24 / 80
3.囚われの華
脱け出せない
しおりを挟む
下へと続く階段はとても長く感じられた。
階段は先を見通すことができず、緩やかな螺旋を描いている。
地上なのか地下なのか、
なんでここに連れられてきたのかも分からない。
ようやくその階段を下りて目にしたのは、またもや先ほどと同様の景色である。
しかし、部屋の扉が所々にあり、まるで荒廃したホテルの廊下みたいだ。
あまり階段から距離の離れていないところに一つだけ扉の空いている箇所がある。
少年の姿はもう見当たらないが、その扉はまるで俺を待っているかのようだ。
俺は勇気を振り絞って、歯を噛みしめて、そこへと向かった。
部屋の前までくると中の様子がちらりと見える。
俺の目覚めた部屋とは違い、酷く殺風景だ。
石でひきつめられた床があり、部屋の中央にはまたもや石でできた祭壇のようなものがある。
その祭壇は、人が寝られるくらいに大きいものだ。
その殺風景な部屋の中に一つだけ目を引くものがあった。
それは祭壇上に横たわった一輪の赤い薔薇だ。
なぜこんな所に薔薇が?
そういえば、この世界で薔薇を目にしたことは無かった。
いったい、どうして。
俺は部屋の中に進みその薔薇を手に取って眺める。
丁寧に処理されており、棘は無く俺の手を傷つける事はない。
すると突然、ガシャンという大きな音を立てて急に扉に格子状の柵がはまった。
「嘘だろっ」
あわてて駆け寄って、柵を掴み揺すってみたが、
ビクともしない。
あの木製の扉は外側に開いたままで、
いったい何の意味があるのかと疑問に思う。
俺はまた閉じ込められてしまった。
しかも、さっきよりも良くない状況で、
人が住めるような状態ではない。
いったい、何が起こっているんだ!?
すると、急に背後から獣のうなるような声が聞こえてきた。
グルルルルル――
おいおいおいおい。
俺は武器を一切持ってないし、防具だって何もない。
このままじゃ、食べ殺されてしまうのかもしれない。
せめて、この部屋の中で生き延びる策は無いのだろうか。
その獣の姿を見ないでおきたかったが、対策を立てるためには致し方ない。
俺はゆっくりと振り向くことにした。
祭壇の上で、今にも俺に飛び掛からんとしているクロヒョウがいた。
じっくりと、その黄金の瞳で俺を観察している。
「っ――」
俺はあまりの恐怖で先ほどまでの生き残ってやるという意思はどこかへと消えてしまっていた。
俺の顔は嫌でもさらに強張ってしまう。
何故かって?
クロヒョウが祭壇から降りて、俺の方へと歩み寄ってくるんだ。
きっと、俺はもうダメかもしれない……。
鉄格子に背を向けて、俺の手足は無様にも震えてしまう。
もうそれほど距離は離れていない。
クロヒョウは猫が獲物に飛び掛かるように背を低くする。
ジャンプしたのと同時に俺はせめてもの反射で、顔を背けて腕で覆った。
「っ――」
その鋭い牙で俺は殺されるはずだったが、俺は痛みに襲われることも、血で地面を汚すことも無い。
しかし、獣の吐息を顔のすぐそばに感じる。
そして、俺の首にざらざらとした暖かな感触が下から上へと這い上がってきた。
「くっ」
獣に舐められたっ。
頭の中でそれを理解するのと同時にふと、今まで気にしていなかったことを思い出した。
何かって?――
獣が俺の首を舐めたんだ。
それっておかしくないか。
だって俺は、ミナトに首輪を付けられていたはず。
そう、舐められるはずは無かったんだ。
そっと目を開けて顔を覆っていた腕で俺は首に手をやると、
その事実に気づかされる。
そう、無いのだ。
どこにも、俺を拘束していたその特殊な首輪は無かったのだ。――
――それはミナト以外には外せない――
階段は先を見通すことができず、緩やかな螺旋を描いている。
地上なのか地下なのか、
なんでここに連れられてきたのかも分からない。
ようやくその階段を下りて目にしたのは、またもや先ほどと同様の景色である。
しかし、部屋の扉が所々にあり、まるで荒廃したホテルの廊下みたいだ。
あまり階段から距離の離れていないところに一つだけ扉の空いている箇所がある。
少年の姿はもう見当たらないが、その扉はまるで俺を待っているかのようだ。
俺は勇気を振り絞って、歯を噛みしめて、そこへと向かった。
部屋の前までくると中の様子がちらりと見える。
俺の目覚めた部屋とは違い、酷く殺風景だ。
石でひきつめられた床があり、部屋の中央にはまたもや石でできた祭壇のようなものがある。
その祭壇は、人が寝られるくらいに大きいものだ。
その殺風景な部屋の中に一つだけ目を引くものがあった。
それは祭壇上に横たわった一輪の赤い薔薇だ。
なぜこんな所に薔薇が?
