昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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調教初夜 三

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 香寺の吐いた絶望の吐息の音が聞こえてきそうだ。
 望の位置からは、香寺の姿がやや斜めに見える。何をしているか、見える。
(あっ……)
 腰と胸がますます熱くなる。望は膝の上で両手をにぎりしめていた。
「そこは持ち主と一緒だな。ほっそりとして可憐だ」
 勇の声は満足感をふくんでいた。
「そんな、のろのろやっていないで、もっと早くこすってみろ。いつも自分でやっているのと同じぐらいに早くしてみろ」
 華族として生まれ育ったまぎれもない貴紳の身でありながら、勇は信じられないぐらい下劣な言動をする。
 それでいて、その様子にはたしかにくずれることなき品位があり、これほど下劣な真似をしていても下品に見えないのだから、生まれ育ちとは強い。
 望は若く美しい叔父の奔放さに呆れつつも、羨ましく、憧れた。
 やりたいようにやり、欲しいものを手に入れていく勇のようになれたら……。自分はいつも見ているだけだ。
「ほう……」
 雨沼の興じる声。
「おお、勃ってきたな。ふむ。なかなか綺麗なものではないか。色もいい。初々しいな。やや小さいが、そこがまた品があって可愛いものだな」
 己の肉体の秘めた繊細な箇所を言葉にして暴かれ嬲られる屈辱に、香寺の頬があらたに濡れて光る。
 それでも若い身体は燃えて、涙に濡れた頬がほんのり桜色に染まっているのが、なんともいえずあでやかである。 
 我知らず、望は自分の股間を両手でおさえていた。たまらなくなってきた。
 全身を恥辱と羞恥に桜色に染め、香寺は日ごろの慎ましやかさをかなぐり捨て、魔物のような男たちののぞむ行為に没頭した。ほとんど自棄になっているようにも見える。
「あっ……ああ」
 形の良い唇からこぼれる喘ぎ声も、またひどく煽情的に響く。
 望は、家庭教師のあられもない姿を見せつけられ、もはやどうにもならない。
 浴衣の割れ目から手を入れ、己をまさぐった。止められなくなったのは望も同じだ。
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