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第一章
攫われたアーネスト(改)
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「クリス様、またお胸が育ったのではありませんか?」
「やっぱりハンナもそう思う・・・?」
朝の着替えの時間、最近ドレスがきつくなり太ったかと思っていたら、どうも胸が大きくなりつつあるようだ。詰め物をしなくてよくはなったが、このままではドレスが入らなくなる。
「コルセットで締めたらどうかな?」
「コルセットで胸を締めるなんて聞いた事がありませんよ。それにそんな事をしたら胸の形が崩れてしまいます」
考えてみると、妹達も結構立派な胸をしている。クリスの胸も今は普通より少し小さめだが、これからまだまだ大きくなりそうだ。
「お見合いもまとまったし、ヘルマプロディトスに帰ろうかな」
「え・・・!?」
「何、その『え・・・!?』は」
「グリフィス様がお許しにならないような気がして」
「私は監禁されている訳ではないのだけど」
「それはそうですが」
「大体、お見合いが上手くいって結婚することが決まったのだから、帰るのが普通じゃない?」
話しながら、居間に移動すると、アーネストが声をかけてきた。
「おはようございます。クリス様、どうかなさいましたか?」
「おはようアーネスト。ヘルマプロディトスに帰ると言ったら、ハンナが無理だと言うから」
「無理ではありませんが、グリフィス様がいい顔はしないかもしれませんな。帰国予定まであと一週間、それまで滞在したらいかがですか?」
「ふ・・・ん・・・」
「どうなさったのですか? クリス様もグリフィス様に好意を寄せていらっしゃいますよね。国に帰ったら遠方でもありますし、なかなか会えなくなりますぞ?」
「そうなんだけど・・・グリフィスの仕事が忙しくて」
「はい」
「私の為に時間を取って相手をしてくれるから、そのしわ寄せで夜遅くまで仕事をしているみたいで、何か申し訳なくて」
「あと一週間ならいいのではありませんか? クリス様の為に無理をしたいのですよ」
「それだけではないの・・・最近、グリフィスをいつも以上に意識してしまうの」
「それは、異性として、ということですか?」
クリスがこくんと頷いた。
「それで何かまずい事があるのですか?」
「前はそんな事がなかったのに傍にいるとドキドキしてしまうし、グリフィスの一挙一動が気になって目で追ってしまうの」
「いいではありませんか。何がいけないのですか?」
「見ているのを気付かれて微笑まれるのよ!? もう恥かしくて! それになぜか頭が働かない上に緊張して、間抜けなことを言ってしまいそうになるの。話と全然関係がない馬鹿らしいことを。このままだとその内きっと、愛想を尽かされるわ」
「クリス様、それが恋です」
「これが恋・・・?」
「そうです。傍にいるとドキドキして、相手の言動が気になり、好きだからこそ失敗したくなく、相手の前だと緊張してしまう。これ全て恋のなせる技」
「でもグリフィスは前と変わらないけど・・・落ち着いているし」
「そうでもないですよ、クリス様がランダルに襲われた時は相当でしたし、ヴァネッサの件で帰国しようとした時なんて、血相を変え、船の出航を遅らせてまで追ってきたではありませんか」
「馬鹿なことをしても、愛想を尽かされない?」
「絶対に尽かされません。特にグリフィス様がクリス様にはあり得ません。これで安心されましたか?」
「あと・・・」
「まだ何かおありですか?」
「私の身体が、全体的に前より華奢になって、胸も・・・大きくなってきて、何だか恥かしいの。グリフィスは私より身体が大きいし、その――引き締まっていて・・・傍にいると自分との違いを酷く意識して、落ち着かない気分になるの」
クリスは紅くなった。
「女性は意中の相手が傍にいたら、そのように感じると思います。ましてやクリス様は今、女性化しつつありますよね? 急激に女性ホルモンが活性化している辺りも関係しているのでしょう。しかし・・・女性化しつつあるという事は、グリフィス様がお好きで、それに影響されてのことですよね? ならば、グリフィス様から熱い抱擁を受けたい、あの逞しい身体に組み敷かれたいとも思われるのではありませんか?」
クリスの返事がないので、アーネストが顔を上げると、ソファの背もたれに横になるように寄りかかり、顔を真っ赤にして、ハンナにパタパタと扇いでもらっている。