そういえば、この世界で薔薇を目にしたことは無かった。
いったい、どうして。
俺は部屋の中に進みその薔薇を手に取って眺める。
丁寧に処理されており、棘は無く俺の手を傷つける事はない。
すると突然、ガシャンという大きな音を立てて急に扉に格子状の柵がはまった。
「嘘だろっ」
あわてて駆け寄って、柵を掴み揺すってみたが、
ビクともしない。
あの木製の扉は外側に開いたままで、
いったい何の意味があるのかと疑問に思う。
俺はまた閉じ込められてしまった。
しかも、さっきよりも良くない状況で、
人が住めるような状態ではない。
いったい、何が起こっているんだ!?
すると、急に背後から獣のうなるような声が聞こえてきた。
グルルルルル――
おいおいおいおい。
俺は武器を一切持ってないし、防具だって何もない。
このままじゃ、食べ殺されてしまうのかもしれない。
せめて、この部屋の中で生き延びる策は無いのだろうか。
その獣の姿を見ないでおきたかったが、対策を立てるためには致し方ない。
俺はゆっくりと振り向くことにした。
祭壇の上で、今にも俺に飛び掛からんとしているクロヒョウがいた。
じっくりと、その黄金の瞳で俺を観察している。
「っ――」
俺はあまりの恐怖で先ほどまでの生き残ってやるという意思はどこかへと消えてしまっていた。
俺の顔は嫌でもさらに強張ってしまう。
何故かって?
クロヒョウが祭壇から降りて、俺の方へと歩み寄ってくるんだ。
きっと、俺はもうダメかもしれない……。
鉄格子に背を向けて、俺の手足は無様にも震えてしまう。
もうそれほど距離は離れていない。
クロヒョウは猫が獲物に飛び掛かるように背を低くする。
ジャンプしたのと同時に俺はせめてもの反射で、顔を背けて腕で覆った。
「っ――」
その鋭い牙で俺は殺されるはずだったが、俺は痛みに襲われることも、血で地面を汚すことも無い。
しかし、獣の吐息を顔のすぐそばに感じる。
そして、俺の首にざらざらとした暖かな感触が下から上へと這い上がってきた。
「くっ」
獣に舐められたっ。
頭の中でそれを理解するのと同時にふと、今まで気にしていなかったことを思い出した。
何かって?――
獣が俺の首を舐めたんだ。
それっておかしくないか。
だって俺は、ミナトに首輪を付けられていたはず。
そう、舐められるはずは無かったんだ。
そっと目を開けて顔を覆っていた腕で俺は首に手をやると、
その事実に気づかされる。
そう、無いのだ。
どこにも、俺を拘束していたその特殊な首輪は無かったのだ。――
――それはミナト以外には外せない――
0
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
囚われた元王は逃げ出せない
スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた
そうあの日までは
忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに
なんで俺にこんな事を
「国王でないならもう俺のものだ」
「僕をあなたの側にずっといさせて」
「君のいない人生は生きられない」
「私の国の王妃にならないか」
いやいや、みんな何いってんの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる