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死んだ先が異世界で
別れを告げて現代へ
しおりを挟む「ふぁあっ…」
清々しい感覚とともに目がさめる。
昨日の疲れからか、かなり熟睡できたようだ。
すでににゃん吉は起きていたらしく、足元で「んにゃー!」と言う掛け声とともに、大きな背伸びをしている。
「おはよう」
「おはようにゃ」
挨拶を済ませた俺は未だ誘うように誘惑するベットへと別れを告げ、起き上がる。
今日は日曜。今日中には地球に帰らなきゃな。
今日の予定を考えながらまったりとした時間を過ごす。
―――コンコン…
「お兄ちゃん、朝だよー!ご飯だよー!」
扉の外から元気な声が聞こえてくる。
床でラジオ体操をしていたにゃん吉を本へと戻し、扉を開ける。
こんな朝っぱらなのに子供の体力はすごいな。
そこには朝からニコニコと元気なマリーちゃんが居た。
「おはよーお兄ちゃん、朝ごはん持ってきたよー」
「おはようマリーちゃん。朝からありがとね」
紡に手渡すと、朝から忙しいのか、マリーちゃんはそそくさと帰っていった。
ささっと朝食を食べ終わるとにゃん吉と共に今日の予定について話し合った。
「今日は地球に帰らなきゃいけないから、出来るだけ早めに拠点に戻るぞ」
「了解にゃ」
「戻ったら残った時間でレベル上げでもしよう」
「頑張るにゃー!」
元気のいいにゃん吉の返事とともに動き出す。
荷物をまとめ終わり、下に降りると忙しさが落ち着いたのかマリーちゃんとローサさんがお茶を飲んで居る。
おお、美人と美少女が並んで戯れている姿は絵になるな。
「おはよう、ご飯ありがとう。食器はここでいいか?」
「おはようございます。そこに置いておけばいいわよ」
「それじゃあこのまま俺は出て行くから」
「え!お兄ちゃんもういっちゃうの?」
寂しいのかマリーちゃんは悲しそうな顔になる。
勘弁してほしい。子供のそんな顔は見たくない。
「御免なさいね、ツムグさんの事気に入っちゃったみたいで」
マリーの言動が客にする事ではないと思っているのだろうか、ローサはなんとも申し訳なさそうだ。
「いえ大丈夫ですよ」
諭すように、紡はマリーちゃんを撫でながら告げる。
「ごめんな、今日は帰っちゃうけどまた6日後にここに泊まりにくるからさ」
「わかった…ちゃんと来てね」
「ああ、約束だ」
「私も待ってますのでまたここに泊まってね」
「ここは気に入ったからな。必ず来る」
二人にそれだけを残し、俺は宿屋を後にした。
よし、帰る為に門へと向かうか。通行料も払わないといけないしな。
足早に歩いて門に向かう。
確か、昨日の門番はラークだったな。あの若い兵士が居なければいいんだが。
検問所を覗くと居るのはラーク一人だった。
「おお、朝から早いな。もう出て行くのか?」
「ちょっと用事があってな、ついでに昨日の通行料を持って来た」
「確認する。1、2…銅貨5枚確かに貰った。それで、あれからギルドには登録出来たか?一応通行の際に確認が必要なんだが…」
「これでいいか」
「よし、カードも問題ないな。今度からはそれを出してくれたら通行料はかからないからな」
「そうか、わかった」
「それじゃあ気をつけて行ってこいよ」
軽く手を振るラークに背を向け俺は歩き出す。
―――――――――――――――――
そこからはにゃん吉を呼び出し、家に向かい突き進む。道中色々と出てくるモンスターを根こそぎ刈り取りながら。
何度かの戦闘の末家に帰り着く。時間はすでに昼を回っていた。
やはり、この場所から街までちょっと遠いな。なんとか出来ればいいんだが。
