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死んだ先が異世界で
強制連行 街中で
しおりを挟む「やっと着いたか」
騒ぐ人混みの中漸く魔法師ギルドへとたどり着く。
ドアの前へと着く。
だが、此処でも騒がしく盛り上がっていたようだ。
はぁ…ここも騒がしいな。
中からは盛り上がっている声が聞こえている。
しょうがない、めんどくさいが入るか…
ドアを開き中へと入って行く。
ん?どうしたんだ?
入った途端、何故か先程までの騒ぎごえは消え去りギルド内は静まり返り、此方を全員が見つめてくる。
どうしたんだ?服も普通だしおかしいとこは無いはずなんだがな…
まぁ、気にしたら負けだな。
先程から此方を見つめるディアナの元へと向かった。
「久しぶりだな」
「そうね、色々と話す前に聞きたいことがあるのだけれどいいかしら?」
「ん?なんだ?」
「貴方が引きずっているその男は何かしら?」
ああ、こいつのことか。
「よくわからんが此処に来る道中襲ってきてな、上手く去勢しといたからそっちで処理しておいてくれ」
投げ渡すようにディアナの前へと男を投げる。
「きゃっ!…危ないわね。って去勢ってまた貴方やったの!?」
敵対してきたからな。きちんともぎ取ってやるのが礼儀だろう。
「気になるなら見てみればいい。付いてないから」
「見ないわよ!」
周囲では男達が青い顔で股間を抑えていた。
「あと、その頭の上の黄色いのは何かしら」
ああ、フォルの事か。そういや、連れて回るのは初めてだったな。
「ああ、こいつは俺の仲間のフォルだ」
頭から抱えディアナに見せるように差し出す。つぶらな瞳でディアナと見つめ合っている。
「…可愛いわね」
当然だ、俺の仲間は皆可愛い。
「フォルの可愛さがわかるとはなかなかやるな」
フォルを撫でながらそう言うと、嬉しかったのかフォルも手に頬をスリスリと擦り付けてきた。
「本当に可愛い…」
ふっ、羨ましそうな顔で此方を見つめているな。
そんな目をしてもやらんけどな。頭の上にフォルを戻す。
ディアナは撫でたかったのか、手を前に出し小さく「あっ…」と呟く。
「それで聞きたいのはそれだけか?」
「いえ、最後にも一つ…」
ん?他に聞かれるようなことがあったか?
「貴方、何をしたの?残念ながらギルドマスターから呼び出されているわよ」
は?なぜに俺に呼び出しが??
「え?何故に?」
「私が知るわけないわよ!貴方が来たらすぐに連行するように言われてるの」
うわー…面倒ごとの香りがプンプンするな…超行きたくねぇ。
後ろに振り返り出口へと向かおうとする。
ガッ…「逃さないわよ」腕を掴まれた。
「いや、何もしてないのに呼ばれる訳が分からないんだが」
「私も知らないわよ、でも此処で貴方を返したら怒られるからね。連行させてもらうわよ」
鬼気迫るディアナに紡は正直に連行されていった。
ギルド2階奥の部屋へと連行されて来る。
コンコンッ!
「ギルマス!ツムグを連行して来ました!」
「そうか、入っていいぞ」
中へと連れられる。
おお!調度品は少なく質素な中に機能性があるいい部屋だな。実に俺好みの部屋だわ。
部屋の中では、椅子に座る気怠げな男が此方を見つめていた。
ほう、此奴がギルドマスターか。なんかとても疲れた顔をしているが大丈夫か?
「ディアナありがとう。戻っていいぞ」
素早くディアナは退出して行った。
「さて、君がツムグで間違いないか?」
「ああ、俺が紡だが」
「そうか、僕はギルドマスターのフーパだ。よろしく頼む」
虚ろな目でそう語るフーパのその姿に悲壮感を感じる。
「君には苦労させられている。急に大量の魔物素材を持って来ただろう、あれを捌くのに苦労してるよ…
只でさえ今は職員が少ないんだ、僕の仕事はとんでもない量になっている…」
あの時のモンスターか、一気に出し過ぎたとおもっていたがやっぱりやりすぎだったか。
「あー…それは悪かったな」
「いや、いいんだ。その分ギルドの収益に繋がるから。でも誰にも文句を言うことができなかったから申し訳ないがついつい君に当たってしまった」
かなり精神的に来ていたのだろう、申し訳なく感じた。
「それで今日此処に呼んだ理由になるのだが、君のことを領主様が探しているみたいでね、このギルドにも通達が届いているんだよ」
領主か…多分戦場の件だろうな。厄介ごとな気しかしないな。うん、めんどくさい逃げよう。
「領主館に行ってもらうことになるが構わないかい?」
「ああ、気が向いたら向かうよ」
絶対に行かないけどな。
「気が向かなくても行って欲しいんだけどね」
フーパはそう語りながら苦笑いしていた。
「話はそれだけか?俺は用事があるから早く出たいんだが」
少しでも早くこの街から出ていかなければ。
「なんか逃げそうだけど…まぁいいか、大丈夫だよ。ごめんね長々と話しちゃって」
へぇ…冒険者ギルドのマスターなんかよりよっぽどいいな。
紡は地味にフーパのことを気に入っていた。
―――――――――――――――――
side 魔法師ギルドマスター フーパ
室内から紡が出て行ってから、フーパは一人静かな部屋で茶を飲んでいた。
「失礼します」
そこに入ってくる一人の男。キビキビと歩き室内に入ってくる姿にその男の真面目さを感じる
「ああテッドくん、なんか用かい?」
「ええ、サブギルドマスターとして先ほどの少年を連行しなかった理由を伺いに参りました」
はぁ…テッドくんも真面目だねぇ。僕みたいに少しは休まないと倒れるだろうに…
「一応僕から領主館に行くように伝えたから問題はないはずだよ」
あの子が行くかどうかは別としてきちんとギルドとして報告責任は果たしたからねー。
「…そう言うことを聞きたいわけでは無いのは分かっているでしょう」
そりゃわかるさ、君のことだどうせ…
「此処であの子を強制連行して領主に恩を売るってことかい?」
「そうです。ここ最近低下している魔法師ギルドのためにもここはやるべきなはずです」
はぁ…これだから真面目な奴は困るよ…結果しか見ていないじゃないか。
「ダメだよそれをしたら大変なことになるよ」
「相手はFランクの少年ですよ!強制してでも連れていけばいいはずだ、なにを困る事があるって言うんですか!」
わかってないなぁ、情報しか見ていないじゃないか。
「もしあの子に手を出そうとしたら此処は更地に変わると思うよ」
「!?」
「Fランクか、それはそうだあの子はギルドに登録して依頼すら受けていないんだ。そりゃFランクのままだろうさ。
ギルドはどんなに強くてもFから始まるんだ。そこを間違っちゃいけないよ」
「で…ですが、私か、ギルドマスターが実力行使で連れて行くことも出来るはずです!」
「はぁ…そこも間違いなんだよ。あの子は多分僕達よりも強い」
「なっ!?」
そうなんだよ、僕では実力行使もできないんじゃ行くようにお願いするしかないんだよね。
「これはギルドマスターとしての指示だ。あのツムグ オトギとはなにがなんでも敵対してはいけない。
あの子の目は他人を簡単に切り捨てる事が出来る目だ。
あの子とは今は出来るだけ友好関係を築けるように動いてくれ」
敵対したらあの子は多分簡単にギルドを潰すだろう。
それだけは避けなければならない。
運のいいことに受付のディアナとは仲良くなれているようだし現時点では友好を築けているはずだ。
「分かりました失礼します」
苦々しい顔をしながらテッドは部屋を後にする。
はぁ…もう少しテッドくんは臨機応変に対応できるようになってほしいな。
「さてさて、どうなる事やら…」
呟きながら再度お茶を飲む。
それはすでに冷めきり、冷たくなっていた。
―――――――――――――――――
話も終わり魔法師ギルドを後にした俺はそのまま出ていくため門へと向かっていた。
門には戻ってきた馬車が列を成して入ってきており、門番たちが交通整備を必死に行なっている。
点々と繋がる馬車はまるでアリの行列のようにノロノロと進んでいく。
そんな横で、暇を持て余す歩行者用の検問所。
お祭りのためか、街から出て行く冒険者も少なく、かなり暇なのか門番も一人しかいなかった。
よかった、運良くラークみたいだ。
下手な奴が来る前に早く向かうとするか。
「ラークさん、通って大丈夫か?」
「ん?おお!ツムグじゃないか無事だったか!」
ラークは大声で喜ぶ。
心配してくれたことにありがたさを感じる。
その時だった…
紡の後ろから近く足音。
「そこの少年、止まれ」
急に何だよ命令口調で言って来やがって。
それは背後から聞こえてくる。
「はぁ…今度は何だよ…」
悪態をつき振り向くと、知らないおっさんがいた。
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