昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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日影の若葉 八

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「て、手と……口で……ゆるしてもらったんだ」
 つまり、本当の身体の交わりはしていないらしい。
 稚児というのは、皆が皆、念兄と身体のまじわりまで持つものではない、ということはかすかに聞き知っていたが。
「ふうん……」
 章一の、この身体には、まだ初心なところが残っているのだ。
 そう思うと、また興奮してくる。
「ここには……挿れたことはないんだな?」
 章一の慎ましやかな蕾に、人差し指をあててみる。
「んっ……!」
 びくん、と身体をふるわせ、章一がうなずいた。
「だ、だから……、も、もぉ、」
 やめて……と続けたいのだろうが、望はかえって興味津々でいとこの秘所を検分する。
「じっとしていろよ」
「あっ……、ああっ……!」
 そのまま人差し指を、第一関節のところまで押してみる。
 かたくなな蕾は抵抗したが、幾度かなだめるように、こするようにしてみると、しぶしぶ望の指を受け入れた。
「うう……」
 ここからは顔が見れないのが物足りない。
 あの夜の仁の横顔を思い出してみた。
 長い形の良い眉をしかめ、必死に耐えていた横顔。今の章一もあんな辛そうな顔をしているのだろうか。
 下に見える、章一の細い剝きだしの肩がふるえて、そうだ、と告げる。
 苦しい、つらい、と白い肩がふるえて訴えてくる。それでも望は指をすすめた。
「んん……!」
 章一の苦しげな呻きに負けたわけではないが、いったん指を抜いた。
「ああ……」
 安堵の溜息をもらす章一が、ふと哀れになったが、望は今度は指を自分の舌で濡らして、ふたたび蕾を犯す。
「あっ……!」
 あたたかい肉厚の花弁が望の指をつつみこむ。
 先ほどは抵抗していたのが嘘のように、こんどは望の指にくらいついていくるようだ。
 ここちよい花肉が、望の指にからみついて離そうとしない。
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