-にゃんでどうしてこうなった世界-

もちもちもふぃ

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3.囚われの華

小さな希望

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――奈緒はどれくらいそうしていたかは分からない。
数分、数十分、それとも何時間?
ここには時間を指し図るものが一切ない。

そこだけ現代的なシステムが搭載されているのだろう入口で、ヒューンとスライド式の扉が開く音がした。
膝に蹲っていたいた奈緒は顔をあげて、様子を窺うと驚いて声をあげてしまう。

そこには、あの時、奈緒が助けた銀髪で赤い瞳を持った少年が立っていた。
しかし、どこか別人のような感じもする。
儚い雰囲気というよりも、どこか闇を持っていそうな禍々しいオーラが立ち込める。
それでも、知っている人に会えるのは落ち着くようだ。

彼はなかなか、この部屋に足を踏み入れずじっとしている。
最初に口を開いたのは、奈緒だった。

「あの……、ここどこ?
君あの時の子だよね?」

戸惑いながらも、奈緒はその少年の顔を見ながら話しかける。
しかし、彼は無表情のままで、その問いに答えを返さない。
その代わりに、彼の口から出たのは、坦々とした言葉だった。

「来い。……」

「えっ、ちょっと――」

その少年は、奈緒の静止の声を気に掛けることなく、
廊下の左側へとその姿を消していった。

俺は急に不安にかられた。
扉へかけより部屋の外に顔を出して覗き見る。

石畳の床であまり幅は広くはないが、廊下はとても長く続いているようだ。
窓もなく薄暗いそこは、陽の光も届かないが、ある一定の距離をあけて何か蝋燭のような明かりの発光体が、壁に寄り添って宙に浮いているのがわかる。
ゆらゆらと揺らめいて、真っ暗にならないように足元を照らしている。
それは、とても不気味で、囚人を捕らえる監獄のような印象を与える。

部屋から右の方は、その調子がずっと続いており、
見ているだけで背後から何かが迫ってくるような恐怖にかられる。
俺はその思いを振り払うように、少年が姿を消した方へと目をやる。

反対側の通路は、同様な印象だが突当りの壁が見える分まだマシだろう。
少年は俺に背を向けて歩いている。

どんどんと小さくなる姿に、俺は焦りを感じて彼を追いかける事にする。
こんなとこに1人にされたら、俺は動けなくなってしまう。
ただでさえ、お化け屋敷は苦手なのに、
こんなとこで幽霊とかに襲われるのは断じて嫌だっ!!

「おい、待ってくれっ」

俺が部屋を出るのを渋っていたため、空いてしまった距離を埋めるべく、猛烈にダッシュする。
薄暗い廊下には、俺の裸足のピタッ、ピタッという足音がこだまする。

「ちょっ、はやっ」

彼は歩いていて俺は走っているため追いつけるはずなのだが、中々彼との距離は縮まらない。
一瞬、幽霊なのかなと思うが透き通ってもいないし、足もちゃんと見える。

少年は廊下の突当りの近くまで行くと、急に進路を右に変えてその姿を消した。

「なっ!!」

俺は荒くなった息を整えつつも、すぐさま彼のいた方へ向かう。
すると、さっきは薄暗くて見えなかったのだろう、下へと向かう階段が表れた。

「ここにきて、下るのかよっ」

俺は悪態をつきながらも、もう後戻りはできずに
渋々、その階段を降りていった。




――差し迫る恐怖――
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