昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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征服者の夢 一

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 勇は帰るとき、道具を望にあずけた。
「おまえが好きなときに使うといい」
 雨沼も、香寺の所有権を望に貸与するかたちとなった。
「望君の言うことを儂の言葉だと思うがいい」
 そう香寺に告げた。
 なんとなく、二人の男たちにいいように操られているという気もしなくもないが、望は知ってしまった悦楽を手放せなくなってしまっている。
 あれから、毎日のように望はおのれの青い欲望を香寺にぶつけていた。
「うっ……、うう」
 おもてむきは今までどおり家庭教師と生徒の関係だが、望の部屋に二人こもっているときは、上下関係は逆転した。
 家人は今までのように香寺が望に勉強を教え、望がまじめに勉強していると思いこんでいるが、そこで行われていることは信じられないほどに背徳的で猥褻な行為だった。
「勉強する時間に、こ、こんなこと……」
「決めるのは僕です。先生じゃない。先生は、僕の命令に従わなければならないはずだ。そう雨沼さんに言われているのでしょう?」
 まず、望は香寺に下肢をあらわにすることを強制した。
 最初ははげしく抵抗した香寺だったが、雨沼との契約を持ち出すと、瞳を濡らして、おずおずとズボンを脱ぐしかなかった。その仕草も羞恥にふるえる様も、望の欲望を高める。
 畳の上に這いつくばるような恰好を強い、臀部を高く上げさせる。香寺のすすり泣きが甘美な毒となって望の鼓膜にしみこむ。
 勇から預かった桐の箱を開け、淫らな道具をおもむろに取り出した。望の胸は高鳴る。
 これで、香寺を征服できるのだ。見せつけてやると、香寺は真っ青になる。
「き、君は異常だ! 勇さんや雨沼氏から悪い影響を受けて、おかしくなってしまっているのだ!」
 責められてもなんの痛痒もない。
「そうかもしれません。さぁ、先生、脚をひろげてください。これで、うんと可愛がってあげますよ」
 望はいっぱしの悪党のような言葉を吐いていた。
「ああ……、やめ、もうやめてくれ……!」
 全身で啜り泣く香寺が、いじらしい。愛しい、とすら思うのに、それでも、いや、それだからこそ望は香寺をいたぶることが止められない。
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