婚約破棄してきた強引御曹司になぜか溺愛されてます

田沢みん

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裏 あしながおじさまは元婚約者でした

敏腕マネージャー・ヨーコ sideヨーコ

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こちらも書籍化でカットされた部分です。
朝哉たちの病室エッチの前にちょろっと数行書かれていただけなのですが、今回再掲にあたって文章を書き足してショートショートに仕上げました。
私、ヨーコが大好きなんです。

*・゜゚・*:.。.:*・゜゚・**・゜゚・*:. .。.:*・゜゚・*



 術後4日目からは、ヨーコも竹千代も病室には行かなかった。
 入院の必要物品はもう一通り揃っていたし、警察からの事情聴取もあらかた終わったので、わざわざ病院に顔を出さなくてもメールや電話での業務報告だけで十分になったのだ。
 重要な話ならパソコンで顔を見ながらすればいい。

 しかし、上司の朝哉がいないからといってヨーコたち部下が休みになるわけではない。
 社内外から専務あてに届く書類やメールの管理があるし、今回の事件の詫び状とお詫びの品の手配をしたり、あちこちからかかってくる取材依頼の対応もしなければならないからだ。


 その整った容姿と経歴から元々一部の人々には騒がれていた朝哉だったが、今回の事件をきっかけに全国区の人気となり、一気に注目度が上昇した。

 テレビ各局からはワイドショーやドキュメンタリー番組の出演依頼が殺到し、新聞や雑誌の取材依頼も次々と舞いこんでいる。

 取材依頼をしてくるのは経済誌に留まらず、下世話なゴシップ誌のインタビューや、果てはファッション雑誌からのモデル依頼まで。

『はあ? 情○大陸? モデル? そんなの俺に聞くまでもなく速攻で断れよ』

 朝哉は顔をしかめてそう言ったが、こんな美味しい話を簡単に諦めるわけにはいかない。
 ヨーコは朝哉とのパソコン通話を切った後で、すぐに社長に連絡を入れた。

「シャチョー、センムに『情○大陸』から密着取材の依頼が入りマシタ!」

 これには時宗だけではなく、ちょうどその場に居合わせた定治も大層乗り気になった。

『会長、以前会長も出演されたことがある情○大陸ですよ。注目度も増している今なら会社の宣伝にもってこいなのでは?』

『ふむ、今回の事件で私情を優先させたと世間が騒ぎ出す前に、朝哉の仕事姿を見せておくのはいいかもしれん』

 テレビ映えを考慮して、取材時期に合わせて社内会議と工場の視察を入れておくこと。ストイックさを印象付けるため、帰宅後も深夜まで書類作成するシーンを入れること。主治医に頼んで診断書をシビアめに書いてもらうこと(雑誌やテレビで公表したときに同情を買いやすいようにらしい)……など、2人からの指示をワクワクしながらメモしていく。

『……あとは跳ねっ返りの朝哉を説得せねばなるまい。まずは体調が落ち着くまで保留ということにしておくのがいいだろう』

 そう言われたので、先方には『専務も乗り気なのデスが、激しい戦闘による負傷のため、今はまだ取材に応じられる状態ではないのデス。しかし復帰の際は最優先で出演を検討させていただきますカラ!』と電話で返答しておいた。

 専務と周囲の調整役としてうまく橋渡しするのも、マネージャー……いや、秘書の役目なのだ。


 ヨーコは今の、『芸能事務所の敏腕マネージャー』的な状況を結構楽しんでいる。
 今までにも取材の依頼は多々あったが、今回のように芸能記者やワイドショー相手というのは初めてだ。
 この勢いで朝哉がドラマ出演でもしてくれたら面白いのに……と思う。

――コレはあくまでも会社のためなのデス! 撮影現場に同行して美少年を拝みたいだなんて思ってないデスヨ! 本当デスヨ!

 トモヤに叱られそうになったら、ヒナコに泣きついて庇ってもらえばどうにでもなると、ヨーコは読んでいる。
 まあ実際そうなるだろう。
 なにせうちの専務は可愛いフィアンセにゾッコンなのだから。

――ヒナコを好きな気持ちなら、私だって朝哉に負けてませんけどネッ!

 謎の対抗意識をメラメラと燃やしながらも、パソコンに向かうヨーコの顔には笑みが浮かぶ。

――どうかあの2人に幸多かれ……。

 ニューヨークで孤独な戦いを続けていた朝哉も、勉強に打ち込みつつもどこか寂しげにしていた雛子も、ヨーコは近くで見守ってきた。
 ようやく結ばれた2人には、今度こそずっとずっと幸せでいてほしいのだ。


「……とりあえず、退院後のセンムのスケジュールを調整しなきゃですネ」

 ワイドショーはジャ○ーズ事務所のタレントが出ているところがいいな……などと考えながら、ヨーコはメールの返事を打ち込むのだった。

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