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 しかも、這いつくばるようなラオシンの背後には、これまた宮殿でも五本の指に入るほどの美童と言われていたアラムが、あられもない真似をして、歳ににあわぬ卓越した性技で年上の主を攻めたてているのだ。
「ラオ、可愛い……余のラオ」
「うっ!」
 くりくり、と張りついた薄衣越しに左胸の突起をアイジャルが指でいじめた。
「可愛い。本当に食べてしまいたいほどじゃ」
 これほど残酷なことをしておきながら、何食わぬ顔でそんな睦言むつごとを吐くアイジャルに、ラオシンの悔しさは倍増した。
「や、やめ……ろぉ」
「何を恥じらう? 我慢するでない。アラムの舌で遂くのがそれほど嫌なら、余が手伝ってやろうか?」
「は、はなせ!」
 ラオシンがなけなしの力で首を振ると、跳ねた黒髪が、アイジャルの髪とふれあう。二人とも今は長髪なので、そうしている様は女同士がたわむれあっているようにも見え、いっそう周囲の目を楽しませる。
「それ、どうしたのじゃ、ラオ?」
「いや、いやだ!」
 ラオシンは、さすがに五百年つづいた王朝の末裔として意地を見せた。
 だが、首を振って歯をいっそう食いしばるラオシンを見つめるアイジャルの目は、笑いながらも不穏なものを秘めてくる。
「強情じゃのぅ」
 こちらは王家の直系としての威厳に満ちている。
「アラム、何をしておる? ラオが待ちくたびれて泣いておるぞ」
 くぐもった返事のようなアラムの声が響くと、ラオシンは絶叫した。
「あっ、あっ、ああああっ! いっ、いや、も、もぉ、やめろ! あっ、駄目だ! いやだぁぁぁ!」
 無我夢中になってしまったラオシンは、最後に自分が漏らした言葉を他人の声のように聞いていた。

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