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探求 学者編
遺跡の街・プロローグ
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「くそぉ! やってられるかぁ!」
ダンッ!
私は手にした杯の中身を飲み干すと、テーブルに杯を叩きつけた。
ここはレダの街の冒険者ギルドに併設された酒場だ。
長い時間をかけて遺跡探索の許可がようやく『学院』から下りたというのに、遺跡探索に随行してもらう冒険者が見つからないのが原因だ。
「せっかくかき集めた報酬だと言うのに……」
いや、確かに冒険者ギルドで依頼書の掲示をお願いした時にも職員から、
「この条件ですとDやEランク冒険者のソロが1人くるかどうかですが……、よろしいですか?」
とは言われていたが、ここまで来ないものなのか? 遺跡探索に随行出来るんだぞ?
このレダの街のダンジョンは街の下にある遺跡の事を指し示していて、現在においては『学院』と冒険者ギルドが遺跡の入場を管理している状態だ。なので『学院』から出されたクエストか、もしくは『学院』に所属している遺跡探索の許可が下りた者の同行をしなければレダのダンジョンに入ることは叶わない。
仮に人の目を盗んで遺跡に入れたとしても、レダの遺跡から出てくる遺物や宝物などを売ろうとしたら結局冒険者ギルドに持ち込むしかなく、そういった遺跡であるからこそ管理が出来るのだ。
「むぅぅ」
私は自分が依頼した『遺跡探索の同行依頼』の依頼書に書かれた内容を読む。
『1日パーティー単位で銀貨5枚の報酬。発見した遺物や宝物の権利については応相談』
「シンプルなのに、なぜこれで冒険者が来ないのか?」
1日の報酬として銀貨5枚だぞ5枚! 1日の宿代より多い報酬なのに、なぜ来ないのだ!?
私の頭脳でも解けない謎に、私は頭から煙が上がってしまっているのでは? と思えるほどの頭の知恵熱を冷ますために、私は店員にもう一杯の冷えた酒を注文する。
「分かりました~。……おや、お姉さん? そんなに紙を見つめてどうしたの?」
私の注文を受けた店員がそう声を掛けてきた。その店員に視線を向けると人族の若い男の子のようだ。
私は説明が億劫なので、「見ろ!」と紙を突き付ける。
それほど難しい言葉で書かれていないから、ほとんどの人ならば読めるだろうからだ。
「……ふむふむ。まあ、この条件なら僕が受けても良いですよ?」
私は一瞬何を言われているのか分からなかった。だから聞き返した。
「――なんだって?」
「僕なら受けてもいいですよ? 酒場で働いてますけど、こう見えて僕も冒険者ですから――」
「頼む! 私の依頼を受けてくれ!」
私は食い気味に目の前に居る人族の男の子へ掴みかかるように頼んでいた。
その結果が私の今後にどう関わって来るのか?
――この時の私にはそれを予想することは出来なかった。
ダンッ!
私は手にした杯の中身を飲み干すと、テーブルに杯を叩きつけた。
ここはレダの街の冒険者ギルドに併設された酒場だ。
長い時間をかけて遺跡探索の許可がようやく『学院』から下りたというのに、遺跡探索に随行してもらう冒険者が見つからないのが原因だ。
「せっかくかき集めた報酬だと言うのに……」
いや、確かに冒険者ギルドで依頼書の掲示をお願いした時にも職員から、
「この条件ですとDやEランク冒険者のソロが1人くるかどうかですが……、よろしいですか?」
とは言われていたが、ここまで来ないものなのか? 遺跡探索に随行出来るんだぞ?
このレダの街のダンジョンは街の下にある遺跡の事を指し示していて、現在においては『学院』と冒険者ギルドが遺跡の入場を管理している状態だ。なので『学院』から出されたクエストか、もしくは『学院』に所属している遺跡探索の許可が下りた者の同行をしなければレダのダンジョンに入ることは叶わない。
仮に人の目を盗んで遺跡に入れたとしても、レダの遺跡から出てくる遺物や宝物などを売ろうとしたら結局冒険者ギルドに持ち込むしかなく、そういった遺跡であるからこそ管理が出来るのだ。
「むぅぅ」
私は自分が依頼した『遺跡探索の同行依頼』の依頼書に書かれた内容を読む。
『1日パーティー単位で銀貨5枚の報酬。発見した遺物や宝物の権利については応相談』
「シンプルなのに、なぜこれで冒険者が来ないのか?」
1日の報酬として銀貨5枚だぞ5枚! 1日の宿代より多い報酬なのに、なぜ来ないのだ!?
私の頭脳でも解けない謎に、私は頭から煙が上がってしまっているのでは? と思えるほどの頭の知恵熱を冷ますために、私は店員にもう一杯の冷えた酒を注文する。
「分かりました~。……おや、お姉さん? そんなに紙を見つめてどうしたの?」
私の注文を受けた店員がそう声を掛けてきた。その店員に視線を向けると人族の若い男の子のようだ。
私は説明が億劫なので、「見ろ!」と紙を突き付ける。
それほど難しい言葉で書かれていないから、ほとんどの人ならば読めるだろうからだ。
「……ふむふむ。まあ、この条件なら僕が受けても良いですよ?」
私は一瞬何を言われているのか分からなかった。だから聞き返した。
「――なんだって?」
「僕なら受けてもいいですよ? 酒場で働いてますけど、こう見えて僕も冒険者ですから――」
「頼む! 私の依頼を受けてくれ!」
私は食い気味に目の前に居る人族の男の子へ掴みかかるように頼んでいた。
その結果が私の今後にどう関わって来るのか?
――この時の私にはそれを予想することは出来なかった。
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