昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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再生の日 五

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 二人ならんで田舎道を歩いていても、望よりも動きが機敏な気さえする。それでいてなんともたおやかな雰囲気なのだ。
 複雑だが、祖父が執着する気持ちがわかる。だが、朝の空気に女の脂粉のかおりがまじってきて、やはり好もしいとは思えない。
 それなのに、つい目を引かれる。
 別荘へ着くころになっても、玉琴の顔には汗のひとつも浮かばず、疲れも感じられない。
 望が先に門をくぐり、石畳の道をすすんで屋敷へ入っていく。打ち水をしていた下女の文が気づいて会釈した。
「望さま、お帰りなさいませ。あの……そちらの方は?」
 文は珍しい生き物でも見るような目を玉琴に向けている。
「ああ、玉琴……さんだよ。都にお客様だと伝えてきて」
 言われた文はあわてて都へ伝えに行った。
「おじゃまいたします」
 玉琴は迎えを待とうともせず、草履を脱ぎ、三和土たたきのはしにそろえて、上りこむ。
 ちょうど都が迎えに出てきた。
 望は、廊下の奥からあらわれた都を見て、思いいたった。
 玉琴は誰かに似ていると思っていたが、それは都だったのだ。
「あら、姐さん、お久しゅう」
 都とは面識があるようで、旧知の人との再会をよろこんで玉琴は笑顔を見せるが、どこかわざとらしいものがある。
「お久しぶり」
 都の表情も固かった。
 無理もない、今日明日にでも当主の崇が身まかろうというときに、かつての愛人が訪ねてきたのだ。薄暗い玄関に浮かぶ白い顔は、苦々しげに歪んでいる。
「旦那様がご病気で危ないと聞いて、いてもたってもおれず、思いきって伺いましたのよ」
「それは……はるばる京からご苦労様なことで。ようこそ、と言いたいところですけれど、今日のところは帰ってもらえませんか?」
 玉琴は眉を寄せた。だが、唇は笑っている。美しいけれど太々しい横顔に、一瞬、望は気をひかれてしまう。
「殺生やわぁ、玉虫さん。あたしとあんたの仲やないのぉ?」
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