昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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月下凌辱図 十一

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 獣のように息を荒くして、牛雄は膝をつくと、仁の脚にしがみつくようにして顔を押し付けた。
 醜い獣が、麗人を凌辱しようとしている。見るに堪えないような、それでいて見ずにいられない光景だった。
「あ……! ああ!」
 勇の手ははなれたものの、牛雄の舌からは逃れられず、仁は近くの岩にしがみつよくようにして、腰を牛雄に差し出すかたちになった。
「い……、いや」
 執拗に太ももを舐めていた舌は、どんどん這い上がって、仁がもっとも触れてほしくない箇所までいく。
「うっ……! うう!」
 巨大な蛞蝓のような舌が、あさましくも仁の蕾を蹂躙する。
「やめっ……やめろぉ……!」
 はぁ、はぁ、と息を切らしながら、仁は苦しげに眉を寄せ、のけぞるように背をしならせる。
 全身で嫌がっているその様子がまた男たちを煽るのがわからない。わかっていたとしても、そうせずにはいられないのだろう。
「やめて! も……、もぉ、やめて……」
 命令は、すでに哀願になっていた。
 望はそれ以上のことを牛雄にゆるす気はないが、そのあと仁がふたたび気を放つまで舌で責めることは止めなかった。
 狂おしい夏の夜、ほのかな月光に照らされ、仁は下卑た男の舌で嬲りぬかれ、恥ずかしい姿を望と勇のまえに晒しつづけるしかなかった。
「ああっ……! いやっ……! いやっ……!」
 
 こうして、望の十六歳の夏の夜は過ぎていった。


 望が自分の変化に気がついたのは、滝の近くで過ごした夜からわずか数日後のことだった。
 奇妙な違和感を覚えるようになったのだ。
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