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64話 処刑執行だ
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ヒガナが甲高い鳴き声を出すなり、巨岩を囲うように結界が張られた。
薄い桃色の結界を眺め、ガレオンは舌打ちした。
「俺達だけを閉じ込める結界か」
『よく出来ているだろう、褒めておくれよ』
「陰湿なやり方しか出来ない奴だ。第一、この程度で俺を封じられるとでも?」
ガレオンが放った雷は、結界に阻まれてしまった。セレヴィは勿論、ガレオンですら目を見張った。
『無駄だよ、君がどれだけ力をつけても、こちらだって同じ程度成長しているんだ。つまりあの頃と全く力関係は変わっていない、君ではこの結界を壊せないよ』
「だったら術者を潰せばいいだろう?」
木刀を振り被り、ガレオンはヒガナへ走った。
けど遅い、遅すぎる。ヒガナは嘲笑いながら飛び、結界の外へ逃げてしまった。
『君の魔法、加速だったっけねぇ。どうしたんだい? 使わなかったじゃないか。それとも、使えなかったのかな?』
セレヴィははっとし、マナの抽出を試した。
「だめだ、抽出が出来ない。結界で封じたな」
『その通り。その中に居る限り、お得意の魔法は使えないよ。残念だったね』
性格が悪い事に、結界の周囲を飛び回り、閉じ込められたガレオンとセレヴィを嗤っている。閉じ込めたまま逃げればいいものを、「お前達など手の中だ」と言わんばかりに煽り続けていた。
『さぁ、どうする? いつでも逃げられるけど、君と遊びたいからね。飽きるまでは付き合ってあげるよ。まぁ飽きたらすぐに帰らせてもらうけど。そしたら、ずぅーっと二人で過ごせばいいさ。誰の邪魔も入らない愛の巣だ』
「卑怯者め、それだけの力を持ちながら、なぜ正々堂々と戦わない! 見下げ果てたクズが!」
『だって痛い思いをしたくないもの。それに正々堂々戦わないからって、何か損するかい? 死ぬ思いをしてまで勝負する必要はあるのかい? 苦労してほんのちょっとの成果しか得られないなら、楽に解決する方へ逃げるべきだ。考え方が古いね』
「なんだと!?」
「そこまでだセレヴィ、こいつと話すだけ時間の無駄だ」
ガレオンは肩を竦めると、木刀を叩きつけた。
巨岩に亀裂が入り、衝撃の余波が大地を揺らす。口元に笑みをたたえ、ガレオンはヒガナを見上げた。
「お前は守られていればいい。そして見届けろ、お前が惚れた男の姿をな」
こんな状況だと言うのに、セレヴィはつい見惚れてしまった。
何があろうとお前を助ける。ガレオンは背中でそう伝えていた。世界で一番信頼できる男からのメッセージに頬が熱くなる。
しかしガレオンに手はあるのだろうか。魔法では結界を壊せず、少しでも動けばセレヴィが狙われる。ガレオンに付いて行くなんて、セレヴィには不可能だ。
と、ガレオンの右腕がちぎれ、遅れて衝撃波が襲ってくる。ヒガナが放った羽が彼の体を貫いたのだ。
結界はヒガナの攻撃だけ透過させるようだ。しかも奴の羽はソニックブームを引き起こしていた、つまり音速で飛んできたわけだ。
『さて、どこまで耐えられるかな?』
右腕を再生させたガレオンに、ヒガナは羽を次々に放った。この程度の攻撃、ガレオンなら避けられるのに、セレヴィを庇って自ら当たりに行ってしまう。直撃する度にガレオンの体が破壊され、それを呪法で修復する。
あまりにも分の悪い我慢比べだ。呪法は脳に多大な負荷を掛ける、ガレオンだからこそ耐えられるものの、精神と体力は確実に削られていく。
