きです!」
小さな子どものように目を輝かせる蘭に宇佐美は安心したような表情した。宇佐美は昨日夜に寝る間も惜しんで蘭をどこに連れていくのが一番良いのかを考えた。考えた結果が、動物園だったが、猫以外の動物に興味がなかったらどうしようかとずっと不安だったのだ。
「 行きましょう!宇佐美さん!」
「うん」
蘭は宇佐美の手を引いて、チケット売り場に行く。
「あ、待って。今日は蘭くん財布出さなくて良いからね」
「え!?そんな訳にはいきませんよ!悪いですもん!」
「今日は僕が君を誘ったから、ね?」
目を見つめられ優しく諭されると何も言えなくなってしまった。宇佐美はそれに満足し、チケットを買って蘭に渡した。
「ありがとうございます」
「どーいたしまして。さぁ、行こっか」
宇佐美は蘭の手を引いて中に入っていく。
「あ!」
蘭は何かを見つけると、そこに行こうと駆け出す。その時、スルリと手が離れた。宇佐美はびっくりして蘭を追いかける。
「ライオン!」
蘭が駆け出した先にはライオンがいた。眩しく暖かい日差しが気持ちいいのか大きな欠伸をしている。
「可愛い~」
「蘭君はやっぱり、ネコ科が好きなんだね」
「はい!あ、でも動物は何でも好きです!」
目をキラキラと輝かせながら言った蘭の頭を宇佐美は撫でる。
「そっか。でも、急に走り出さないでね?危ないし、手が離れちゃうから」
宇佐美はゆっくりと蘭の手を握る。蘭は顔を赤くして逃げるように視線をライオンに戻した。
「可愛いな」
宇佐美が呟いた言葉に反応してしまいそうになるが、きっとライオンのことだと言い聞かせて、赤くなる顔を必死で隠した。
楽しかったデートも終盤を迎えていた。美味しいご飯やおすすめのお店など宇佐美とのデートは蘭には新鮮だった。
宇佐美は最後に連れていきたい場所があると行って車を走らせていた。蘭は自身の自宅からそんなに遠くないというのはわかるのだが、どこに向かっているのかは検討もしなかった。しかし、宇佐美に聞いても教えてはくれない。
しばらくして車が止まった。
「ここから少し歩くけど、大丈夫?」
「はい」
蘭は車から降りて辺りを見渡す。そこはどこかの森のようだった。不気味で幽霊が出そうだと思った蘭は近くに寄って来た宇佐美の腕に抱きつく。
「宇佐美さん!俺、こういうのダメなんっす!」
「ん?森嫌い?」
「森というか、何か出そうな雰囲気が…」
顔を真っ青にして怖がる蘭。
「大丈夫だよ。何回も来てるけど出たことないから。何だったら下だけ見てて」
蘭は言われた通り下を向く。宇佐美はそれを確認して歩き出した。蘭はより一層強く宇佐美の腕にしがみついた。
蘭はもうだいぶ歩いた気がしていた。実際にはまだ10分ほどしか歩いてないが、恐怖で感覚が麻痺していた。そんな蘭に宇佐美は時折声をかけ、頭を撫でた。
「着いたよ。顔を上げてごらん」
蘭は恐る恐る顔を上げた。
「わぁ!」
蘭の目に満天の星が映し出された。幻想的なその光景に目を奪われる。星はアイコンタクトをしているみたいに瞬いている。
「綺麗でしょ?僕のお気に入り」
「はい!すごく綺麗です」
恍惚とした表情で空を見上げる蘭。宇佐美は何かを決意したように口を開いた。
「僕、蘭くんが好きなんだ」
「俺も先輩大好きです!ありがとうございます」
笑顔でそう言った蘭はおそらく宇佐美が愛しているの意味で言ったことに気づいていないのだろう。宇佐美はもどかしくなり、蘭を抱きしめる。
「違う、違うんだよ」
「宇佐美さん?//」
蘭はびっくりしたように声を上げる。宇佐美は体を離す。
「…ん」
「…んん!」
宇佐美は蘭にキスをした。蘭は驚き宇佐美を突き飛ばす。
ドンッ
「…っ!」
蘭は自身の唇を手で触る。かすかに残る柔らかさと温もりがキスされた証だった。
「…なんで」
蘭が掠れた声で呟いた言葉は小さかったが宇佐美の耳に届いた。
「…ごめん。好きなんだ。好きになっちゃったんだ」
虚しい声が満天の星に消えていった。
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