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儀式 一
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「明後日、相馬家爵位襲爵の義をおこなう」
「え……?」
奇妙な言葉に,望は目を見開いた。
「望、おまえは明後日、襲爵の義をおこなって、相馬の当主となる。その日から、おまえは別のおまえになるのじゃ」
祖父の濁った目が、にぶく光った。
なにか言わねばと思うものの、祖父に見つめられ、引き寄せられるようにその目を見返していると、開きかけていた口は閉じてしまった。
身体が熱っぽくなったかと思うとだるくなり、こんなときだというのに、望はぼんやりとしてきた。
「よいな、望」
望は、相馬家の次期当主となることを承諾していた。
「まぁ、おそらくこういうことになるとは思っていたがな」
食堂で勇は都が淹れた紅茶を一口飲み、眉をしかめてマイセンのカップを受け皿に置いた。
「やはり俺は紅茶より緑茶が好きだな。仁は珈琲か?」
テーブルをはさんで、望は仁と向かいあう形で座っている。すぐそこに仁がいるのが、うれしくも恥ずかしい。普通の少年とは違ってしまったが、やはり望も恋する少年であることは変わりないのだ。
「そうだな。紅茶よりかは好きだな」
この別荘での、以前のことがあるせいか、仁は始終目を伏せ、望を見ようとはしない。
その表情から、かくしきれない羞恥心が感じられて、望は胸が熱くなる。仁はどこまでも好もしい人だ。
(忘れていないんだ。……あのときのこと……当たり前だけれども)
ついうかがうような目つきをしていたらしく、仁は望の視線を意識して目をそらす。
「今年は……芸者でも呼ぶのかね」
勇の言葉に、仁は目を伏せたまま答える。
「さぁ……」
「望、代替わりの儀式がどんなものか、兄貴から聞いたか?」
「え……? 何も聞いていないけれど」
「え……?」
奇妙な言葉に,望は目を見開いた。
「望、おまえは明後日、襲爵の義をおこなって、相馬の当主となる。その日から、おまえは別のおまえになるのじゃ」
祖父の濁った目が、にぶく光った。
なにか言わねばと思うものの、祖父に見つめられ、引き寄せられるようにその目を見返していると、開きかけていた口は閉じてしまった。
身体が熱っぽくなったかと思うとだるくなり、こんなときだというのに、望はぼんやりとしてきた。
「よいな、望」
望は、相馬家の次期当主となることを承諾していた。
「まぁ、おそらくこういうことになるとは思っていたがな」
食堂で勇は都が淹れた紅茶を一口飲み、眉をしかめてマイセンのカップを受け皿に置いた。
「やはり俺は紅茶より緑茶が好きだな。仁は珈琲か?」
テーブルをはさんで、望は仁と向かいあう形で座っている。すぐそこに仁がいるのが、うれしくも恥ずかしい。普通の少年とは違ってしまったが、やはり望も恋する少年であることは変わりないのだ。
「そうだな。紅茶よりかは好きだな」
この別荘での、以前のことがあるせいか、仁は始終目を伏せ、望を見ようとはしない。
その表情から、かくしきれない羞恥心が感じられて、望は胸が熱くなる。仁はどこまでも好もしい人だ。
(忘れていないんだ。……あのときのこと……当たり前だけれども)
ついうかがうような目つきをしていたらしく、仁は望の視線を意識して目をそらす。
「今年は……芸者でも呼ぶのかね」
勇の言葉に、仁は目を伏せたまま答える。
「さぁ……」
「望、代替わりの儀式がどんなものか、兄貴から聞いたか?」
「え……? 何も聞いていないけれど」
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