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伊織くん~オメガバース/個室エッチ~
しおりを挟むオメガとアルファ。
その関係性がこの世界を作っている。
この世界には「男性 / 女性 」の他に、第2の性「オメガ、アルファ、ベータ」がある。オメガには定期的に発情期があり、性欲が上昇して、体の自由が効かなくなる。独特のフェロモンを発しており、アルファの人間を興奮させてしまう体質を持っている。オメガの大体は抑制剤を飲み、日常生活を問題なく行っている。また、抑制剤のほかにアルファが運命の番としてオメガの首の後ろに噛み跡をつけマーキングするとフェロモンは番にしか分からなくなる。
兄はアルファ。
俺はオメガ。
そして、兄の親友はアルファ。
兄は兄の親友を愛していたと思う。
見ていれば分かる。
雰囲気で分かる。
ずっと目で追っていたから分かる。
アルファ同士が結婚することは難しい。子をなせないこともそうだが、気持ちと反して体が拒否をする。
そして世間体も悪い。
結婚式に親友を招いた兄はどういう気持ちで、
招待状を出したのだろう。
俺と兄の性が逆なら兄の恋は実ったのだろうか。
「綺麗だね、花嫁さん。」
「そうですね。」
俺の隣で拍手している兄の親友の深雪。アルファとして優秀で容姿に優れている。兄と同じ選ばれた人。
「伊織くんも、兄の達美くんが結婚するなんてビックリしたでしょ?」
「そうですね。兄は結婚しないと思ってたので。」
兄の顔は笑っている。とても幸せそうに。でも、兄の気持ちは分からない。気持ちが吹っ切れてるのか、吹っ切れてないのか。
「幸せそうで良かった。」
「…そうですね。」
深雪さんは兄の気持ちを知っていたのだろうか。
知っていたなら、残酷な言葉だと思ってしまう。
「深雪さんは…え!?」
深雪さんに話しかけようとすると、深雪さんは大号泣していた。
「どうしたんですか?」
「嫌、涙、止まらなくて…ぐすん。」
「とりあえず、お手洗い行きましょう。」
俺は深雪さんを連れてトイレに行く。個室に入り、深雪さんの背中をさする。
「ありがとうぅ…。なさけないぁ…」
「まずは泣き止んで下さい…」
大の大人が目を張らして泣いている。どういう状況だ。説明して欲しい。
「どうして、僕はアルファなんだろう…」
「嫌なんですか?アルファ。」
深雪さんは首を降る。
「納得行かないだけなんだぁ…アルファ同士が結ばれないなんて悔しい。」
「まさか、深雪さん、兄さんのこと…」
「ごめんね、気持ち悪いよね、僕の片想いだったんだ。」
俺の思い違いだった。
兄さんが好きだったんじゃない。
深雪さんが好きだったんだ。
俺は深雪さんを抱き締める。
「伊織くん…」
「兄さんは知ってるんですか?」
「知らないよ。気持ち伝える前に結婚報告されちゃった。情けないよ、本当に。」
静かに涙を再び流し始めた深雪さんに、俺も涙が流れた。
「兄さんは残酷ですね…」
「違うよ、なんで伊織くんが泣いてるの。」
クスッと笑った深雪さんが痛々しかった。
聞いてください、深雪さん。
俺は貴方を諦める覚悟をしたのに、
未だに想いを捨てることができないんです。
「アルファでもオメガでも、結ばれなきゃ悲しい…」
オメガに産まれても、アルファと結ばれるとは限らない。気持ちとは厄介で残酷だ。
「伊織くん…」
深雪さんの顔が近づいて来たと思ったら、唇に柔らかな感触があった。
「…んぅ。はぁ、んはぁ///」
深いキスに驚いて目を見開く。
「ん、涙止まったね。」
「なんてことを、深雪さん。」
俺は番のいないオメガ。第2の性が活発になる20代。抑制剤を飲んでいても、性への刺激に耐えることはしんどい。
「フェロモン出ちゃってるねぇ。ごめんね、今から僕はずるいことをする。君が泣いてる姿を見たら、我慢できなくなった。これは本能だ。運命だ。」
嘘つき。
その言葉は口には出せなかった。
自分でも分かっている。
この状況を喜んでいる自分がいることを。
「んぅ、」
深雪さんは俺に再び深いキスをする。
喉の奥に浸透する甘い味に酔いしれる。
アルファのフェロモンが俺を麻痺させる。
俺のネクタイを緩めて、シャツのボタンを外す。
深雪さん手が乳首に触れた。
「ひゃ、ん////」
「あんまり声出さないでね。外に聞こえちゃうよ。」
「ん、はぁ、ん///」
俺は口元を手で押さえて、声を押さえる。漏れ出してしまう声に恥ずかしくなってしまう。
「伊織くん…ごめんね」
「み、ゆきさん…」
深雪さんは俺のベルトを緩めると、ズボンを脱がす。向かい合っていた体勢から後ろを向かされて、お尻をつき出す体勢に変えさせられた。
深雪さんは後ろの穴に手を当てる。指を1本中にいれた。
「~っ////」
「オメガは濡れやすいからあまりほぐさなくても、3本くらい入っちゃうね」
そう言いながら、深雪さんは指を3本に増やす。
「ふぁ。んあ、はぁ、んん////」
「可愛い…」
可愛いと言われて、俺の心臓ははね上がると同時に指が抜かれた感覚があった。刺激の失くなった穴は寂しい。そこに固くて熱いものが当てられる。
「そんな顔しなくても、あげるから。挿れるね。」
「はやく、きて////……んひゃあ////」
深雪さんのペ◯スが中に入ってくる。その質量に満たされていく。本能が満たされていく。
「んひゃ//もうダメ、イッちゃう///あああ///」
「挿れただけでイっちゃったんだね。でもまだ終われないよ。」
「んん、ひゃ、んんんな///」
深雪さんは動きを止めない。
「も、いっかいイッちゃう///」
「僕も。一緒にイこう。」
生暖かいものが中に広がる感覚を感じながら、俺は再び絶頂に達した。深雪さんは俺の口にキスを落とす。その時に口の中に何か入れられた。
「よくせいざい、?」
「正解…さすがに戻らないとね。」
抑制剤は俺の熱を冷ましていく。深雪さんも1粒飲んで深呼吸した。
深雪さんと俺は服を整えて会場に戻った。
######
「二人ともどこに行ってたんだ。」
「えー、内緒だよね、伊織くん。」
「う、うん。」
何事もなかったかのように兄と話をする深雪さんは意外に強かだ。
「達美ーー!!」
花嫁が兄を階段の上から呼ぶ。
「お、始まるぞ、ブーケトス。俺も階段の上行ってくるから、深雪、後で話そう!」
「うん、行ってらっしゃい。」
兄は階段を駆け上がると、花嫁に高く挙げるように指示している。
「いくよーーーーー!!」
花嫁は勢い良く、ブーケを投げる。それはブーケを取ろうとしている集団から少し離れていた深雪さんの手に収まった。
「深雪~!次はお前なー!!」
遠くから兄が叫んだ。深雪さんは手を振って応える。
何て残酷なんだ。
「伊織くん、これあげるね。」
「え、でも…」
「逃げないでね。」
ウインクをする深雪さんに目を奪われて、固まる。
会場では披露宴へ移動するようにアナウンスが流れている。
深雪さんはそのまま移動していく。
その背中には哀愁などなかった。
俺の恋は終わったはずなのに。
また始まってしまいそうだった。
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