反撃は出来ず、回避もできない。一方的に嬲られ続け、徐々に呪法の効果も薄れていき、ガレオンは見る間に傷つけられていった。
それでも、彼の目は死んでいなかった。ヒガナをじっと睨み続け、反攻の機をうかがっていた。
『うん、やっぱりこれじゃあ君の心は揺らがないね。じゃあ思い切り、君が嫌がる事をしてあげようか。君の事だ、ノアに細工したのは気づいているよね。実はアレ、他の人に伝染する仕掛けが施されていてさ。既に魔王城と城下町の人達全員に伝っているんだよね。そんな状況で合図を送るとどうなるかわかるかい?』
「知らんな、ぜひ教えてもらいたいものだが」
『全員が発狂する。血みどろの殺し合いが始まるんだ。かつて君達に嗾けた奴らのようにね。勿論、隣のセレヴィも例外じゃない。正気を保てず、君の前で狂ったように踊ってくれるはずだよ』
「なっ!」
ヒガナは歪んだ笑みを浮かべた。
『さぁさぁどうする? 急いでそこから出ないと君とイナンナの夢が壊れちゃうよ? 君がそこから動けないとなると、他の魔王は放っておかないよねぇ。中枢が壊滅したとなれば、ここぞとばかりに沢山の敵が攻め込んでくるよねぇ。そうなったらガレオン領は滅ぶよねぇ、広大な領土を取り合って魔王達がまた醜い争いを始めるよねぇ! ああ早く見たいなぁ! 醜い欲望がぶつかり合う戦国の世の中がまた始まるんだ! そして君は何も出来ず、そこで指を咥えたまま眺めるしか出来ない、その時君はどんな顔をするのかなぁぁぁ!』
「……なるほどな、俺を執拗に狙ったのはそれが理由か。人間観察とは中々いい趣味を持っている」
ガレオンは血痰を吐き、木刀を放り捨てた。
『武器を捨てた、って事は降参かな? けど残念でした。もう合図を送っちゃうもんね! さぁ、いかれたパーティの始まりだ!』
ヒガナはガレオンを嘲笑いながら、術を発動した。
「―――Forbidden―――」
ガレオンが小さく呟いた。セレヴィの刻印が光るなり、鍵がかかったような音が鳴った。
ヒガナの影響は出ていない、セレヴィは正気のままだ。
『……あれ? なんで?』
「呪法は使えるようにしてくれているからな。だから遠慮なく使わせてもらうぞ、三つ目の呪法をな」
ガレオンは上衣をはぎ取った。半裸になった彼の背中には三つの印が刻まれていて、そのうちの一つが淡く光っていた。
『三つ目? 君は二つしか刻んでなかったんじゃ?』
「切り札は見せないものだ。こいつはマステマ達にも教えていないカードでな、誰も知るはずがない。呪法の名は「封印」、文字通りあらゆる事象や物質、生物さえも封じる力だ。俺の奴隷達は「服従」によって全員俺の影響下にある、お前が施した術を上書きするなど容易いものだ」
『……どういう事だい? 術を上書きするには、術者以上の力が必要になる。弱いはずの君が、どうして封印出来たんだい?』
「子供でも分かる単純な理屈だ。俺がお前より強いって事だよ」
ガレオンは不敵な笑みを浮かべた。
「「封印」は必要に駆られて刻んだんだ。何しろ強くなりすぎて、日常生活に支障をきたしていたものでな。力を抑え込まなければならなかったんだ。ただ、残念ながら俺は自分の力すら封じ込めないほど強くなっていてな。仕方なくある誓約を掛けて封じたのさ」
ガレオンはセレヴィを見やり、オールバックの髪を下ろした。
「その誓約は、「心から愛する者を守る時のみ力を解放する」事。本来なら、イナンナの夢を守るために作った誓約だが……たった今初めて、解放条件が変更されたんだ」
ガレオンが力を解放する条件、それは「セレヴィを守る時」。まさに、条件は満ちていた。
ヒガナに微かな動揺が見えた。ガレオンは指を鳴らし、口撃を重ねた。
