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5.光と闇
ねこねこフィーバー
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トタッ、トタッーー
部屋を出て廊下を駆けると、大きな障害に出くわした。
大きな物音とバディへの心配で、内心はとても急いていたのだが、それでもなお、足を一瞬止めてしまった。
似た様なことはさっきもあった。
ジャンプしたり、登ることは余裕でできるが、下りるという動作にしては不慣れのままだ。
今、目の前に広がっている光景はまるで崖の上にいるかのように高く、己の身を竦ませる。
前までは簡単に上り下りしていたその階段は一段一段が高く、下りるには常に前を向く恐怖に打ち勝たなければならない。
怖いからと言って、いっぺんに飛び降りようとすると、怪我を負うのは目に見えている。
時間も無いからゆっくり下りてはいられないし……
(うう、怖いけど、行くしかないっ!)
ぺたぺたと両足を踏みならして、心の準備が整ってから、前足を少し勢いよく踏み出した。
(えいっ!)
一個下の段に前足が着いて、ねこが伸びをしているような姿勢になった。
後ろ足も、恐る恐る引き寄せる。
ぴょん
とりあえず着地には成功したが、自然と前足を前に出してしまった。
(うわっ!?)
弾みでどんどんと下ってしまう。
スピードも早くなって足がもつれてしまいそうだ。
トタトタトタッーーー
(あああ、止まらないっ!
このままじゃ、ぶつかるっ!!)
最後の段を下りてしまってから、前足に力を入れる。
急ブレーキをかけたようになったけど、
どうにか壁への衝突は免れた。
(よしっ、なんとか下りれた!
クローっ!!!!)
奈緒は急いでリビングの方へと走ってゆく。
既に扉は開いていて、部屋の中はクロが暴れ回ったせいなのか物が散らかっている。
そして、クロと総は向かい合っていて、食器棚の上にいるクロが、手を伸ばそうとしている総に飛びかからんとしていた。
「ほら、大人しく降りておいでー。
おいしいご飯もあげるから。」
総が甘い声で囁くも、クロは艶のある毛並みを逆立てたままシャーっと威嚇をしている。
「クローッ!!」
「ん……?あぁ、こっちが奈緒だったのか?道理で……。」
「ミャっ!!」
クロが奈緒に気付いて、素早い動きでぴょんぴょんと高所から段々と降りてきてこちらに向かってきた。
(急いでここを出よう。
このままじゃ、一生をここで終えてしまうっ!)
クロは奈緒の考えを理解して、小さく返事をすると玄関へと促すように先を行く。
「奈緒っ!」
俺もすかさず着いて行こうとしたら、総の大きな声が響いた。
振り向くと、総は困ったような、何かに縋り付くような顔をしている。
「騙しててごめんっ。
だけど、全部君のためなんだっ。
行かないでっ、奈緒っ!!」
「っ……」
今まで総に頼って、数えきれない程助けてもらってきた。
だけどっ……
訳も分からず、ずっと閉じ込められるのも嫌だし、写真の件もあって俺の本能が危険だと言っている。
(ごめんっ)
心の中で謝って、総の目線から逃れるようにリビングの入り口から去った。
玄関では、クロが器用に扉を開けて出られるように隙間を開けてくれていた。
(やっとだ!久しぶりの外っ!)
トタトタトタトタッ
クロと一緒に、光が差し込んでいる外へと向かった。
ーーー光が強いほど、闇は濃く影を堕とすーーー
部屋を出て廊下を駆けると、大きな障害に出くわした。
大きな物音とバディへの心配で、内心はとても急いていたのだが、それでもなお、足を一瞬止めてしまった。
似た様なことはさっきもあった。
ジャンプしたり、登ることは余裕でできるが、下りるという動作にしては不慣れのままだ。
今、目の前に広がっている光景はまるで崖の上にいるかのように高く、己の身を竦ませる。
前までは簡単に上り下りしていたその階段は一段一段が高く、下りるには常に前を向く恐怖に打ち勝たなければならない。
怖いからと言って、いっぺんに飛び降りようとすると、怪我を負うのは目に見えている。
時間も無いからゆっくり下りてはいられないし……
(うう、怖いけど、行くしかないっ!)
ぺたぺたと両足を踏みならして、心の準備が整ってから、前足を少し勢いよく踏み出した。
(えいっ!)
一個下の段に前足が着いて、ねこが伸びをしているような姿勢になった。
後ろ足も、恐る恐る引き寄せる。
ぴょん
とりあえず着地には成功したが、自然と前足を前に出してしまった。
(うわっ!?)
弾みでどんどんと下ってしまう。
スピードも早くなって足がもつれてしまいそうだ。
トタトタトタッーーー
(あああ、止まらないっ!
このままじゃ、ぶつかるっ!!)
最後の段を下りてしまってから、前足に力を入れる。
急ブレーキをかけたようになったけど、
どうにか壁への衝突は免れた。
(よしっ、なんとか下りれた!
クローっ!!!!)
奈緒は急いでリビングの方へと走ってゆく。
既に扉は開いていて、部屋の中はクロが暴れ回ったせいなのか物が散らかっている。
そして、クロと総は向かい合っていて、食器棚の上にいるクロが、手を伸ばそうとしている総に飛びかからんとしていた。
「ほら、大人しく降りておいでー。
おいしいご飯もあげるから。」
総が甘い声で囁くも、クロは艶のある毛並みを逆立てたままシャーっと威嚇をしている。
「クローッ!!」
「ん……?あぁ、こっちが奈緒だったのか?道理で……。」
「ミャっ!!」
クロが奈緒に気付いて、素早い動きでぴょんぴょんと高所から段々と降りてきてこちらに向かってきた。
(急いでここを出よう。
このままじゃ、一生をここで終えてしまうっ!)
クロは奈緒の考えを理解して、小さく返事をすると玄関へと促すように先を行く。
「奈緒っ!」
俺もすかさず着いて行こうとしたら、総の大きな声が響いた。
振り向くと、総は困ったような、何かに縋り付くような顔をしている。
「騙しててごめんっ。
だけど、全部君のためなんだっ。
行かないでっ、奈緒っ!!」
「っ……」
今まで総に頼って、数えきれない程助けてもらってきた。
だけどっ……
訳も分からず、ずっと閉じ込められるのも嫌だし、写真の件もあって俺の本能が危険だと言っている。
(ごめんっ)
心の中で謝って、総の目線から逃れるようにリビングの入り口から去った。
玄関では、クロが器用に扉を開けて出られるように隙間を開けてくれていた。
(やっとだ!久しぶりの外っ!)
トタトタトタトタッ
クロと一緒に、光が差し込んでいる外へと向かった。
ーーー光が強いほど、闇は濃く影を堕とすーーー
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