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ひと時の監視役(王子視点)

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「ディルジア、呼び出してすまないな。」

「いえ、お気になさらずに。それで、ご要件は何でしょうか。」

「ああ。先程、『フルシーネア学園』の学園長からこんなものが届いてな。」

「これは……?」


そこには、ヴァリフィアがスフレを圧倒したという事が書かれていた。


「スフレ先生は、王国内3位の実力者でしたね。そんな先生を、油断していたとはいえ一瞬で……。」

「目的は『最上級魔法が使用可能なのかを確かめること』だったそうだが。」

「……返り討ちにあったのですか。」

「ああ。それも、初級魔法と中級魔法のみで、らしい。」

「それはまた……。」

「更に、彼女が言った言葉が、『魔法は威力ではなく技量』との事らしい。」

「いかにも、彼女が言いそうですね。」

「何故そんなに嬉しそうなんだ……?」

「いえ、何も。それで、これを見せた理由をお聞きしても?」

「そうだな。お前にはヴァリフィア令嬢と常に居てもらいたい。」


ディルジアは一瞬きょとんとした顔になる。
それを見た国王陛下は、


「嫌なのか?」

「嫌ではないです。それに、婚約者と一緒にいるということは、普通ですから。」


笑顔でそう言う。
更に続けて、国王父上は言った。


「私が探りを入れていると思われてはいけない。分かっているな?」

「勿論です。ヴァリフィアの監視、お任せを。何かあり次第、ご報告させていただきます。」

「頼んだぞ。」

「はっ。失礼致します。」


僕は部屋を出ると、颯爽と馬車に乗り、学園へと戻った。


(ヴァリフィアの監視役かぁ。空いた時間にしか傍に居られなかったが、任務があるとなれば、周りにとやかく言われる筋合いは無くなる。
ありがとう、父上っ!)


と、内心でとても喜んでいた。
しかし、ヴァリフィアは察しが良く、次の日にばれてしまった。


「殿下、陛下から監視するよう言われましたね?」

「そ、そんなことはないよ。」

「嘘ですわね。目が泳いでいますよ。」

「うっ。」


そうして、直ぐに陛下に報告したところ、『ヴァリフィア嬢を王城へと招くように』と言われた。


(せっかくのチャンスだったのに……。)


嘆いているディルジアなのだった。
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