昭和幻想鬼譚

文月 沙織

文字の大きさ
94 / 190

征服者の夢 七

しおりを挟む
「ああ……、先生、いい……すごく、いい」
 歓喜にうめく望とは対照的に、香寺の声は悲痛だった。
「やめ、やめてくれ、頼むから、もう……!」
 望は止めるどころか、さらに激しく身体を相手に押し付ける。
「先生、いいでしょう? 気持ちいいでしょう?」
「く、苦しい……、頼むから、もう……」
「嘘をつかないで」
 背後から望は香寺の股間をまさぐった。
「ほら……、先生だって」
 香寺の分身を手で撫でつつ、もう片方の左手は香寺の胸に伸ばす。
「ああ……!」
 香寺が切なげに喘ぐ。
「先生、どうですか? 気持ち良いでしょう?」
 かたくなに首を横に振る香寺に、望はいらだつと同時に満足した。
 この期におよんでも頑固なほどに潔癖で融通のきかない香寺が、憎らしくもいじらしいい。
(めちゃくちゃにしてやりたい)
 そんな衝動に突き動かされ、望は腰を激しく押す。
「はぁっ……!」
 香寺が四肢をこわばらせて、恐怖を訴えるが、かまわず、望は男の本能にしたがった。
「ああっ……、あー!」

 声はどちらのものだったのか。もしかしたら二人同時に叫んでいたのかもしれない。
 しばしの沈黙。
 やがて、全身がしびれるような快感の波が、まだ幼い望の身体にかけめぐった。
 望は自分がはじけたことを知った。
 ほぼ同時に、香寺もはじけていた。
 望は夢のなかを数秒さまよった心持ちだ。
 遠くから香寺のすすり泣く声が聞こえてくる。実際には望の腕のなかで泣いているのだが、その声は望には遠い。
 望はなにも言わず、相手のあたたかな身体を抱きしめた。
(俺のものだ……)
 心の内でも〝俺〟と自分を呼び、一人前の男として香寺を抱きしめる。
 このとき、完全に香寺は望の獲物となった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

身体検査その後

RIKUTO
BL
「身体検査」のその後、結果が公開された。彼はどう感じたのか?

処理中です...