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2章
第29話
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※ライラ視点
──翌日──
……全くもって、上手くいかない。
何もかもが失敗に終わっていると感じるわ。
昨日もそうよ。せっかくクレスディアへ魅了魔法をかけることに成功したと言うのに、すぐに解除されてしまったわ。
1番面倒なサブクエストをクリアして、ようやく手に入るアイテムだというのに…。今頃は回収されて、研究所で解析されているのでしょうね。
でも術者が誰なのかを調べても無駄よ。これは乙女ゲーム内におけるゲーム要素の一つ。予め用意されていて、クエストの依頼主が人を伝って得たもの。その他には確か、『術者不明のアイテム』と説明の初めに書かれていたわね。
私は前世の記憶を取り戻した数日後に、2年かけて5つ全てのアイテムを回収しておいたわ。
ゲームでは本編と別の場所でサブクエストをクリアするようになっているのよ。つまりは、本編の時間が進んでいない。でもこの世界では進んでしまうから、早めに前世の記憶を思い出せたことに感謝ね。
とはいえ……
「あの時、ドーフェンさえいなければ……、…ドーフェンね……。」
生徒会の5人の中で、最も我が強いのはドーフェンでしょう。そして物事もはっきりと言う。
商人として思考が読みずらいのも彼だけれど、魅了してしまえば関係ないわよね?
最初は権力目当てでクレスディアにしたわ。でも彼には『押し切る』という手段を選べない。優しいから、他人に強制できないのでしょうね。
その点、ドーフェンなら問題ないわね。事実上は平民だけれど、国王も一目置いているシルド商会の嫡男。権力、人脈、情報、さらには金も手に入ると考えれば、初めからドーフェンにアイテムを使うべきだったわ。
とりあえず善は急げね。
昨日の内に手に入れたアイテムを、今日はドーフェンにつけなければ。
そう思っていたのだけれど……
「フェン、次の授業に行きますよ。」
「ああ。」
ドーフェンが1人になるタイミングがないのよ!
有り得ないでしょう?何処に行くにも、クレスディアとゼルヴィーサがついてくるわ。それにメリーアと義姉のへレアですら、1人で居ることがないのよ。
だからこそ察したわ。昨日の定例会で、私への対策を考えたのだ…とね。
たとえ対策されようと、私には関係ないわ。1人になるタイミングがないのならば、1人にさせれば良いのよ。
「これをドーフェン様に渡して貰える?でも私の名前は出さないで欲しいの。」
「勿論よ!ライラの頼みだもの。」
「ふふっ、ありがとう。」
私に心酔しているクラスメイトに手紙を託し、私とバレないように渡させたわ。
内容は、『大事な話があるので放課後に1人で校舎裏に来て欲しい』というもの。
渡してきた人が私でないなら、きっとドーフェンは1人で現れるわ。
彼さえ手に入れば全て上手くいくでしょうね。
「渡してきたわよ、ライラ。」
「ありがとう。彼は何と?」
「何も仰らなかったのだけど、私からの告白と思ってるかもしれないわ……。」
「そう…。」
これでいいわ。
ドーフェンが一人で来てくれさえすれば良いのだから──
──翌日──
……全くもって、上手くいかない。
何もかもが失敗に終わっていると感じるわ。
昨日もそうよ。せっかくクレスディアへ魅了魔法をかけることに成功したと言うのに、すぐに解除されてしまったわ。
1番面倒なサブクエストをクリアして、ようやく手に入るアイテムだというのに…。今頃は回収されて、研究所で解析されているのでしょうね。
でも術者が誰なのかを調べても無駄よ。これは乙女ゲーム内におけるゲーム要素の一つ。予め用意されていて、クエストの依頼主が人を伝って得たもの。その他には確か、『術者不明のアイテム』と説明の初めに書かれていたわね。
私は前世の記憶を取り戻した数日後に、2年かけて5つ全てのアイテムを回収しておいたわ。
ゲームでは本編と別の場所でサブクエストをクリアするようになっているのよ。つまりは、本編の時間が進んでいない。でもこの世界では進んでしまうから、早めに前世の記憶を思い出せたことに感謝ね。
とはいえ……
「あの時、ドーフェンさえいなければ……、…ドーフェンね……。」
生徒会の5人の中で、最も我が強いのはドーフェンでしょう。そして物事もはっきりと言う。
商人として思考が読みずらいのも彼だけれど、魅了してしまえば関係ないわよね?
最初は権力目当てでクレスディアにしたわ。でも彼には『押し切る』という手段を選べない。優しいから、他人に強制できないのでしょうね。
その点、ドーフェンなら問題ないわね。事実上は平民だけれど、国王も一目置いているシルド商会の嫡男。権力、人脈、情報、さらには金も手に入ると考えれば、初めからドーフェンにアイテムを使うべきだったわ。
とりあえず善は急げね。
昨日の内に手に入れたアイテムを、今日はドーフェンにつけなければ。
そう思っていたのだけれど……
「フェン、次の授業に行きますよ。」
「ああ。」
ドーフェンが1人になるタイミングがないのよ!
有り得ないでしょう?何処に行くにも、クレスディアとゼルヴィーサがついてくるわ。それにメリーアと義姉のへレアですら、1人で居ることがないのよ。
だからこそ察したわ。昨日の定例会で、私への対策を考えたのだ…とね。
たとえ対策されようと、私には関係ないわ。1人になるタイミングがないのならば、1人にさせれば良いのよ。
「これをドーフェン様に渡して貰える?でも私の名前は出さないで欲しいの。」
「勿論よ!ライラの頼みだもの。」
「ふふっ、ありがとう。」
私に心酔しているクラスメイトに手紙を託し、私とバレないように渡させたわ。
内容は、『大事な話があるので放課後に1人で校舎裏に来て欲しい』というもの。
渡してきた人が私でないなら、きっとドーフェンは1人で現れるわ。
彼さえ手に入れば全て上手くいくでしょうね。
「渡してきたわよ、ライラ。」
「ありがとう。彼は何と?」
「何も仰らなかったのだけど、私からの告白と思ってるかもしれないわ……。」
「そう…。」
これでいいわ。
ドーフェンが一人で来てくれさえすれば良いのだから──
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