上 下
95 / 255

少し子供っぽい……?(王子視点)

しおりを挟む
ヴァリフィア達と会う前日、ディルジアは国王陛下父上に書斎へと呼び出されていた。


「ディルジアよ、またかと思うかもしれないが、お前に調査してもらいたい事がある。」

「国のため、陛下のために尽くす事が、この国の王子たる私の務めにございます。なんなりとお申し付けください。」

「そう言ってくれるとありがたい。……とある貴族が、己が贅を尽くすために民から金を巻き上げているという密告があった。」

「密告…ですか。」

「ああ。その貴族の邸に務めている者からな。そこで、だ。
その密告者に扮し、内部から情報を探ってもらう。」

「はっ、承知致しました。」

「とは言え、ディルジアは変身魔法が苦手だったな。」

「恐れながら…。」

「変身魔法が得意な者……アーリグェー公の次男が、変身魔法を得意としていたな。協力を取り付けると良い。」

「はっ。」


(密告者か……簡単に言うと、敵の敵は味方って事だよね。それにしても変身魔法か…。彼女ヴァリフィアも使えるよね。)


ディルジアはそう考え、提案することにした。
国王陛下は必ず許可を出すという確信もあった。


「陛下、一つよろしいのでしょうか。」

「構わぬ、申してみよ。」

「はい。……ヴァリフィアにも協力を要請してよろしいのでしょうか。」

「それなのだがな…毎度の如くヴァリフィアに協力してもらっている。今回は遠慮しようと思うのだ。」

「そうですか……。」


ディルジアは明らかに落ち込んだ様子になり、それを見て国王陛下は苦笑する。
そして少しにやりと笑いながら、


「ディルジアよ、ヴァリフィアの協力が必要だと思うか?」

「はいっ!」

「ならば、仕方あるまいな。ヴァリフィアにも協力を頼むと良い。」

「承知致しましたっ!」


途端に顔がぱっと明るくなり、笑顔になる。
王子らしさはどこえやら。


「話は以上だ。行って良いぞ。」

「はっ、失礼致します。」


(本当、ヴァリフィアの事となると分かりやすいな…。まぁ、ディルジアらしいと言えばらしいのだが。)


微笑ましく思う国王陛下。
報告の際、どのような様子で来るのか、少し楽しみになる--
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

役目を終えて現代に戻ってきた聖女の同窓会

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,458pt お気に入り:78

顔の良い灰勿くんに着てほしい服があるの

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:333pt お気に入り:0

【完結】ある日突然、夫が愛人を連れてくるものですから…

恋愛 / 完結 24h.ポイント:241pt お気に入り:3,461

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:5,362pt お気に入り:1,503

婚約破棄はいいけどコンニャク破棄だけはお許しください!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:260

やり直せるなら、貴方達とは関わらない。

BL / 連載中 24h.ポイント:6,209pt お気に入り:2,720

秘密の男の娘〜僕らは可愛いアイドルちゃん〜 (匂わせBL)(完結)

Oj
BL / 完結 24h.ポイント:340pt お気に入り:8

待ち遠しかった卒業パーティー

恋愛 / 完結 24h.ポイント:5,797pt お気に入り:1,294

処理中です...