「様子を見るに、俺の奴隷達を暴走させるのが切り札だったんだろう? ワンパターンだな、どれだけ俺がお前を殺したがっていたか、自分が優位に立つ事ばかり考えて、想像できなかったようだな。ええと、希望を与えてから絶望に堕とすとより効果的だったか? 気が合うな、同感だ」
『……ぐっ!』
ガレオンはずっと、ヒガナへの憎しみを募らせていた。だからこそ、耐えられた。奴に意趣返しをするために。
「ではこれから、俺の本当の全力をお見せしよう。各々思い知るがいい。ヒガナは喧嘩を売ったのが、正真正銘の化け物だという事を。セレヴィは俺がどれだけ、お前を恋焦がれているのかを」
ガレオンは目を閉じ、五芒星にⅡが重なった、特殊なシジルを足元に展開した。
「〈Grimwar〉」
短い詠唱の後、ガレオンの肌が硬質に変化し、全身に文様が浮かんだ。背中から太い尾が生え、シジルから小型の龍が現れる。髪も銀色に変化し、腰まで届く長さに伸びた。
ガレオンが龍の口に手を突っ込むと、赤と青の線が捻じれたような槍が飛び出した。
「龍は気にするな。体内から飛び出した臓器、いわば疑似器官みたいなもので、俺の体の一部だ。独立して動いているが、意思は持っていないんだよ」
『……ふはっ、魔王らしい姿になったじゃないか。けど君は勝てないよ。だってこの結界は君達を閉じ込めるために最大の力を使っているんだ! 力を解放した所で敗れる道理が
結界に大穴が空き、ヒガナの頭が吹っ飛んだと思ったら、すぐに再生した。
セレヴィの目にはそうとしか映らなかった。ガレオンが槍をヒガナにぶん投げると、結界を破ってヒガナに直撃し、頭を吹っ飛ばしたのだ。
でもって、ガレオンは「肉体錬成」でヒガナを蘇生させたのである。
「なんか言ったか?」
ヒガナは答えない。一瞬だが奴は確実に死んだ。刹那に味わった無限の苦痛と恐怖が駆け巡り、返事が出来なかったのだ。
ガレオンはくつくつと笑い、
「これより、処刑を執行する」
哀れな死刑囚に宣告した。
薄い桃色の結界を眺め、ガレオンは舌打ちした。
「俺達だけを閉じ込める結界か」
『よく出来ているだろう、褒めておくれよ』
「陰湿なやり方しか出来ない奴だ。第一、この程度で俺を封じられるとでも?」
ガレオンが放った雷は、結界に阻まれてしまった。セレヴィは勿論、ガレオンですら目を見張った。
『無駄だよ、君がどれだけ力をつけても、こちらだって同じ程度成長しているんだ。つまりあの頃と全く力関係は変わっていない、君ではこの結界を壊せないよ』
「だったら術者を潰せばいいだろう?」
木刀を振り被り、ガレオンはヒガナへ走った。
けど遅い、遅すぎる。ヒガナは嘲笑いながら飛び、結界の外へ逃げてしまった。
『君の魔法、加速だったっけねぇ。どうしたんだい? 使わなかったじゃないか。それとも、使えなかったのかな?』
セレヴィははっとし、マナの抽出を試した。
「だめだ、抽出が出来ない。結界で封じたな」
『その通り。その中に居る限り、お得意の魔法は使えないよ。残念だったね』
性格が悪い事に、結界の周囲を飛び回り、閉じ込められたガレオンとセレヴィを嗤っている。閉じ込めたまま逃げればいいものを、「お前達など手の中だ」と言わんばかりに煽り続けていた。
『さぁ、どうする? いつでも逃げられるけど、君と遊びたいからね。飽きるまでは付き合ってあげるよ。まぁ飽きたらすぐに帰らせてもらうけど。そしたら、ずぅーっと二人で過ごせばいいさ。誰の邪魔も入らない愛の巣だ』
「卑怯者め、それだけの力を持ちながら、なぜ正々堂々と戦わない! 見下げ果てたクズが!」
