昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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月下凌辱図 五

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「や、やめてくれ……、頼むから……」
 かぼそい声で訴えられても、望は情にもろくはない。
「駄目です。さぁ、腰を突き出して。嫌だというなら、ここで四つん這いにさせますよ」
 さらに望は低い声で囁いた。
「牛雄に手伝わせますよ。あいつの前で獣のような格好を強いられるのは嫌でしょう?」
 仁は絶望的な表情になった。
「君は、君は……狂って……狂いかけているんだ」
 仁の顔に香寺が一瞬かさなった。
 一瞬、望の心は弱くなるが、欲望はさらに盛る。
「そうです。僕は狂っている。でも、それはあなたたちの……いえ、あなたのせいでもあるのですよ。さぁ、後ろを向いて。僕にお尻を突き出すようにしてください」
 仁は悲しげに眉を寄せてつぶやくように訴える。
「で、できない……ゆるしてくれ」
 これほど醜態をさらし、昼にも身体を幾度となく征服されたというのに、崩れきれることのない相手の清廉さが愛しい。愛しくて、さらに欲しくなる。望は勇に目配せした。
 心得たように勇が仁の身体を組み伏せる。
「ああっ……、ゆ、ゆるして……」
「この期におよんで、まだ逆らうのですね。困った人だ」
 年齢が逆転したような会話を交わし、望は仁の背後に立った。
 勇がさらに仁の上半身を押さえつけるようにして、腰を出させる。
 もはや剥き出しになった汗に濡れた臀部に、望は手を添えた。
「うっ……い、いや……!」
「あなたの菊の蕾はかたくなだから、まずはじっくりほぐしてあげますね」
 何度も身体を交わらせているが、望は年齢に似合わぬ慎重さで、仁の身体を開かせるのに細心の注意を払ってきた。
 けっして傷つけないように、痛みをあたえないように、と。挿入にともなう苦痛をやわらげるための努力は惜しまなかった。また、そうやって自分が仁の身体を気遣っていることを、なるべく悟らせないようにもしてきた。
 仁とこうなってから、いや、香寺を抱いたときから、必要以上に露悪ぶるようになっているのは、子どもあつかいされたくない反動かもしれない。
 そして、今も……。
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