昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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調教初夜 七

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「ああ、かわいそうに、泣くなよ、先生」
 笑いながら、勇が指で香寺の頬をぬぐう。
「本当に可愛いな」
「おいおい、独り占めはいかんぞ。ほら、学士さん、こっちへくるがいい」
 雨沼によばれ、勇に背を押されるかたちで、香寺はふらふらとした足取りで進んだ。
「おお、よしよし、良い子だ。さぁ、今度は、後ろで遊んでみるか。ほれ、」
 雨沼が畳の上に投げたものを見て、香寺は呆然とした。
「どうした? つぎはこの玩具おもちゃを自分で挿れてみろ」
 いったいどこまで残酷で下劣なのか。今の時代の風は、このような陰険卑劣な男に巨万の富をあたえたのだ。
 望は我知らず義憤に燃えた。
 だが、少年の青い正義感は、やはり少年の性的好奇心と性衝動を上回ることはなかった。
 望はそこにとどまったままだ。
「中尉、こんどはこの坊やに、道具の使い方を教えてやるといい」
 望は身を乗り出していた。
 畳の上にころがっているのは、張型――というものだと望は知っていた。
 大人の男の手のひらにおさまる程度の大きさだが、その形は遠目にも卑猥と思える。
「なかなか見事なものだろう? 鼈甲のものは高級品だぞ。あんたに贈ろう」
「こんな高級なものをくれるとは、やはり雨沼さんは太っ腹ですね」
 勇の口調は香寺に問いかけるようだ。
「いきなり後ろを使うのはきついからな。しばらくはこれで練習してみるがいい。さ、初めてみろ」
 信じられないような雨沼のひどい言葉に、香寺は喘ぐ。
「中尉、手伝ってやってくれ。このねんねさんには、いきなり一人でやるのは無理のようだ」
「喜んで。さ、先生、そこに四つん這いになるといい」
 香寺はぶるぶると震えつづけている。無理もない。
 つい先ほど、二人のまえで自慰行為を強要され、死ぬほど恥ずかしい姿をさらされ、今も獣のように衣服をはぎ取られたままの恰好を強いられ、恥辱に凍りついている香寺に向かって、非情な男たちは耳をうたがうようなことを命じているのだ。
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