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5.光と闇
ご招待
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店の中では冷房が行き届いている。
露店でもスカーフや帽子を取り扱っている店もあったが、粗悪品も多く出回っているため、ここでは無難に正規のショップで購入することにした。
そのため、店内は部屋の隅々まで清潔でサービスも悪くない。
目立つような奇抜なものは避けて、ベージュの大きめのスカーフを手に取り店員に手渡す。
品のある店員は丁寧に包んでくれようとしていたが、すぐに使うから構わないと断ると少し驚いたような顔をした。
通常ならショップで買い物をしたら、そのまま持ち帰る事が主流だからだろう。
ヒデトは構わず、その商品を受け取って店の外に出る。
すると、いつの間にか店の前で待ち構えていたスーツ姿の男に囲まれた。
結構、図体が大きいので身近に迫られると威圧感をビシビシと感じる。
ヒデトはまだ十分な装備も整っていない状態だったので、心の中で悪態をつきながらも神経を張り巡らせた。
男の中の一人が、ヒデトに声を掛ける。
「あなたが、Mr.ヒデトですね。
ボスがお呼びです。同行を願えますか?」
何故、私の名前を知っているのでしょう。
嫌でも警戒してしまう。
しかし、ここで無駄にあがいて今後も付き纏われては面倒だ。
私にはまだ、侵入者の調査をしなければならない。
それに、もしかしたら、この者たちが関係者という可能性も捨てきれない。
身に危険が及ぶかもしれないが、この話に乗ってみる事にした。
~.。・。.~
彼らに囲まれて付き添うように歩かされた事、数十分。
目的地は、それほど遠くなかったようで、大通りの先には立派な神殿が見えてきた。
稀に見る建造物だと言えるだろう。
ここまでの物はなかなか無い。
そして、気兼ねなく、大理石でできた階段を上っていく。
ああ、こんな所に連れてこられようとは……。
まだ、そこらへんのチンピラだったら対処は簡単だっただろうに。
こんな豪勢な所で待っている人というのは、誰でも簡単に想像が着くだろう。
階段を上がると、入口付近を警備の人たちが守りを固めているのが見えた。
スーツの男たちは、何も言わずに素通りしていく。
顔パスのようで、誰も私たちに声を掛けようともしないし、その歩みを止める事もしない。
建物の中に入ると、大広間が広がっており、建物の正面上部に取り付けられたステンドグラスが白い床に色を残している。
高いアーチ状の天井には、幾何学的な模様が額縁のように絵画を彩っている。
奥の通路へと抜けると、そこには石畳になっていて、傍を水路が沿って涼しさを感じさせるように流れている。
その奥には、観葉植物や花が鮮やかに咲き誇っていて、見る者を楽しませる。
そしてさらに、ずっと奥へと進んでいくと大きな扉が緩やかな段差の上に立ちふさがっていた。
はぁ……。
きっと、目的の場所はここですよね。
あー、気が引けます。
男たちの案内はここまでのようで、彼らは大きな扉を開いてヒデトを中へ入るように指示した。
そして中まで入ってしまうと緩やかに扉が閉められ、一人だけになってしまった。
扉の奥の通路を抜けると、視界が開けた。
柱が両サイドに立ち並び、壁は吹き抜けのようになっていて、ほとんど無い様なものだ。
階段をずっと上がってきたのもあって、ここからの景色は第7地区を一望できる。
風がさっと駆け抜けて、奥の布の仕切りを揺らした。
透けて見える、玉座には誰かが座っているのが見て取れる。
「よく来たな、第三の者。」
「不躾で申し訳ないのですが何用でしょうか。」
「そんなの分かっておろう?
