紅蓮の島にて、永久の夢

文月 沙織

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攫われた花婿 二

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「まぁ……、今後のことは私が口出しすることではないな」
「そう。あんたは黙って言われたことをしていればいいんだよ。ああ、島についてからが楽しみだな」
 くくくくく……。
 最後にアレクサンダーの耳に聞こえたのは、ひどく耳障りな笑い声だった。
 そのあとしばしアレクサンダーの意識は闇に落ちていった。
 再度落ちた闇の底は居心地が良く、ずっとこのまま沈んでいたいような気になったが、やがてアレクサンダーは現実世界に引き戻されることになる。
 それは彼が想像しえなかった過酷なものとなることを、このときアレクサンダーはまだ知らなかった。


 完全に目が覚めたとき、まず目に映ったのは、ひどく殺風景な部屋だった。
 自分が寝ていたのは簡素な寝台で、はたには粗末な台があり、水差しとコップだけが置かれていた。その水差しもブリキで、カップも洗ってはあるのだろうが、白い陶器の安物だ。生まれたときから高価なものに囲まれて育ったアレクサンダーには、その狭い部屋がひどく異質な世界に思えた。
 古い病室か、警察署の尋問室のようだと、まだぼんやりする頭で思った。
 だるい身体でどうにか身を起こすと、白い壁が目に入る。いや、もとは白だったが、いまは燻られたように灰色に見える。
(ここは……どこだ?)
 病室か。あのとき自分は怪我をして病院に収容されたのか。
 そう考えた次の瞬間、その考えを自分で打ち消した。
(ちがう。私は怪我をしたのではない。あのとき……、そうだ、ヴルブナに注射を打たれたのだ)
 しかしここが病室であることは違いない。その証拠にますますアルコール消毒と薬品のような匂いを強く感じる。
 アレクサンダーは自分が寝間着のような白い服を着せられていることに気づいた。男女共通のようなものだが、中世の修道士の貫頭衣に似ている。それ一枚で、どうやら下着も身につけていないことにもすぐ気づいた。
(私は……治療か手術を受けたのか) 
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