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1章

第15話

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「メリーア様。」
「へレア。……その様子だと…」
「はい…、カイル様は予想通りでした。しかしゼルヴィーサ様は流石ですね。」


私は、ドーフェンやゼルヴィーサ様、カイルとの先程の会話内容を大まかに話した。
メリーア様は特に驚くこともなく、寧ろ納得している様ね。


「こんな所にいたのか、へレア。リアも一緒だったのだな。」


背後から声をかけてきたのは、クレスディア殿下だった。
パーティーの最初に王族へ挨拶する時間があるので、それ以降は挨拶をしなくて良いことになっている。
とはいえ数分前までは王太子としての椅子に座っていたはずなのだけれど…、一体いつの間に私達の後ろまで来られていたのでしょうね…。
こちらを見る殿下の表情は、少し険しいものだった。


「クレスディア殿下。こちらに来られて大丈夫なのですか?」
「ああ、問題ないさ。陛下から会話や食事を楽しんでこいと言われたからね。」


そう仰ると、すぐ近くのテーブルから料理を取って食べている。
しかし険しい表情に変わりはない。
何かあったのかしら……。


「へレア、一つ聞きたい。」
「何でしょう?」
「君の義妹ライラのことなんだが……」


もしかしてクレスディア殿下もライラに……そう心配したけれど、杞憂に終わった。


「…彼女は一体何者だい?」
「……はい?」


思わず本音の方の私が出てしまった…。学園の生徒会の時間などは普通にしているけれど、パーティー会場など公式の場では口調を少し変えていた。なので殿下も普段の私が出たことに少し驚かれている。
しかし質問が質問ね。急に義妹が何者かと聞かれては、反応がこうなるのも仕方がないでしょう。


「何かこう……言い表せないようなものを纏っているように感じる。近付けば自分にも影響が及ぶ可能性があるだろうね。先日のルーバティー通りで会った時にも感じたから、補佐に合図を送って話を終わらせたんだ。」
「「……。」」


私とメリーア様は目を見合せた。数回瞬きをし、互いに驚いていることが分かった。
殿下は魔力量が多い。故に見抜けたのでしょう。ゼルヴィーサ様と同じタイプだったようね。
転生や乙女ゲームについては何人たりとも教えない、これはメリーア様と決めたこと。たとえ未来の王であったとしても話すことはしないと誓っている。
つまりはライラのことについても、真実を話すことは出来ないのよね。


「そう言われましても…。正直、私も困惑しています。今回のパーティー、このようなことになるとは……。」
「貴族の多くが彼女の味方になってしまっている。だが彼女は将来、王国に災厄を招くだろう。ここだけの話だが、陛下も危険視されていたよ。」


私達にしか聞こえないような小声で話す殿下。まさか国王陛下も危険視されていたとは。
けれどこれならば、この国が悪い方へと向かうことはないでしょう。
油断は出来ないけれど、少し安心出来るわね。


「リア、へレア。君達に頼みたいことがあるんだ。いいかい?」
「「勿論です。」」
「彼女について、調査をして欲しい。あの不思議な能力に関してはゼルヴィーサとも協力してくれ。私は影響を受けていない貴族を調べ、味方に出来るよう動くとしよう。」



クレスディア殿下は友人である私達を信頼してくれているのね……、カイルは別だけれど。
とりあえず、私とメリーア様、そしてゼルヴィーサ様を含む3人で話し合う必要がありそうね。
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