歩き回った為に足へと溜まった乳酸を揉み解しながら、ふと考えていた。
「おかえりですぞ」
ピーが待ってくれていた。
ふぅ…帰り着いたか。やっぱり戻ってくると安心するな。
「ただいま」
「ただいまにゃー!」
「お昼は食べられましたかな?一応用意していますぞ」
「「食べる(にゃー)!」」
ピーのご飯に既に胃袋を掴まれている紡と子猫が声を揃える。
「少し待ってるのですぞ」
ピーはキッチンへと向かって行った。
ピーの飯は美味いからなぁ…今日はなんだろうか。
隣でにゃん吉もそわそわしながらも行儀よく待っている。
「おまたせですぞ」
今日の昼食は洋食だ。綺麗に盛り付けられたピラフに熱々の鉄板の上、デミグラスソースのかけられたハンバーグ。タルタルソースのかかった大きなエビフライなどいくつもの料理が並べられている。
「「いただきます(にゃ)」」
待ちきれず、後先考えず食べ進める。
しょうがないんや…ピーの飯が美味いのが悪いんや…
俺達は完全に胃袋を掴まれていた。
「ふぅ…食べ過ぎたな」
「んにゃ、パンパンにゃ」
今の俺達は床に大の字に寝たままの状態だ。
あまりの旨さに食べ過ぎたせいで動けなくなっていた。
「いい食べっぷりですな。作った甲斐がありますぞ」
「ごちそうさま、今日も美味かった」
「ピーのご飯は最高にゃ」
満腹感で動けず、少しの間食休みを兼ねてまったりとした時間を過ごした。
よし、そろそろレベル上げでも始めますかな。
俺たちは動き出す。
「そういえば伝え忘れていたのだが、ここの森は街と反対側に向かうほど深部になり敵が強くなっていくのである。強くなりたいのであればそちらを目指しながらいくのがいいのである」
「へぇ、そうなのか。ありがとう向かってみるよ」
深部か。強くなる為目指してみるのも一興だな。ひとまず目標はそこにするか。
うん、そうしよう。その為にまずはレベル上げだな。
にゃん吉を引き連れレベル上げへと向かっていった。
数時間後…
疲れた…ぶっ通しで戦い過ぎたな。にゃん吉もぐったりしてるし。帰りたがるのを無理に付き合わせて悪かったかな。最後ら辺なんか一人で戦ってたし。
まぁ、そのおかげでかなり強くなれたからな。
俺は上がったステータスを眺めながらにやける。
【名前】 御伽 紡
【種族】 人間種
【職業】童話契約師
【性別】男
【年齢】16歳
【レベル】35
【体力】598/598
【魔力】2607/2607
【攻撃】184
【防御】112
【俊敏】204
【運】491
【スキル】 鑑定 刀術LV4 回避LV5 体術LV2
【オリジナルスキル】 童話契約 絵本の世界 スキルコピー(契)LV1
【称号】異世界を行き来するもの 捨てられしもの
魔導書契約者 バトルジャンキー
【契約】にゃん吉
いい感じに上がったな。にゃん吉も見てみるか。
【名前】 にゃん吉
【種族】 幻獣種
【職業】猫騎士
【性別】女
【年齢】6歳
【レベル】37
【体力】710/710
【魔力】605/605
【攻撃】134
【防御】281
【俊敏】214
【運】105
【スキル】 鑑定 雷魔法LV3 剣術LV6 精神耐性LV2
【特殊スキル】 騎士の誓い
【称号】 ゆるキャラ
なかなか育ったじゃないか。いい感じだな。
この調子でさらにレベルを上げてやる。
見える形で現れた結果に更なる向上を紡は誓う。
だが…
「ご主人はバカにゃ!アホにゃ!ダメご主人!」
下から文句が上がる。
「普通戦闘は休憩しながら戦うにゃ!馬鹿みたいに連戦したりしないにゃ!」
おおぅ…そうか。俺もちょっとはっちゃけ過ぎたとは思ったけど…