お主のような者が我の領地へ来たのだ。
歓迎も無しには失礼じゃろ?」
「……。」
まるで、要らない歓迎だ。
自分の統治している地を荒らされるのは癪に障るのだろう。
牽制の意味を込めての、言葉か……。
失礼の無いように、第七地区の長のご機嫌を崩さないためにも、慎重に行動しなければ……。
少しも休めないヒデトであった――。
―――見つかるのも時間の問題―――
露店でもスカーフや帽子を取り扱っている店もあったが、粗悪品も多く出回っているため、ここでは無難に正規のショップで購入することにした。
そのため、店内は部屋の隅々まで清潔でサービスも悪くない。
目立つような奇抜なものは避けて、ベージュの大きめのスカーフを手に取り店員に手渡す。
品のある店員は丁寧に包んでくれようとしていたが、すぐに使うから構わないと断ると少し驚いたような顔をした。
通常ならショップで買い物をしたら、そのまま持ち帰る事が主流だからだろう。
ヒデトは構わず、その商品を受け取って店の外に出る。
すると、いつの間にか店の前で待ち構えていたスーツ姿の男に囲まれた。
結構、図体が大きいので身近に迫られると威圧感をビシビシと感じる。
ヒデトはまだ十分な装備も整っていない状態だったので、心の中で悪態をつきながらも神経を張り巡らせた。
男の中の一人が、ヒデトに声を掛ける。
「あなたが、Mr.ヒデトですね。
ボスがお呼びです。同行を願えますか?」
何故、私の名前を知っているのでしょう。
嫌でも警戒してしまう。
しかし、ここで無駄にあがいて今後も付き纏われては面倒だ。
私にはまだ、侵入者の調査をしなければならない。
それに、もしかしたら、この者たちが関係者という可能性も捨てきれない。
身に危険が及ぶかもしれないが、この話に乗ってみる事にした。
~.。・。.~
彼らに囲まれて付き添うように歩かされた事、数十分。
目的地は、それほど遠くなかったようで、大通りの先には立派な神殿が見えてきた。
稀に見る建造物だと言えるだろう。
ここまでの物はなかなか無い。
そして、気兼ねなく、大理石でできた階段を上っていく。
ああ、こんな所に連れてこられようとは……。
まだ、そこらへんのチンピラだったら対処は簡単だっただろうに。
こんな豪勢な所で待っている人というのは、誰でも簡単に想像が着くだろう。
階段を上がると、入口付近を警備の人たちが守りを固めているのが見えた。
スーツの男たちは、何も言わずに素通りしていく。
顔パスのようで、誰も私たちに声を掛けようともしないし、その歩みを止める事もしない。
建物の中に入ると、大広間が広がっており、建物の正面上部に取り付けられたステンドグラスが白い床に色を残している。
高いアーチ状の天井には、幾何学的な模様が額縁のように絵画を彩っている。
奥の通路へと抜けると、そこには石畳になっていて、傍を水路が沿って涼しさを感じさせるように流れている。
その奥には、観葉植物や花が鮮やかに咲き誇っていて、見る者を楽しませる。
そしてさらに、ずっと奥へと進んでいくと大きな扉が緩やかな段差の上に立ちふさがっていた。
はぁ……。
きっと、目的の場所はここですよね。
あー、気が引けます。
男たちの案内はここまでのようで、彼らは大きな扉を開いてヒデトを中へ入るように指示した。
そして中まで入ってしまうと緩やかに扉が閉められ、一人だけになってしまった。
扉の奥の通路を抜けると、視界が開けた。
柱が両サイドに立ち並び、壁は吹き抜けのようになっていて、ほとんど無い様なものだ。
階段をずっと上がってきたのもあって、ここからの景色は第7地区を一望できる。
風がさっと駆け抜けて、奥の布の仕切りを揺らした。
透けて見える、玉座には誰かが座っているのが見て取れる。
「よく来たな、第三の者。」
「不躾で申し訳ないのですが何用でしょうか。」
「そんなの分かっておろう?
お主のような者が我の領地へ来たのだ。
歓迎も無しには失礼じゃろ?」
「……。」
まるで、要らない歓迎だ。
自分の統治している地を荒らされるのは癪に障るのだろう。
牽制の意味を込めての、言葉か……。
失礼の無いように、第七地区の長のご機嫌を崩さないためにも、慎重に行動しなければ……。
少しも休めないヒデトであった――。
―――見つかるのも時間の問題―――
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