昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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秘色の屋敷 七

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「おお、良い子じゃ、良い子じゃ」
 ひひひひひっ! 
 下卑た笑い声が望の鼓膜を焼く。
 膝裏に力を感じた次の瞬間、抱え上げられた。
 老いても消えぬ老人の欲望の残炎に、望は心身ともに焼きほろぼされていく気がした。
 激しい嫌悪と憎悪、恐怖と恥辱に胸がつぶれそうだ。
 それでも眉を寄せ、なんとかこらえた。
 不気味な感触が、背後の初心な蕾を襲う。
 望は歯をくいしばった。
 そして、必死に自分に言いきかせた。
(あと、もう少しの辛抱だ……)
 蕾を乾いた皮と肉が割る。
 老人が指を一本、入れたのだ。
「うう……」
 あと少し。もう少しで終わる。
 望の苦しみも、老人の命も、もう少しで終わるのだ。
「はぁ……っ」
 しばらく指で蕾の内側をいじられた。
 
 どれぐらい時間がたったか。
  満足したのか、望の繊細な蕾を占領していた老人の指が出ていく。
 望は内心、安堵の溜息を吐いた。
 だが、すぐに自分が恥ずかしい滴りをこぼしてしまったことに気づいて泣きたくなる。
 それでも終わったということだけには感謝するしかない。
 身体をもてあそばれるのは苦痛と恥辱でしかないが、さすがに祖父はそれ以上のことはしない。
 望は少年の本能で、こういった行為にまだ未知な部分があることに気づいていた。
 級友が先輩にされたと言っていたようなことは、まだ自分の身には起こっていないのだ。
 内気なその級友が、しばし上級生たちに呼びだされ、その行為を強要されていることは、皆が知っていた。
 あいつは〝女〟だから……。
 友人の一人がにやにや笑いながら呟いていた。聞いていた望は背に悪寒が走った。
 こういうことをされてしまうと、〝女〟になってしまうのだ。
 彼のように、友人たちからも見下され笑いものにされてしまうのだ。
 自分は絶対そうなってはいけない。
 だから祖父が自分にこういうことをしていることは、誰にも知られてはいけない。
「もうよいぞ。お下がり」
 粘つくような手で望の頭を撫で、祖父が満足そうに言う。
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