「さらにご主人は戦いながらにやけてたにゃ!怖かったにゃよ…あれは夢に見るにゃ…」
まじか…そんなつもりはなかったんだけどな。
「ご主人はちょっと落ち着くにゃ」
「ああ、悪かったよ。次から気をつけるから」
「約束にゃよ!」
やり過ぎたな。次回はほどほどにするか。
怒るにゃん吉の機嫌を取りつつ、戦利品の魔石が入った袋を担ぎ拠点へと向かう。
空はすでに薄暗く、星々と月が燦々と輝いてる。異世界だからだろうか、色々な色の星々と一際大きな月を眺め、今日成長した喜びと今後の楽しみを胸に空を見上げて歩いていく。
「もっと強くなってやる」小さく呟きながら。
―――――――――――――
拠点へと帰り着き飯も済ませると俺は風呂へと向かった。
風呂に浸かり一息。お湯の中に今日の疲れが染み出していくように感じる。
あー…気持ちいいな。ふぅ、思っていたより体は疲れていたみたいだ。
まぁ、途中から疲れなんて忘れて動き回ってたもんな。
にゃん吉も呆れてたし今度は気をつけるか。
今日の戦闘を振り返りながらくつろぐ。
それにしても思いの外戦闘って楽しいもんだな。紡は今まで落ちこぼれだったせいか敵との戦いに楽しみを感じていた。
(いかん…またにゃん吉に怒られる…)
頭を振り考えることを止めるとぼーっとしながら風呂を満喫していく。
【Side にゃん吉】
「ご主人はバカだったにゃ…」
「ふむ、何があったんですかな?」
ゆるキャラ二人がベットの上で語り合っている。
「休憩も無しにずっと戦い続けていたにゃ!にゃーも付き合わされて疲れたにゃ!」
「それはそれは…」
今日はずっと戦いだったにゃ。休憩しようとしても「次っ」って言い出したと思ったら飛び出して行くにゃ…何度もその繰り返しにゃ。
終わらない戦い。とてもきつかったにゃ…
それに一番きつかったのは…
「さらに一番辛かったのはご主人の笑顔にゃ!
戦闘中ずっとご主人は笑顔だったにゃ…わかるかにゃ。血だらけの笑顔でこっちを見て笑うにゃよ…おかげでにゃーに恐怖耐性のスキルが付いていたにゃ…」
あの笑顔は怖かったにゃ。敵の頭を叩き割り戦闘が終わったと思うと、血だらけの顔で笑いながら「次行くぞ」って言って走り出して行くにゃ…
あの笑顔は夢に出るにゃよ…
「それはもう病気ですぞ」
「そうにゃ、ご主人はバトルジャンキーの病気にゃ…称号にも付いていたにゃ」
「うむ、バカと言われてもしょうがないですな」
「その通りにゃ!!」
今日会ったことをピーに語りながらにゃん吉はストレス発散をしていく。
ピーも思うところがあるのだろう優しく話しを聞いていた。
ある程度話終わり解決の目処が立たないにゃん吉は諦める。
「あれは真性にゃ。どーしようもないし諦めるにゃよ…もう疲れたし寝るにゃ…」
にゃん吉はふて寝を始める。
「そうですな、寝るとしますかな」
紡に苦労する2匹のゆるキャラはベットに陣取るとスヤスヤと寝息を立て始めた。
――――――――――――――――――
あー…気持ちよかった。
結構疲れてるしもう寝るとするかな。
寝る準備を整え寝室へと向かう。
ベットでは2匹がすでに寝息を立てていた。
にゃん吉はベットの中心に陣取り、大の字で寝ている。それが今日の抗議のように感じ紡は苦笑した。
「今日はごめんな、お疲れ様」
そういい2匹を撫でると、起こさないようにそっと布団に入る。
明日は学校か。めんどくさいが今週も頑張るか。
学校にだるさを感じながら明日のため早めに眠りについていった。
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