昭和幻想鬼譚

文月 沙織

文字の大きさ
70 / 190

調教初夜 四

しおりを挟む
「小亀のようだな。おお、大きくなった、大きくなった」
 雨沼のいやらしい笑い声がひびく。
 望はこれ以上すすむと危ないと思いつつも、膝が自然にうごき、さらに窓に近づいていた。
 香寺の色白の頬が赤く染まっているのがいっそうよく見えた。鼻がふくらんでいるように見えるのは、行為に没頭しているせいか。
 香寺にしてみれば、何も考えず言われたことをただ果たすことで、このひどい状況から逃れようとしているのかもしれない。
 望は唾をのんだ。
 雨沼が言うように、香寺の華奢な手につつまれている若い象徴は、形を成しはじめていた。
 初々しさをのこして、まだ成長過程にある若い茎は、どこかいじらしく思えて、望が見てすら可愛く思えてしまう。望は己の中心をつかむ手に力を入れてしまう。
「雨沼さんが小さいなどと言うから、先生、意地になっているのですよ。ほら、雨沼さんを見返そうと、必死ですよ」
「うう……」
 勇の陰険残酷な揶揄が、傷つけられて泣く香寺をいっそう可憐に見せる。香寺の茎が、ひどく可愛く思えてしまうことに、望は驚いた。
 普段は頭脳明晰で怜悧な家庭教師の、決して見てはいけない姿を見てしまい、望自身、己のなかにひそむ別の自分を知った心持ちだ。
 仁のあられもない姿を見たときも、心中に別の自分を感じていたのかもしれない。
「おお、どんどん大きくなってきたな。香寺君……学士さんよ、ほら、もう一息、ふんばってみろ」
「はぁっ……」
 薄桃色に燃える肉体を突っ張らせるようにして、香寺は鬼のような男たちの目の前で、自分自身を壊さんばかりにみずからの両手で責めつづけた。それはなんとも痛ましく、淫靡な光景である。
「うう……うっ」
「お、もう遂くか? あんまり早く終わっては興ざめだ。もうちょっと待て。儂がよし、というまでは我慢しろ」
「え……」
 香寺は閉じていた目を開いた。
「そ、そんな、そんな……」
 濡れた黒い瞳が困惑と窮状をうったえる。
「こら、手を休めるのではない」
 刺激を与えつづけて、なおぜるな、というのは無理な注文だ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

身体検査その後

RIKUTO
BL
「身体検査」のその後、結果が公開された。彼はどう感じたのか?

処理中です...