御伽噺に導かれ異世界へ

ペンギン一号

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死んだ先が異世界で

大群 騒動 異世界で 3

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side 領主館 グラッド

空が夕暮れにより黄金に輝き、月が空に輝き始める夕暮れ時。領主館では修羅場が起こっていた。
「頼む、お前たちだけでもこの街から避難してくれないか…?」
「それは出来ません。あなたに嫁いだ時から生きるも死ぬもあなたと一緒と決めていますから」
「私も嫌よ!お父様だけ残して避難するなんて!」
そこには領主であるグラッドが二人の女性に言い負かされていた。
片方は妙齢の女性であり、艶やかな金の髪に切れ長の目、クールな雰囲気の美女だ。
もう一方は13歳ほどの女の子であり、同じ切れ長の目に大人びた雰囲気のする少女である。

「もうそんなことを言っている余裕もないんだ。」
状況もありグラッドも粘っていた。
「今、モンスター群がこの街に向かっているのは知っていると思う。その群を冒険者のSランクパーティが偵察に行ったんだ。報告によると、そこに居たのはモンスター1万体以上、モンスターの中には見たこともないSランク以上と思われる魔物もいるそうだ」
「それは…なかなか苦しい状況ね…」
「分かるだろう、今此処から出なければ高確率で助からないんだ。頼む、避難してくれ」
グラッドは必至に頼み込む。
だがそれは届かない。
「先程も言った通り私は死ぬならあなたの隣しか無いと決めてます。何を言っても無駄ですわ。
それに少しでも戦力は要りますわよね。私も戦いますわ」
「私もよ、お父様も戦うのでしょう?そんな時一人避難なんて出来るわけないですわ!私もお父様と一緒に戦いますわよ!」
覚悟を決めた目をした二人がグラッドを見つめている。
「わかった…絶対に死ぬんじゃないぞ」
これは譲らないなと感じたグラッドは諦める。
(せめて、俺が最後まで守り切ってみせる)
グラッドも覚悟を決め、戦場となる先を見つめて居た。


――――――――――――――――
side 城壁外 北門前


森は暗く闇に染まり、空には星々が輝く晴天の深夜、城壁外には沢山の篝火が焚かれ、闇に包まれる森を照らしていた。
騎士達は隊列を組み、今か今かと的が来るのを待つ。
斥候の報告によると、接敵までおよそ20分を切ったあたりとのことだった。

様々な思いが入り混じり、異様な雰囲気がその場を支配していた。

その一角、二人の兵士がそこに居た。
片方はラークであり、戦闘に備えて落ち着いている。
もう一方は若い兵士であり、紡へと突っかかって居た検問所の兵士だった。
若い兵士はかなり顔が引きつっている。

「先輩…俺これが兵士になって初めての実践なんですよね…」
「そうか、いきなりがこんな死地なんて大変だな」
ラークは笑って話しかける。
「先輩は凄いっすね…俺はこんな状況じゃ笑えないですよ」
若い兵士は気が滅入っているのかかなり精神的に参っていた。

「ちげぇよ、こんな状況だからこそ笑うんだ。心が折れないように、生きて笑えるように。そのために笑うんだよ」
「そんなもんなんすかね…」
「ああ、そんなもんだ。それに笑ってたら良いことがあるかもしれないだろ?だから、少しでも笑っておけよ、今から張り詰めてても持たないからな」
ラークは背中を叩き元気付ける。
「先輩ありがとうございます…少し気分が楽になりました」
若い兵士が歩いていく。その顔は引きつりながらも笑顔が作られて居た。


そんな各々の時間を過ごしていると急に訪れた。
明るく照らす森の中、そこから一匹の影が飛び出す。
「「「つっ!?」」」
冒険者と騎士達はすぐさま反応をし剣を向ける。
そこに居たのはレッサーウルフと言われるモンスターがいた。
「「「ふぅ…」」」
初心者冒険者にすら狩られるレッサーウルフに安心する。
するとレッサーウルフが急に天を仰ぎ、「ウオォオオン!!」と遠吠えを行った。

ダッ…ダッダッ……
周囲に地響きが響き渡る。
段々と強くなっていく地響きに体を強張らせ森を見つめる。

「ドコンッ!!」
レッサーウルフの背後の木が吹き飛びモンスターが飛び出していく。
ウルフ系統が主だっており、かなりのスピードで動いており、それは波のように地面を広がり前へと押し寄せて来ている。

