婚約破棄してきた強引御曹司になぜか溺愛されてます

田沢みん

文字の大きさ
22 / 83
<< 番外編 >>

フランス旅行のお話なのデス (1)

しおりを挟む

「ワオ! フランス……デスカ?」
「そう、フランス。行ってみたくない?」

 クインパスニューヨーク営業所のカフェテリア。1時間のランチタイムに、ヨーコと朝哉は長テーブルで向かい合って座っていた。

 いつもランチは営業先の近くで食べてくるか、移動中の車内でコーヒーとハンバーガーで済ませている朝哉がわざわざお昼に戻って来て『おごってやる』と言い出した。

 何事かと思ったら、フランス旅行をプレゼントしてくれると言う。飛行機のチケットもホテル代も移動のタクシー代も、全部、ぜ~んぶ朝哉持ち。素晴らしい!

「行きマス!行きたいデス!……ですがどうしたのデスカ? まさか私に惚れちゃいマシタカ? 返事はゴメンナサイですヨ。トモヤに恋愛感情は無いですからネ」

「そんなもん俺だって無いわ! 俺はヒナ一筋だってぇの!」
「それなら良いデスけどね。浮気は絶対に駄目デスヨ」
「するかっ!」

ーーだとしたら、ドウシテ?

 チロリと不審な目を向けると、朝哉が気まずそうに斜め上に視線を逸らして首の後ろを掻く。

「その旅行にさ……ヒナを誘って欲しいんだ」

「ヒナをデスカ?……ピコン!分かりました!エッフェル塔で可愛いヒナの写真を撮って来て欲しいのデスネ! お安いの御用なのデスヨ」

「違う、そうじゃなくて……。いや、もちろん写真は欲しいけどさ……」

「ハッキリしないデスネ。ケツの穴の小さい男はモテませんヨ!」
「おいっ、ここでそんな汚い言葉を使うなって!」

 クインパスは日本の企業なので、ニューヨーク営業所にも日本語が理解出来る社員が何名かいる。
 だけど『ケツの穴が小さい男』というのは日本のことわざなのだから使ってもいいのではないだろうか。
 ことわざでも『ケツ』が入っているとアウトなのか。『お尻』と言い換えれば大丈夫なのだろうか。日本語は奥深すぎて難しい。

 ……というような事を語ったら、
「いや、ケツもお尻も女性が大声で連呼しないだろ。そもそもそれって『ことわざ』じゃなくて『慣用句』だし」と言われた。

 日本語は本当に難しい。『慣用句』についてはまた雛子に教えてもらうとしよう。
 そう言ってサンドイッチをパクついたら、凄く羨ましげにジト目で見られた。
 羨ましいのはサンドイッチではなく雛子の事だろう。

 分かっている。目の前にいる優秀な時期クインパスCEOは、雛子のこととなると手段を選ばないストーカーに変身するのだ。


「……フランスにヒナコを連れて行ってどうするのデスカ?」
「うん……実はさ、俺が言う場所にヒナを連れて来て欲しくて……」

「Oh! 私は犯罪行為はしたくないデスヨ。拉致監禁のうえ凌辱りょうじょくはBL界ではサラッと行われていますケド、実際にやったらドン引きですからネ。ヒナコはノーマルプレイ派に決まってマス!」

「バカっ、お前また、そんな言葉を大声で……」

 慌ててキョロキョロと周囲を見渡してから、声を潜めて身を乗り出した。

「今度フランスで行われる企業展示会に日本からクインパスが参加する事になってさ、社長命令で俺も手伝いに行く事になったんだ」

 その会場に雛子を連れて来て欲しいのだと言う。
 なるほど、会場をうろつく姿を観察したいのか。立派な変態だな。

「危険な橋は渡りたくないデスヨ。ヒナコにバレたら私が嫌われマス」

「……この前本屋で一瞬だけヒナを見ちゃっただろ? アレで余計に恋しくなっちゃってさ……圧倒的なヒナ不足なんだ。俺は裏方だし、ブースの陰から見守るだけだから」

「デモ……」

 朝哉がスーツのポケットに手を突っ込むと、何かを取り出しテーブルにコトッ……と置いた。

「ワオ!チ◯ルチョコ! 」

 手を出したところでパッと取り上げられる。

「お前、チ◯ルチョコが大好きだったよな。知ってるか? これは期間限定の杏仁豆腐味だ」

「アンニン?……何ですか、ソレ」
「中華料理の……アレだ、『Almond Jellyアーモンド•ジェリー』、お前よくデザートにオーダーして食べてただろ」

「Oh!アーモンドジェリー!さすがチ◯ル、チャレンジャーですネ。素晴らしいデス!欲しいデス!」

「これは俺の兄が送ってくれた荷物にたまたま入っていた3個しか無い。だが俺の頼みを聞いてくれると言うのなら、チ◯ルの各種詰め合わせを20個……いや、30個送ってもらうよう頼むことが可能だ」

「ヒナコを連れて行きマス!!!」

 即答したら、朝哉はニヤリと微笑んで、手の中のチ◯ルをポトリと手のひらに落として来た。

「契約成立だな」

ーーヒナコ、ゴメンなさい! だけどコレはトモヤとの友情のために仕方ないのデス! 決してチ◯ルに釣られた訳では無いのですヨ!

 朝哉とフランス旅行の打ち合わせをしながら、ヨーコは送ってもらうチ◯ルは何味がいいかと脳内で考えていたのだった。
しおりを挟む
感想 398

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にエタニティの小説・漫画・アニメを1話以上レンタルしている と、エタニティのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。