『だって痛い思いをしたくないもの。それに正々堂々戦わないからって、何か損するかい? 死ぬ思いをしてまで勝負する必要はあるのかい? 苦労してほんのちょっとの成果しか得られないなら、楽に解決する方へ逃げるべきだ。考え方が古いね』
「なんだと!?」
「そこまでだセレヴィ、こいつと話すだけ時間の無駄だ」
ガレオンは肩を竦めると、木刀を叩きつけた。
巨岩に亀裂が入り、衝撃の余波が大地を揺らす。口元に笑みをたたえ、ガレオンはヒガナを見上げた。
「お前は守られていればいい。そして見届けろ、お前が惚れた男の姿をな」
こんな状況だと言うのに、セレヴィはつい見惚れてしまった。
何があろうとお前を助ける。ガレオンは背中でそう伝えていた。世界で一番信頼できる男からのメッセージに頬が熱くなる。
しかしガレオンに手はあるのだろうか。魔法では結界を壊せず、少しでも動けばセレヴィが狙われる。ガレオンに付いて行くなんて、セレヴィには不可能だ。
と、ガレオンの右腕がちぎれ、遅れて衝撃波が襲ってくる。ヒガナが放った羽が彼の体を貫いたのだ。
結界はヒガナの攻撃だけ透過させるようだ。しかも奴の羽はソニックブームを引き起こしていた、つまり音速で飛んできたわけだ。
『さて、どこまで耐えられるかな?』
右腕を再生させたガレオンに、ヒガナは羽を次々に放った。この程度の攻撃、ガレオンなら避けられるのに、セレヴィを庇って自ら当たりに行ってしまう。直撃する度にガレオンの体が破壊され、それを呪法で修復する。
あまりにも分の悪い我慢比べだ。呪法は脳に多大な負荷を掛ける、ガレオンだからこそ耐えられるものの、精神と体力は確実に削られていく。
反撃は出来ず、回避もできない。一方的に嬲られ続け、徐々に呪法の効果も薄れていき、ガレオンは見る間に傷つけられていった。
それでも、彼の目は死んでいなかった。ヒガナをじっと睨み続け、反攻の機をうかがっていた。
『うん、やっぱりこれじゃあ君の心は揺らがないね。じゃあ思い切り、君が嫌がる事をしてあげようか。君の事だ、ノアに細工したのは気づいているよね。実はアレ、他の人に伝染する仕掛けが施されていてさ。既に魔王城と城下町の人達全員に伝っているんだよね。そんな状況で合図を送るとどうなるかわかるかい?』
「知らんな、ぜひ教えてもらいたいものだが」
『全員が発狂する。血みどろの殺し合いが始まるんだ。かつて君達に嗾けた奴らのようにね。勿論、隣のセレヴィも例外じゃない。正気を保てず、君の前で狂ったように踊ってくれるはずだよ』
「なっ!」
ヒガナは歪んだ笑みを浮かべた。
『さぁさぁどうする? 急いでそこから出ないと君とイナンナの夢が壊れちゃうよ? 君がそこから動けないとなると、他の魔王は放っておかないよねぇ。中枢が壊滅したとなれば、ここぞとばかりに沢山の敵が攻め込んでくるよねぇ。そうなったらガレオン領は滅ぶよねぇ、広大な領土を取り合って魔王達がまた醜い争いを始めるよねぇ! ああ早く見たいなぁ! 醜い欲望がぶつかり合う戦国の世の中がまた始まるんだ! そして君は何も出来ず、そこで指を咥えたまま眺めるしか出来ない、その時君はどんな顔をするのかなぁぁぁ!』
「……なるほどな、俺を執拗に狙ったのはそれが理由か。人間観察とは中々いい趣味を持っている」
ガレオンは血痰を吐き、木刀を放り捨てた。
『武器を捨てた、って事は降参かな? けど残念でした。もう合図を送っちゃうもんね! さぁ、いかれたパーティの始まりだ!』
ヒガナはガレオンを嘲笑いながら、術を発動した。
「―――Forbidden―――」
ガレオンが小さく呟いた。セレヴィの刻印が光るなり、鍵がかかったような音が鳴った。
ヒガナの影響は出ていない、セレヴィは正気のままだ。
