ヒロインが私を断罪しようとしていて、婚約破棄確定です
「ねえ、やめましょうよ」
「今更何を言っているんだ。このチャンスを逃せば俺達の命はない」
彼は私の体を支えるように腰に手を回す。
私が転生した聖女というのはこの国の守り神である光の女神と闇の魔王との戦いを止めるためにある程度の力をつけるというもの。
彼が私の婚約者でこの国の第一王子であるアルス。
私の記憶の通りに行けば、この次に現れるヒロインが私の婚約者に恋をして、私を断罪して婚約破棄させるらしい。
まあ、その断罪も私と結婚して王になるのが嫌だとかそんな内容だったと思うけれど、その時は私が悪役令嬢として学園で好き勝手やっていたから、別に恨まれるようなことをしているわけではないと思うのだけれど。
だから私が心配しているのはその後のこと。
「もう少ししたらこの国と闇の魔王が同盟を結んで、そのあとに勇者召喚を行う。そうすれば俺達が生き残る術はなくなる」
「だから、やめましょうって」
私が転生した乙女ゲーム『貴方に捧げる溺愛』には続編がある。
続編では私が学園に入学する前から闇の魔王との戦いは始まっており、それに聖女の力が必要なものだったということになっている。
その力を手に入れるために私は学園に入り、攻略対象の誰かと仲を深めていくという流れである。
そして攻略対象の一人には王子アルスがいたのだ。
ヒロインとの恋愛要素もあるのだけれど、それはどうでもいい。
私のハッピーエンドは王子と結婚をせずに他国に嫁ぐことであり、そして一応結婚エンドもあるのだ。
王子ルートでは最後に婚約破棄を言い渡してくるのだが、その婚約破棄をする理由が『お前とはもうやっていけない』というものだったはずだ。
つまりアルスにとって私はお荷物ということである。
「なんで私がやらないといけないのよ」
「君が聖女だからに決まっているだろう」
私は悪役令嬢として乙女ゲームをプレイしていたから知っている。
この乙女ゲームに出てくる攻略対象はアルスを含めて五人いるのだが、その内の一人が第一王子の婚約者である公爵令嬢の私だ。
つまり、ここで私が婚約破棄をされたところで次に待ち受けるのは婚約破棄をされた悪役令嬢が国外追放されるバッドエンドなのだ。
「第一王子妃なんて私には荷が重いわ」
「何を言っているんだ! これは君にしかできないことなんだ!」
そんなこんなしているうちに光の女神の祭壇へとたどり着いてしまった。
「さあ、覚悟を決めるんだ」
アルスのその言葉と共に私は光の女神の祭壇へと足を踏み入れた。
これで私には悪役令嬢としての力と、ヒロインとしての力が備わるはず。
「今更何を言っているんだ。このチャンスを逃せば俺達の命はない」
彼は私の体を支えるように腰に手を回す。
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彼が私の婚約者でこの国の第一王子であるアルス。
私の記憶の通りに行けば、この次に現れるヒロインが私の婚約者に恋をして、私を断罪して婚約破棄させるらしい。
まあ、その断罪も私と結婚して王になるのが嫌だとかそんな内容だったと思うけれど、その時は私が悪役令嬢として学園で好き勝手やっていたから、別に恨まれるようなことをしているわけではないと思うのだけれど。
だから私が心配しているのはその後のこと。
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