昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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征服者の夢 二

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(いつか……、これで)
 望は夢想する。
 いつか、仁をこうして嬲ることを。香寺を責めながらも、想いは仁にいく。ときに香寺が仁のような錯覚を起こしたりもする。
 香寺に対して、悪いと思う気持ちもないではない。だが、すでに幾度となく感じ、考えたように、罪悪感や道徳よりも、欲望のほうが強く望を動かすのだ。
(ごめん、先生。でも、欲しい。……うんと、気持ちよくしてあげるから)
 奇妙なことだが、香寺自身への想いもあることはあるのだ。
 若さゆえの多情か、特権階級に生まれた傲慢か、もしくは若いとはいえ、男という生き物のそれが本能なのか、望は二人の人を同時に想っているのだ。そして、これからも想う相手は増えていくだろう。
「先生、身体の力を抜いて……」
 背後から耳元に囁くと、香寺は頭を左右に振る。拒絶の意思表示をあっさり無視して、望は道具を秘所にあてがう。
 ぐっ……、と確かな手ごたえを感じつつ、押し進めた。
「ああっ……!」
 四つん這いの屈辱的な姿勢で、香寺は年下の少年の凌辱を受けいれる苦痛に泣いた。
 だが、それだけではすまなかった。
「先生……、今日は、最後までしたい。して、いい?」
 言葉の意味するところをさとって、香寺が悲鳴のような声を発する。
「だ、駄目だ! それは絶対に駄目だ!」
 望は笑い出しそうになった。
「今さら、何を言っているんですか? もうすでにこんなことをしているではないですか? ねぇ、いいでしょう?」
 香寺の耳元にさらに顔を近づけ、望はふたたび囁いた。
 俺、先生の初めての男になりたい……。
 香寺の身体が硬直したのが知れた。
「な、なんて恐ろしいことを……! 君は、わ、私を抱くつもりなのか? か、仮にも君にとって師となる私を?」
「俺と先生はもうこんなことをしている関係じゃないですか?」
 俺という一人称を使うと、大人になった気がしてくる。望はさらに気強くなって、大胆なことを口にした。
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