上 下
5 / 255

興味が湧いた (王子視点)

しおりを挟む
「初めまして、両殿下。お会い出来て嬉しいです。」


目の前でそう言って笑顔を向けてくる同い年の少女。
他の令嬢達とは違う雰囲気を感じた。
ぎこちない笑顔。
笑ってしまいそうだった。
ここまで演技を隠せていない令嬢は初めてだ。
他の者はと言うと、


『殿下とお近づきになりたい。』

『少しでも仲良くしたい。なんなら婚約者に……。』


そう思って近づいて来るため、好印象を与えようと必死になっているのが分かる。
どの貴族達も同じだ。
自分が王家という権力者が故に、仕方のない事なのは分かっているが、正直に言うと面倒だと思っていた。
とまぁ、令嬢とその両親達はこんな感じで、令息…つまり男側はと言うと…


『護衛を任されるように、良い印象を!』


と言うような感じが溢れ出ていた。
令嬢と差程変わらない。
だが目の前の彼女はどうだろうか。
笑顔を作ってはいるが、無理しているように見える。
本当は自分に会うのが嫌なのだろうか?
なんて事を考えてしまう。


(貴族のご令嬢なのに変な子だなぁ。親は立派な大臣。私を狙える立場のはず。だけど全くそんなことに興味はないって感じだ。それどころか避けられているような…?フフフ…興味が湧いたなぁ、あの子。)


彼女の父ラーノンス侯と話している間も、ついついヴァリフィアと言う少女を見てしまう。
自分と同い年だそうだが、貴族のこういう場は面倒だという顔をしている。
自分も同じ事を思っていた為、その気持ちがよく分かる。

彼女達が去っていった後、その後ろ姿を見ながら、


(今度プライベートでお茶にでも誘おうかな?)


そんな事を考えていた。
しかし、兄の様子の変化に、弟が気付かぬはずもない。
心の中で、第3王子レイジアは思う。


(ディル兄様、あの子の事を気に入ったみたい。珍しく口元が緩んでる……。ニヤニヤしてて少し怖い…。)


そうして、ヴァリフィアは第2王子ディルジアのお気に入りとなってしまった……。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

役目を終えて現代に戻ってきた聖女の同窓会

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,458pt お気に入り:78

顔の良い灰勿くんに着てほしい服があるの

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:333pt お気に入り:0

【完結】ある日突然、夫が愛人を連れてくるものですから…

恋愛 / 完結 24h.ポイント:241pt お気に入り:3,461

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:5,362pt お気に入り:1,503

婚約破棄はいいけどコンニャク破棄だけはお許しください!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:260

やり直せるなら、貴方達とは関わらない。

BL / 連載中 24h.ポイント:6,209pt お気に入り:2,720

秘密の男の娘〜僕らは可愛いアイドルちゃん〜 (匂わせBL)(完結)

Oj
BL / 完結 24h.ポイント:340pt お気に入り:8

待ち遠しかった卒業パーティー

恋愛 / 完結 24h.ポイント:5,797pt お気に入り:1,294

処理中です...