上 下
166 / 255

教師達の腕はどれほどのもの…?

しおりを挟む
学園の授業が終わり、ホームルームの時間となった。
スフレがクラスルームに入ってくると、室内は静まり返る。
いつものように明日の予定を伝え、終わるかに思えたのだが……。


「もう一つ報せがある。今日より1週間、放課後の演習場は使用禁止とさせてもらう。」

「何故ですか!?」

「訓練が出来ません!」


戦闘狂のような男子生徒が次々に言葉を発しだした。
耳を塞ぎたくなるほどの声に、スフレは睨みをきかし、一言。


「静かに!」


たったそれだけで、気圧されて静かになる。
生徒達の背筋が伸び、次の言葉を恐る恐る待つ。
冷や汗を流している生徒もいた。


「説明は最後まで聞くことだ。明日より1週間、宮廷魔法師による教師達への実演を伴った講演が行われる。7日間それぞれ違う宮廷魔法師の方が来られる予定だ。」

「あの……スフレ先生。」

「何だ?」

「その様子を見ることは出来ないのでしょうか。」

「残念ながら、その許可は出ていない。とはいえ、宮廷魔法師の方に教えてもらえる機会はあるぞ。最高学年になると、1回のみ直々に授業をしてくれる。これは毎年行われている。」

「そうなのですね!ではその時を心待ちにしています。」

「ああ、そうしてくれ。ではホームルームを終了する。お疲れ様。」


今の宮廷魔法師の実力がどれほどのものか、興味が湧いた。
スフレの実力を考えれば、私より弱いことは明らかなのだが。
そんなことを思っていると、丁度よくエフェンが近くにいたので、聞いてみることにした。


「エフェン様。」

「ん?どうした、ヴァリフィア。」

「宮廷魔法師って、どのくらいの強さがあるのですか?」

「そうだね……スフレ先生の10分の7くらいかな。」

「そう……弱いですね。」

「ヴァリフィアが強すぎるだけさ。他国を含めて、この国の宮廷魔法師達は一番強いと思うよ。」

「えぇ~……。あれで…ね…。」

「あれで…と言うが、かなり強い方だぞ?」

「そうなのですか。」

「これはもう、興味を失った時の反応だな。棒読みだ…。」


(聞いてもしょうがない事だったなぁ……。確かに、スフレ先生が王国の実力者という時点で、分かっていたことなのだけれど。)


聞いて損した……とまではいかないが、意味の無い質問だったなと思ってしまう。
私はお礼を言って、身を翻し演習場へと向かおうとしたのだが、エフェンが声をかけてきた。


「スフレ先生は上手く言ってくれていたな。」

「何の話です?」

「私とヴァリフィアの仲だ、隠す必要もないと思うが…。ヴァリフィアが教師達に芸術魔法を教えるのだろう?」

「流石は『情報屋』ですね。その通りですよ。さて、早く行かなければなりませんので、私はこれで。」

「ああ。しっかりと教えてあげなよ。」

「誰に言っているのです?」

「ははっ。その返し、ヴァリフィアらしいよ。」


そしてその後の1週間、私は教師達に毎日、日が暮れるまで魔法を教えた。
お陰様で疲れが溜まっている。
少し休みたいと思うのであった…。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

完結 穀潰しと言われたので家を出ます

恋愛 / 完結 24h.ポイント:994pt お気に入り:325

【完】眼鏡の中の秘密

BL / 完結 24h.ポイント:1,308pt お気に入り:43

最愛の人がいるのでさようなら

恋愛 / 完結 24h.ポイント:64,602pt お気に入り:650

大好きなあなたを忘れる方法

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:15,348pt お気に入り:1,025

悪徳令嬢はヤンデレ騎士と復讐する

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:2,016pt お気に入り:259

処理中です...