昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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月下凌辱図 三

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 仁の腰の布の前方は、ぐっしょりと濡れていた。
「ああ……本当に、こんなに綺麗なのに、仁さんはなんて浅ましく、淫らなんだろう」
 望の口調はうっとりとしたものになっていた。仁をおとしめる言葉を吐きながらも、声には崇拝と憧憬がにじんでいる。
 愛しく思う人を辱めずにはいられないへきを背負った自分は、やはり少し狂っていると自覚する。だが、それならば真の快楽というものは、どこか狂わなければ得られぬものなのかもしれない……。そう望は結論づけ、狂っている自分を幸せだと思った。
(そうさ……。こんな楽しみを得られるのだもの)
 仁を近くの岩を背にするように追い詰めるようにして、勇と二人がかりでさいなみ、美しい肉体を責めつづけた。
「ああっ……、あっ……、ああ! あああっ!」
 仁が頂上までのぼりつめた声をあげると、休む間もなく、望は勇と交代するかのようにして、仁の胸をいじっていた手を股間に伸ばす。
 勇は逆に仁の胸元をまさぐる。
 いつしか仁はつかんでいた自らの裾から手をはなしていた。脱げかけていた浴衣は、花びらが散るように身体から落ちかけている。帯はひどく乱れ、今にも浴衣はくずれそうだが、それでも脱げ落ちず、仁の身体の半分を隠している。
 半裸の身体は二人に責めあげられ、汗にぬれて月夜に妖しい影をつくる。
 闇に浮かびあがるその姿は、なんともいえない妖美感に満ちあふれていた。
「そんなに濡らして……。気持ち悪いでしょう。脱がしてあげますね」
「い、いや……!」
 脱がされたあとのことを想像して仁は首を横に振る。夜光に濡れた目が悲しく光る。かまわず望はかがみこんで、結び目をほどこうとした。
「うまくできないな。少し待ってください」
「うっ……」
 望はわざともたもたした手つきで、ゆっくりと下帯を脱がしていく。
「あ……」
 ある程度ほどくと、すこし力を入れて引っ張っただけで、最後の花びらが落ちるように赤い布は岩の上に落ちた。
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