解放

かひけつ

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終章

繋げ②

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☆sideシン
今にも消えてしまいそうな背中を見て声をかける。

 〔もう、帰らないとだな…〕

 「そうじゃな…」

 〔お別れは済んだのか…?〕

 「……ふっ…もちろんじゃよ…」

ケイトは振り返らない。

 〔…〕

 「あの子らはどうじゃ……」

』とは、おそらく、ケイトの『器』として生まれたとグルバンの『器』として生まれたのことだろう。

 〔…さっき見てきたよ。みんな適応してる…安心してくれ〕

 「……そっか……」

 ふぅーーーーー

ケイトは上を向いて長く息を吐く。ケイトにとって、地球でする最後の深呼吸になるのかもな、なんて考えてしまう。

 〔…グルバンは先に召されたよ。これ以上こっちにいたら、危なかったからな…あいつ〕

 「…あれだけ頑張ったからのぅ……当然じゃな」

オレらは浮かび上がりながら話を続ける。

 「さて…逝きながら話さない…?」

 〔……おう〕

 「うまくいったのぅー……ヤイグの処分は」

 〔まぁあいつが広げたクローンだったが、ほぼ全部『吸収』させるってのはみんなハッピーな感じでよかったよ〕

 「クローンに性格操作や肉体操作に始まり、罪悪感や復讐心をどっかにあったのが爆発したこと、同様の感性を持つ者が多く、『統合』、『吸収』に適してたこと…あとは、運が良かったわね」

 〔『神出鬼没エンターテイナー』、『パーフェクトボディー』、『オリジナルアピス』、『アウトロールピカ』、『人間的合理性スマート』、『不死アンバランス』、『真霊』はうまくやっていけたらいいが……こう考えると多いよな〕

 「『ネームド』以外から声が上がらなかったのは、ちと意外じゃったな…。自由意志じゃから、止めれんかったし…意志が固かったからのぅ…」

 〔……あぁ…〕

それはそうだなとしか思えないのだが……、本当に意外と思ってるかも怪しいのがケイトマジックだ。

 「はて、リンの寿命は確定してるかえ?」

 〔…オレの異能を完全解放して、みんなの『祈り』をエネルギーに変えたろ……。アレをいじったりして、代償なしだよ〕

 「ダウト…」

 〔……いや、マジでこんなんだぞ…?〕

 「うむ。リンの余命はそうじゃろな。を聞きたいんじゃ」

鋭い。

 〔…結論から言うと、代償なしってくらいだぜ?順番が前後するだけでさ〕

 「そんなことだとは思ったわ」

 〔…ケイトの方こそ、やばかっただろ……〕

一番、現世に長居した霊はソウだが、その次はケイトだ。誰より素質センスがあるとは言えケイトもだいぶ無理をしていた。上昇を続けていたケイトが止まり、頭を下げる。

 「助けていただき感謝申し上げますわ」

 〔…ケイトって謝罪似合わないな…〕

 「悪かったねぇ…」

こっちが冗談の取り間違いを感じ気まずさを顔に出すとニヤつきながら顔をあげる。若干翻弄される。

 「わてと言うより…あの子たちじゃよ…」

 〔あの子ら…ね…〕

ケイトの『魂』を守ったに対してそう思っているのだろう。

 「こうしてれるのも…助けた子たちが支えてくれたからじゃのぅ……」

 〔そうだな…〕

遮ってアレだが、子供だけってわけではなかったが、ケイトにとっては、みな子供同然だったのだろう。分身を大量に用意できたのも、異能を非常識な範囲で使えたのも、支えがあってのこと…支えがあってもできるもんじゃないけどな。

 「正義感などなかったって伝えても、止めてくれんくての。みなの『魂』も新品同様じゃったからのう、無理したんか思ってたとこじゃ」

 〔そ…っか…〕

相槌はする。

 ケイトは自身を正義と認めない

科学を発展させたのも、医学に進んだのも、才能があって、環境があって、できるからしてるだけ。しなきゃいけないからしてるだけ、という意識が染み付いて、ソレを善しとしない。

 <まぁ、他人ひとがする分には、それでもいいと許容するくせに自分の時は『善性がないクズ』と卑下する傾向がある>

龍成が同年代にいたら、「考えすぎ…じゃないかな」と正してくれただろう。グルバンは残念ながらそういうことは不向きだ。アドバイスやらがあればケイトのために成長することにはするだろうが。

 〔オレが言えたことじゃないが…あんま気にすんな。道を示してくれたのは、ケイトが突き進んだからだろ〕

 「…そうじゃな…次があるなら、もっとうまくするとしよう」

 <ん?あまり変わって無くないか?>

 「…本当に…感謝しておるからの…シン」

 〔…なんだよ、改まって…〕

ビュオーー

 「………」

天気は快晴。真下は昼時で太陽は真上。ケイトを見上げるような形で、いつも以上に透けているから幻想染みたオーロラを連想する。

 あ り が と う

口は動き、最後に笑って会釈をする。直接聞こえたわけじゃなかった。ただ、コマ送りのようにスローモーションに映って忘れられない。

 これまでの苦労が溢れ出して止まらない

オレの歪み始めた視界にはケイトはおらず、静かに涙を拭う。が認められて…少し報われた気がした。そんな自分に威厳がないなと冷淡な自分もいはしたが、これ以上ない幕引きだ。

 そう、オレの物語の幕引き

まだ、エンドロールは終わっちゃいない。ハッピーエンドを満喫するくらいの贅沢は当然、許されるべきだろ。
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