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明日美
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放課後、マック寄って帰ろ、と、私の席までやってきた志奈子と和紗に、私は、ごめん、と手を合わせた。
「今日は無理。お母さんと悠ちゃん家にいるんだ。」
今頃二人は多分、夕飯の支度なんかしているんだろう。私も早く帰ってそこに参戦したい。悠ちゃんだけ学校をさぼってもおとがめなしなのも納得いかなかった。日ごろの行い、なんてお母さんは言うし、確かに私は悠ちゃんみたいに成績良くないけど。
「まーた悠ちゃん?」
くるくるときれいに髪を巻いた志奈子が、不満そうに頬を膨らませる。ここ最近付き合いが悪い自覚がある私は、ごめんごめん、とぱんぱん手を合わせるしかない。
「しょうがないよ。志奈子、行こう。」
和紗は志奈子をなだめるみたいに微笑んで、私の合わせた手の間にふざけて拳をねじ込んだ。
「だってさ、この前のコンパも悠ちゃんが嫌がるからってこないし。明日美はブラコンだよ。悠ちゃんコンプレックス。」
「ごめんって。また誘って。次は行くからさ。」
「明日美、悠ちゃん好きすぎ。ちょっと怖いくらいじゃん。」
「志奈子、行こう。」
志奈子は寂しがり屋で、ちょっとだけ絡み癖みたいなのもある。それを知っている私と和紗は、しょうがないね、と、目を見合わせて、志奈子を挟んで手を引き、教室を出た。
「悠ちゃん悠ちゃんって、兄妹なんだから、ずっと一緒なんだから、別にいいじゃん。」
「ごめんごめん。」
苦笑いをしながら、私は志奈子の手を引っ張って廊下を歩き、靴を履きかえ、校庭に出た。よく晴れた秋の空。くっきりと青くて、雲ひとつない。校庭は、下校途中の生徒でごった返していて、でもその中に悠ちゃんはいない。当たり前のことで、私にとっては一番肝心なことだ。でもそれは、ちょっと怖いことなのだろうか。
胸がざわざわした。なにか、気が付いてはいけないことに気が付いてしまいそうな感じだった。それに気が付いてしまったら、ぐるりと世界が反転してしまうようなことに。
校門を出たところで、私は志奈子と和紗と別れた。
「ごめんね、また明日ね。」
「うん。またね。」
和紗は笑顔で手を振ってくれたけれど、志奈子はちょっとふてくされたみたいな顔をして、黙ってくるりと背を向けて行ってしまう。
「志奈子、明日ね!」
反転しかけた世界がひっくり返らないように、慎重に重しをかけながら、私は駅までの道のりを一人で歩いた。
「今日は無理。お母さんと悠ちゃん家にいるんだ。」
今頃二人は多分、夕飯の支度なんかしているんだろう。私も早く帰ってそこに参戦したい。悠ちゃんだけ学校をさぼってもおとがめなしなのも納得いかなかった。日ごろの行い、なんてお母さんは言うし、確かに私は悠ちゃんみたいに成績良くないけど。
「まーた悠ちゃん?」
くるくるときれいに髪を巻いた志奈子が、不満そうに頬を膨らませる。ここ最近付き合いが悪い自覚がある私は、ごめんごめん、とぱんぱん手を合わせるしかない。
「しょうがないよ。志奈子、行こう。」
和紗は志奈子をなだめるみたいに微笑んで、私の合わせた手の間にふざけて拳をねじ込んだ。
「だってさ、この前のコンパも悠ちゃんが嫌がるからってこないし。明日美はブラコンだよ。悠ちゃんコンプレックス。」
「ごめんって。また誘って。次は行くからさ。」
「明日美、悠ちゃん好きすぎ。ちょっと怖いくらいじゃん。」
「志奈子、行こう。」
志奈子は寂しがり屋で、ちょっとだけ絡み癖みたいなのもある。それを知っている私と和紗は、しょうがないね、と、目を見合わせて、志奈子を挟んで手を引き、教室を出た。
「悠ちゃん悠ちゃんって、兄妹なんだから、ずっと一緒なんだから、別にいいじゃん。」
「ごめんごめん。」
苦笑いをしながら、私は志奈子の手を引っ張って廊下を歩き、靴を履きかえ、校庭に出た。よく晴れた秋の空。くっきりと青くて、雲ひとつない。校庭は、下校途中の生徒でごった返していて、でもその中に悠ちゃんはいない。当たり前のことで、私にとっては一番肝心なことだ。でもそれは、ちょっと怖いことなのだろうか。
胸がざわざわした。なにか、気が付いてはいけないことに気が付いてしまいそうな感じだった。それに気が付いてしまったら、ぐるりと世界が反転してしまうようなことに。
校門を出たところで、私は志奈子と和紗と別れた。
「ごめんね、また明日ね。」
「うん。またね。」
和紗は笑顔で手を振ってくれたけれど、志奈子はちょっとふてくされたみたいな顔をして、黙ってくるりと背を向けて行ってしまう。
「志奈子、明日ね!」
反転しかけた世界がひっくり返らないように、慎重に重しをかけながら、私は駅までの道のりを一人で歩いた。
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