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2章
第32話
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「……不良品だったのかしら…。ごめんなさいね、ドーフェン。プレゼントはまたの機会にあげるわ。」
「あ、ああ。」
それらしい言葉を言ったけれど、ドーフェンは私に疑いの眼差しを向けている。今度はブレスレットが砕け散ったことに違和感を覚えたようね。幸い、私が闇魔法を使ったことは気付かれていない様子。
「何で……何でそうなるのよっ!」
思い通りにいかないことに、かなり腹を立てているライラ。
魔道具にも不良品はあるでしょう?このブレスレットは不良品だった…、ただそれだけよ。私は何もしていないわ。ええ、そういうことにしましょう。もしくはドーフェンが対策をしていた……、こちらの方がしっくりくるわね。
ライラは隠れていた場所から自然に出てきた。俯きつつゆっくりとこちらに向かってくる。
「……ドーフェン様…。…っ!」
ある程度近付いたところで、ライラは顔を上げて一気にドーフェンと距離を詰めた。
おそらく抱きつこうとしたのでしょう。自身の持つ光の魔力で、魅了状態にしてしまおうと考えたのね…。
けれどドーフェンは風魔法で彼女を遠ざけた。流石は商人のドーフェン、正しく冷静な判断ね。
「悪い…、君から異様な雰囲気を感じた。」
「…酷い……酷いですっ!ただ私は、近付いただけなのに!」
「ドーフェン!私の大切なライラに、魔法をぶつけるなんて…!」
「……。」
「行きましょう、ライラ。これ以上近付いたら、何をされるか分からないわ。」
半強制的にこの場から離れさせる。
ここでドーフェンを怒らなければ、きっと魅了されていないと気付かれてしまう。だからこそ、表情は変えずに言葉だけ怒っているというようにしたわ。ライラから私の顔が見えない位置で言ったから疑問にも思わないはずだけれど、きっとドーフェンの方は私の意図に気付いているでしょう。
メリーア様にかけた闇魔法を解き、私はライラと共にその場を離れたわ。
寮へと向かいながら、彼女が聞いてきた。
「お義姉様、何故ブレスレットがあんなことになったのですか?」
「分からないわ。普通に通そうとしたのだけれど、私の手から離れた瞬間に砕け散ったのよ…。」
「……。」
「ドーフェンは大商人の息子だから、日頃から様々な物に対する対策をしていたのかもしれないわ。もしかすると彼がどこかに身に付けていた魔道具によって弾かれた可能性も…。あのブレスレットに、何か効果はなかった?もし魔道具だったのなら、砕け散ったことに不思議はないのだけれど…。」
一方的に話してみたわ。我ながらよく出来た話でしょう?
けれどライラは、私を疑っているようね。私に付けた髪飾りを触り、魅了魔法が発動しているか確かめている様子。
しっかりと私が魅了状態にあると分かった上で、私に質問してきた。その声音は演技をしているライラより低い。
「お義姉様…、私はお義姉様の何かしら。」
「世界一、大切で大好きな義妹よ。あなたの為なら何でもするわ。」
「何でも…ね。それに即答…。その言葉を聞けて安心しましたっ。」
即答する、その作戦は上手くいったわね。
私にとってライラは、友人を害する存在でしかない。家族と言えど義理。血の繋がりは無いのだから、彼女がどうなろうと私はどうでも良いのよね。
『大切で大好き』ではなく『害悪で目の前から居なくなって欲しい存在』…と言ったところかしら。
魅了魔法をかけてまで好きになって欲しいなんて、普通思わないわ。そこに相手の本物の感情は無いのだから、私であれば絶対に嫌ね。それに魅了魔法を維持し続けるのも大変だもの。
「これからも、私の手足となって色々と手伝ってくださいね?」
不敵な笑みを浮かべ、私を覗き込んでくるライラ。
私も笑顔で答える。
「勿論よ。みんなの為に、どんなことでも妨害するわ。」
「あ、ああ。」
それらしい言葉を言ったけれど、ドーフェンは私に疑いの眼差しを向けている。今度はブレスレットが砕け散ったことに違和感を覚えたようね。幸い、私が闇魔法を使ったことは気付かれていない様子。
「何で……何でそうなるのよっ!」
思い通りにいかないことに、かなり腹を立てているライラ。
魔道具にも不良品はあるでしょう?このブレスレットは不良品だった…、ただそれだけよ。私は何もしていないわ。ええ、そういうことにしましょう。もしくはドーフェンが対策をしていた……、こちらの方がしっくりくるわね。
ライラは隠れていた場所から自然に出てきた。俯きつつゆっくりとこちらに向かってくる。
「……ドーフェン様…。…っ!」
ある程度近付いたところで、ライラは顔を上げて一気にドーフェンと距離を詰めた。
おそらく抱きつこうとしたのでしょう。自身の持つ光の魔力で、魅了状態にしてしまおうと考えたのね…。
けれどドーフェンは風魔法で彼女を遠ざけた。流石は商人のドーフェン、正しく冷静な判断ね。
「悪い…、君から異様な雰囲気を感じた。」
「…酷い……酷いですっ!ただ私は、近付いただけなのに!」
「ドーフェン!私の大切なライラに、魔法をぶつけるなんて…!」
「……。」
「行きましょう、ライラ。これ以上近付いたら、何をされるか分からないわ。」
半強制的にこの場から離れさせる。
ここでドーフェンを怒らなければ、きっと魅了されていないと気付かれてしまう。だからこそ、表情は変えずに言葉だけ怒っているというようにしたわ。ライラから私の顔が見えない位置で言ったから疑問にも思わないはずだけれど、きっとドーフェンの方は私の意図に気付いているでしょう。
メリーア様にかけた闇魔法を解き、私はライラと共にその場を離れたわ。
寮へと向かいながら、彼女が聞いてきた。
「お義姉様、何故ブレスレットがあんなことになったのですか?」
「分からないわ。普通に通そうとしたのだけれど、私の手から離れた瞬間に砕け散ったのよ…。」
「……。」
「ドーフェンは大商人の息子だから、日頃から様々な物に対する対策をしていたのかもしれないわ。もしかすると彼がどこかに身に付けていた魔道具によって弾かれた可能性も…。あのブレスレットに、何か効果はなかった?もし魔道具だったのなら、砕け散ったことに不思議はないのだけれど…。」
一方的に話してみたわ。我ながらよく出来た話でしょう?
けれどライラは、私を疑っているようね。私に付けた髪飾りを触り、魅了魔法が発動しているか確かめている様子。
しっかりと私が魅了状態にあると分かった上で、私に質問してきた。その声音は演技をしているライラより低い。
「お義姉様…、私はお義姉様の何かしら。」
「世界一、大切で大好きな義妹よ。あなたの為なら何でもするわ。」
「何でも…ね。それに即答…。その言葉を聞けて安心しましたっ。」
即答する、その作戦は上手くいったわね。
私にとってライラは、友人を害する存在でしかない。家族と言えど義理。血の繋がりは無いのだから、彼女がどうなろうと私はどうでも良いのよね。
『大切で大好き』ではなく『害悪で目の前から居なくなって欲しい存在』…と言ったところかしら。
魅了魔法をかけてまで好きになって欲しいなんて、普通思わないわ。そこに相手の本物の感情は無いのだから、私であれば絶対に嫌ね。それに魅了魔法を維持し続けるのも大変だもの。
「これからも、私の手足となって色々と手伝ってくださいね?」
不敵な笑みを浮かべ、私を覗き込んでくるライラ。
私も笑顔で答える。
「勿論よ。みんなの為に、どんなことでも妨害するわ。」
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