「来たぞ!!」
いち早く対応した騎士団長であるカインの怒号が響く。
騎士達は盾を構え、冒険者は剣を向ける。今此処に命がけの戦いが始まった。

この北門の戦い。此処から、今後のちに語られる、歴史上最多のモンスター襲撃が幕を開けた。


―――――――――――――――――

side 城壁外 東門前 総指揮 グラッド ウェルド


「何処かで始まったみたいだな…」
急に遠くから響いて来た戦闘音に誰かがポツリと呟く。
その事実が今から始まる戦いが近いことを感じ、体を強張らせる。

(まあ、他の所が戦い始めたし、此処に来るのも時間の問題だな…)
そんなことを考えていると…
「来たか…」
目の前の森からモンスターがゆっくりと現れる。
そこに居たのはオーガと呼ばれる固体であり、お供にボブゴブリンを連れて歩いて来る。

それが森の中からぞろぞろと大量に現れる。圧巻の光景であった。

「いいか、先ずは魔法部隊の面々が先制攻撃を入れる!騎士達と冒険者は敵が怯んだタイミングで追撃を入れてくれ!」
作戦の最終確認を行う。
グラッドの後ろでは魔法士達が魔法の発動準備が完了されており、発動の合図を今か今かと待っている。

グラッドはギリギリまで惹きつけるために待つ。どんどんと迫って来る目の前の巨大なモンスターの波に手が震える。
(これは…とんでもないな…)
一人で恐怖と戦っていると…
「貴方…」「お父様…」
震える両の手をそっと握る感触がする。

(負けられない)
その手の暖かさを感じ、覚悟を決める。

前方に迫るモンスターを睨みつけ開戦の狼煙を上げる。
「魔法部隊発射!!」

ドドドトドッ…
一面を覆う魔法の嵐、様々な属性が入り混じりかなりの敵を刈り取る。
「よし!追撃だ。騎士達は陣形を維持して前へと進め!」

グラッド指揮の元東門は有利に戦いが進んでいた。


―――――――――――――

side 城壁外 西門前 一般兵


ズドドドドッ……
そこでは既に戦いが始まっていた。
ドコンッ…
この門は他とは少し違い守備兵の数が他よりも少なく調整されていた。
スパンッ!
まぁ、それもそうだろう。この現状を見れば…
前線では石壁の上に立つギルドマスターであるカレナが一人で前線を維持していた。

魔法の音が響き渡り、その度にモンスターの悲鳴が響き渡る。
威力が桁違いなのかモンスターの肉片や片腕などが此方まで飛んでくる。
「とんでもないな…これが元SSSランクか…」
石壁の奥は地獄絵図。
一般兵である俺には魔法で圧倒するギルドマスターが凄いとしか分からなかった。

石壁を出して進行を止め、上からとんでもない威力の魔法で追撃を行い続けるギルドマスター。
モンスター達は稀に2、3体こちらに流れて来るだけで圧倒していた。
(こりゃ、この門が少人数で納得だわ)

ギルドマスターが行い続ける蹂躙を数十人の兵士たちが見つめる。

西門は個人の力により一方的な戦いとなっていた。


―――――――――――――――

城壁外 南門前


響き渡る戦闘音。鬼気迫るモンスターの叫び声。蹂躙すべく発動される魔法の爆発音。

すべてが…遠くから聞こえていた。

遠くから戦闘音が聞こえてきてから約30分。
「来ないな…」「そうだな…」
意気揚々と戦いに挑んでいた兵士たちには先程からとても気まずい雰囲気が流れていた。

時々横から流れて来る数匹のモンスターを狩っていく以外する事がなく、只々時間のみが流れてゆく。
目の前の街道からは全く敵は来ず、20分過ぎたあたりから周囲には変な騒めきが起こっていた。

もう待ち疲れたのか指揮官であるフーパなんて、指揮をサブマスターに任せて爆睡していた。

いまだに来ない敵、他の門に応援に行きたいのだが、もしかしたら来るかもという感情が此処から離れることを許さない。

此処南門ではモンスターを待ち続け、これからさらに気まずい雰囲気に晒されていく。
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