昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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調教初夜 五

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「こうすればいいのだ」
 勇が二人のあいだに割って入るようにして、香寺の茎の先をつまむ。
「ひっ……」
 力が入っていたのか、香寺が小さく悲鳴をあげた。
「本当に初心で可愛い人だな」
 雨沼の感嘆するような声も、香寺の耳には入っていないかもしれない。
「ああっ、……あっ……、そんな、そんな」
 勇の右手に握りしめられ、香寺は自分で触っていられなくなった。
 だが、どうにもならない情動にせかされ、勇の手に自分の両手を添えるような形になる。香寺自身、なにをしようとしているのかわかっていないのだろう。
 己の中心をつかんでいる勇の手を、拒みたいのか、引き寄せたいのか。
 苦くも甘い禁断の行為を、止めたいのか、つづけたいのか。踏みとどまりたいのか、爆ぜたいのか。
「ああっ……」
 切なげに寄せられた細い眉に、苦悩と愉悦を感じて、望の身体はいっそう熱をふくむ。
 今香寺は生殺しにされている状態なのだ。だが、それが苦しいだけではないことが、寄せられた眉と、あえぐ唇が伝えるもどかしさから伝わってくる。
 苦悶と快楽のいりまじったやるせない表情が望の胸をつらぬく。
「すごい顔だな、先生。あんたがこんなに色っぽいとはな。真面目な学士さんだと思っていたが、案外、あんた助平だな。くくくくく」
「ち、ちが……」
 勇の嘲笑に、香寺は首を横に振りながら、閉じた瞼から滂沱の涙をこぼす。
 望はたまらなくなった。
(ああ……)
 次の瞬間、望は自分が浴衣を汚しことに気づいた。

「もう充分だ。いかせてやれ」
 雨沼の声は多少、不機嫌に聞こえる。
 先ほどから勇が香寺をいいようにして主導権を取っているのが、やや気に入らないらしい。
 自分が求めてこういう状況を作りだしておきながら、自分の存在が一瞬でも忘れられるのが許せないのだから、専制君主というのは厄介である。
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