『……あれ? なんで?』
「呪法は使えるようにしてくれているからな。だから遠慮なく使わせてもらうぞ、三つ目の呪法をな」
ガレオンは上衣をはぎ取った。半裸になった彼の背中には三つの印が刻まれていて、そのうちの一つが淡く光っていた。
『三つ目? 君は二つしか刻んでなかったんじゃ?』
「切り札は見せないものだ。こいつはマステマ達にも教えていないカードでな、誰も知るはずがない。呪法の名は「封印」、文字通りあらゆる事象や物質、生物さえも封じる力だ。俺の奴隷達は「服従」によって全員俺の影響下にある、お前が施した術を上書きするなど容易いものだ」
『……どういう事だい? 術を上書きするには、術者以上の力が必要になる。弱いはずの君が、どうして封印出来たんだい?』
「子供でも分かる単純な理屈だ。俺がお前より強いって事だよ」
ガレオンは不敵な笑みを浮かべた。
「「封印」は必要に駆られて刻んだんだ。何しろ強くなりすぎて、日常生活に支障をきたしていたものでな。力を抑え込まなければならなかったんだ。ただ、残念ながら俺は自分の力すら封じ込めないほど強くなっていてな。仕方なくある誓約を掛けて封じたのさ」
ガレオンはセレヴィを見やり、オールバックの髪を下ろした。
「その誓約は、「心から愛する者を守る時のみ力を解放する」事。本来なら、イナンナの夢を守るために作った誓約だが……たった今初めて、解放条件が変更されたんだ」
ガレオンが力を解放する条件、それは「セレヴィを守る時」。まさに、条件は満ちていた。
ヒガナに微かな動揺が見えた。ガレオンは指を鳴らし、口撃を重ねた。
「様子を見るに、俺の奴隷達を暴走させるのが切り札だったんだろう? ワンパターンだな、どれだけ俺がお前を殺したがっていたか、自分が優位に立つ事ばかり考えて、想像できなかったようだな。ええと、希望を与えてから絶望に堕とすとより効果的だったか? 気が合うな、同感だ」
『……ぐっ!』
ガレオンはずっと、ヒガナへの憎しみを募らせていた。だからこそ、耐えられた。奴に意趣返しをするために。
「ではこれから、俺の本当の全力をお見せしよう。各々思い知るがいい。ヒガナは喧嘩を売ったのが、正真正銘の化け物だという事を。セレヴィは俺がどれだけ、お前を恋焦がれているのかを」
ガレオンは目を閉じ、五芒星にⅡが重なった、特殊なシジルを足元に展開した。
「〈Grimwar〉」
短い詠唱の後、ガレオンの肌が硬質に変化し、全身に文様が浮かんだ。背中から太い尾が生え、シジルから小型の龍が現れる。髪も銀色に変化し、腰まで届く長さに伸びた。
ガレオンが龍の口に手を突っ込むと、赤と青の線が捻じれたような槍が飛び出した。
「龍は気にするな。体内から飛び出した臓器、いわば疑似器官みたいなもので、俺の体の一部だ。独立して動いているが、意思は持っていないんだよ」
『……ふはっ、魔王らしい姿になったじゃないか。けど君は勝てないよ。だってこの結界は君達を閉じ込めるために最大の力を使っているんだ! 力を解放した所で敗れる道理が
結界に大穴が空き、ヒガナの頭が吹っ飛んだと思ったら、すぐに再生した。
セレヴィの目にはそうとしか映らなかった。ガレオンが槍をヒガナにぶん投げると、結界を破ってヒガナに直撃し、頭を吹っ飛ばしたのだ。
でもって、ガレオンは「肉体錬成」でヒガナを蘇生させたのである。
「なんか言ったか?」
ヒガナは答えない。一瞬だが奴は確実に死んだ。刹那に味わった無限の苦痛と恐怖が駆け巡り、返事が出来なかったのだ。
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