22 / 80
3.囚われの華
第3地区事件対策
しおりを挟む
ミナトはヒデトを引き連れて事故のあった現場へと向かう。
ヒデトの報告にあった通り、今もそこは影響が続いている。
爆発の影響で建物は破壊され、あたりに瓦礫や物が散乱している。
負傷者の対応は全て済んでおり、人が容易に立ち入らないように結界が施されていた。
物を簡単に治す事はできても、恐怖に襲われて精神を病んでしまった人の治療はしばらく続くだろう。
ミナトはあの時、不審者についての速報を知り、それが緊急性の高いものだと判断した。
ヒデトに知らせるよりも、自分が動いた方が早いと考えたため、数人引き連れて現場に急行したところ、敵もその追跡に気づき、何かを爆発させたのだった。
ミナトと傍にいた彼の部下たちは、その影響で少し足止めをくらったが、ミナトは負傷しなかったため、現場の指揮を頼める者たちに任せ、ミナトはその敵の後を追った。
そして敵の気配を探っていたところに、奈緒たちと合流することになったのだ。
あの時はヒデトが傍にいたから奈緒は安全だったが、1人だったらと思うと想像したくもない。
だが、何者かに奈緒の存在を知られてしまった事は事実だ。
不安要素は多くあるが、あの部屋にいる限り、奈緒は安全だと確信している。
あー、早く奈緒を抱きしめてたい。
そんな思いが声と一緒に出そうになったが俺はすんでの所で我慢する。
一通り現場の実態を確認した後、第3地区の部下たちからも同様に報告を受けた。
ミナトの能力で嘘が無い事がわかり、同様に近隣住民達の調査を執り行う。
少しでもあの侵入者の、残した手がかりを見つけられるのかと期待したが、全て無駄に終わってしまった。
これ以上、ここからは何も出てこないのだろう。
そうなると、さすがに手をこまねくが、第1地区に向かう必要があるだろう。
「ヒデト、こうなったら、最後にゲートを解析しよう。」
「はい、私も同じ考えです。」
「ゲートの管轄は、第1地区が全て握っている。
手間になるが、おまえが向かってくれ。
あまり大事にはしたくない。
秘密裏に、素早く戻ってこい。」
「はい。では、奈緒様を頼みます。」
「はっ、おまえに言われなくても分かっている。」
「では、失礼いたします。」
そう言って、ヒデトはゲートへと向かうため飛び立った。
彼の翼なら、ゲートへ着くのにそう長くはかからない。
ゲートとは、各地区へ入るための入口のような役割を果たしている。
許可があれば、そのゲートから様々な地区へと移動することが出来るのだ。
地区はそれぞれ、密集しているというわけではないので、
直接歩きで向かうにしても、何百日もかかったり、
高い壁に覆われて入れなかったり、結界が張られていたりもするため勝手に入ることは容易ではない。
道中でさえ危険地帯も多く、獰猛な生物などに遭ってしまえば、ひとたまりもないだろう。
という事で、通常の人はゲートを通ってやってくるため、
あの侵入者についても、どうやって許可を取れたのか不明だが、
ゲートを調べれば何かが判明するはず。
そうしてミナトは、他の業務を終わらせるべく、
自分の地区長の仕事場へと向かい、急ピッチで仕事を仕上げていく。
帰ったら、奈緒が出迎えてくれて、抱きしめてくれればいいのに。
あー、でも、あんなに犯してしまったのだから当分口はきいてくれないだろうなー。
でも、怒る姿も超可愛くて、俺は余計にかまってしまうのだろう。
あー、早く帰りたい。
ミナトは休憩も取らずに、作業を続けるのだった。
――地区は全部で12個存在する――
ヒデトの報告にあった通り、今もそこは影響が続いている。
爆発の影響で建物は破壊され、あたりに瓦礫や物が散乱している。
負傷者の対応は全て済んでおり、人が容易に立ち入らないように結界が施されていた。
物を簡単に治す事はできても、恐怖に襲われて精神を病んでしまった人の治療はしばらく続くだろう。
ミナトはあの時、不審者についての速報を知り、それが緊急性の高いものだと判断した。
ヒデトに知らせるよりも、自分が動いた方が早いと考えたため、数人引き連れて現場に急行したところ、敵もその追跡に気づき、何かを爆発させたのだった。
ミナトと傍にいた彼の部下たちは、その影響で少し足止めをくらったが、ミナトは負傷しなかったため、現場の指揮を頼める者たちに任せ、ミナトはその敵の後を追った。
そして敵の気配を探っていたところに、奈緒たちと合流することになったのだ。
あの時はヒデトが傍にいたから奈緒は安全だったが、1人だったらと思うと想像したくもない。
だが、何者かに奈緒の存在を知られてしまった事は事実だ。
不安要素は多くあるが、あの部屋にいる限り、奈緒は安全だと確信している。
あー、早く奈緒を抱きしめてたい。
そんな思いが声と一緒に出そうになったが俺はすんでの所で我慢する。
一通り現場の実態を確認した後、第3地区の部下たちからも同様に報告を受けた。
ミナトの能力で嘘が無い事がわかり、同様に近隣住民達の調査を執り行う。
少しでもあの侵入者の、残した手がかりを見つけられるのかと期待したが、全て無駄に終わってしまった。
これ以上、ここからは何も出てこないのだろう。
そうなると、さすがに手をこまねくが、第1地区に向かう必要があるだろう。
「ヒデト、こうなったら、最後にゲートを解析しよう。」
「はい、私も同じ考えです。」
「ゲートの管轄は、第1地区が全て握っている。
手間になるが、おまえが向かってくれ。
あまり大事にはしたくない。
秘密裏に、素早く戻ってこい。」
「はい。では、奈緒様を頼みます。」
「はっ、おまえに言われなくても分かっている。」
「では、失礼いたします。」
そう言って、ヒデトはゲートへと向かうため飛び立った。
彼の翼なら、ゲートへ着くのにそう長くはかからない。
ゲートとは、各地区へ入るための入口のような役割を果たしている。
許可があれば、そのゲートから様々な地区へと移動することが出来るのだ。
地区はそれぞれ、密集しているというわけではないので、
直接歩きで向かうにしても、何百日もかかったり、
高い壁に覆われて入れなかったり、結界が張られていたりもするため勝手に入ることは容易ではない。
道中でさえ危険地帯も多く、獰猛な生物などに遭ってしまえば、ひとたまりもないだろう。
という事で、通常の人はゲートを通ってやってくるため、
あの侵入者についても、どうやって許可を取れたのか不明だが、
ゲートを調べれば何かが判明するはず。
そうしてミナトは、他の業務を終わらせるべく、
自分の地区長の仕事場へと向かい、急ピッチで仕事を仕上げていく。
帰ったら、奈緒が出迎えてくれて、抱きしめてくれればいいのに。
あー、でも、あんなに犯してしまったのだから当分口はきいてくれないだろうなー。
でも、怒る姿も超可愛くて、俺は余計にかまってしまうのだろう。
あー、早く帰りたい。
ミナトは休憩も取らずに、作業を続けるのだった。
――地区は全部で12個存在する――
0
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる