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<< 妹と親友への遺言 >> side 大志
30、水口麻耶 (2)
「八神先生、本当にどうもありがとうございました。お陰様でやっとアイツと他人になれました」
事務所の応接室で向かい合って座りながら、俺と水口麻耶は笑顔で握手を交わしていた。
彼女の離婚裁判の訴えを提起して約半年。漸く今日、離婚の判決が下りて結審した。
ほぼほぼこちらの要望通り、全面勝訴と言ってもいいだろう。
何せ証拠が揃っていた。息子の二の腕やお尻につけられたつねり痕の写真、医師の診断書。
別居の際の覚え書き。夫とのメールのやり取りと謝罪の記録。
だからこそたった半年で終わらせることが出来たのだ。長ければ2年、3年とズルズルと続くこともある。
夫が生まれたばかりの息子に焼きもちを妬いて暴力を振るっている……と最初に相談を受けた時にはハラワタが煮え繰り返り、彼女に同情したものだけど、蓋を開けてみれば、水口さん自身も別居後すぐに彼氏を作っていて、そのために離婚を急いでいるのだと分かった。
そんな事が夫側にバレたら不利になる。だから彼女には、彼氏と会うことは極力控えて、メールの記録も全削除するように知恵をつけた。
そして俺は今日、ある提案を彼女にしようと思っている。
「水口さん、仕事を探してるって言ってましたよね?」
「ええ……裁判があったから不定期の派遣業務しかして来なかったけれど、これからは平日の9時5時で終わる事務職にでも就きたいと思って」
彼女が元夫とは関わりを持ちたくないとのことだったから、『慰謝料』という形でまとまったお金を支払わせて、『養育費』の月々の支払いなどは貰わないことになっている。
だから早く定職について安定した収入を得たいのだろう。
「だったらうちの事務所で働いてみませんか?」
「えっ?」
彼女は驚いた顔で、コーヒーカップをカシャンとソーサーに置いた。
「うちって……この『八神法律事務所』で……ってことですか?」
「そう。実は今、事務員を募集中でね、しかも短期なんだ。水口さんも働けるのは短期なんでしょ?」
「ええ……今付き合っている彼氏に息子が慣れて落ち着いたら結婚して引っ越すので、1年か2年……それじゃあ、ここで短期で使ってもらえるんですか?」
「水口さんさえ良ければ。ただし条件があって、それを呑んでもらえるなら……だけど」
「条件……ですか」
「うん、実は俺には妹がいてね……」
誤解のないように言っておくけど、この時点ではまだ、水口さんを利用しようだなんてこれっぽっちも思っていなかったんだ。本当だよ。
水口さんは元社長秘書で事務や接客のスキルがあるから即戦力として申し分ない。
そしてこの半年彼女と関わっていて分かったことだけど、水口さんは頭の回転が速くて情報処理能力に長けている。男好きする外見とは反対にサッパリしていて姉御肌な性格は、桜子の教育係としても持ってこいだろう。彼氏がいるから俺や冬馬に興味を持って桜子を邪険にする心配もない。
まあ、結果的には彼女を利用して冬馬を陥れようとしたんだから、この時点でどうだったかなんて言い訳したって意味ないんだけどね。
うん、ハッキリ認めるよ。
俺は水口さんを利用して冬馬を桜子から遠ざけようとした。
自分の気持ちを優先して、桜子を……事務所の仲間を騙したんだ。
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