「想像してオーバーヒートしたようです」
「オーバーヒート・・・」
これで無事婚約できるのだろうか・・・と思いながらも、アーネストはクリスを説得し、予定の帰国日まで滞在することになった・・・が。
「グリフィス様、手が止まっていらっしゃいますが考え事ですか?」
レオナルドに声を掛けられて我に返る。
「あ・・・? ああ、何でもない。シュタインの新店舗の出店に関する契約書だったな」
「いいえ違います。街道の整備に関する報告書です・・・一体どうなさったんですか? お疲れならクリス様のお顔を見てリフレッシュしてきたら如何ですか?」
グリフィスが小さい声で呟いた。
「それができないから、イライラしている」
「何か仰いましたか?」
「いいや、何でもない。さあ、報告書を読んでしまおう」
クリスの滞在期間がもう一週間を切っている。それなのにこの頃避けられている気がする。いや、`気‘ ではない、完全に避けられている。
昨日は湖水地方に連れて行った。風光明媚な景色にさぞや喜んでくれるだろうと自分も楽しみにしていたのだが・・・いや、実際喜んではくれたのだが・・・プリシラも付いてきた。
プリシラは可愛い妹だ。普段ならグリフィスも大歓迎だが、帰国の日も近いのに正直二人きりで行きたかった。そう、これはデートなのだ。どこの国に妹が付いてくるデートがある。
それもプリシラはクリスが誘ったのだ。『人数が多いと楽しいわね』と――
プリシラもクリスが大好きなので、非常に楽しそうだった。
しかしなぜだ・・・? 婚約もまだだから、付き添いが必要だとでも思ったのか? 彼女の父親、ヘルマプロディトスの国王からは、押し倒してもいい許可が出ているので、そこら辺は心配いらないと思うのだが・・・
そして今日の昼食後、部屋まで送ろうとしたらあからさまに避けられた。『仕事が忙しいでしょう? 一人で帰れるから大丈夫――』と、今は唇はおろか、手にキスもできない状況だ。
グリフィスがガタッと席を立った。
「クリス様の所ですか?」
「ああ、ちょっと行ってくる」
何となく二人の様子を察しているレオナルドは、敬愛するグリフィスのためと、仕事の進みが早くなるためにも、クリスとの仲が上手くいく事を祈りつつその後ろ姿を見送るのであった。
クリスの部屋の扉がノックされた。ハンナが小さい声を出す。
「あのノックはグリフィス様ですよ」
「よく分かるわね」
「はい、ここ何日か誰かさんのお陰で何回もいらっしゃってますから」
クリスが口ごもりながら紅くなる。
「悪いけど・・・出れないと言って・・・」
「ハンナばかりじゃ可哀想だ。どれ、私が出ようか」
アーネストが応対に出ると、入り口から声が聞こえてきた。
「グリフィス様、申し訳ありません、クリス様は・・・えっ、えっ? 何を!? えーーー!!」
その後しーんとなった。クリスとハンナで恐るおそる様子を見に出る。そこに二人の姿は無くアーネストの靴が片方だけ落ちていた。
「やっぱりハンナもそう思う・・・?」
朝の着替えの時間、最近ドレスがきつくなり太ったかと思っていたら、どうも胸が大きくなりつつあるようだ。詰め物をしなくてよくはなったが、このままではドレスが入らなくなる。
「コルセットで締めたらどうかな?」
「コルセットで胸を締めるなんて聞いた事がありませんよ。それにそんな事をしたら胸の形が崩れてしまいます」
考えてみると、妹達も結構立派な胸をしている。クリスの胸も今は普通より少し小さめだが、これからまだまだ大きくなりそうだ。
「お見合いもまとまったし、ヘルマプロディトスに帰ろうかな」
「え・・・!?」
「何、その『え・・・!?』は」
「グリフィス様がお許しにならないような気がして」
「私は監禁されている訳ではないのだけど」
「それはそうですが」
「大体、お見合いが上手くいって結婚することが決まったのだから、帰るのが普通じゃない?」
話しながら、居間に移動すると、アーネストが声をかけてきた。
「おはようございます。クリス様、どうかなさいましたか?」
「おはようアーネスト。ヘルマプロディトスに帰ると言ったら、ハンナが無理だと言うから」
「無理ではありませんが、グリフィス様がいい顔はしないかもしれませんな。帰国予定まであと一週間、それまで滞在したらいかがですか?」
「ふ・・・ん・・・」
「どうなさったのですか? クリス様もグリフィス様に好意を寄せていらっしゃいますよね。国に帰ったら遠方でもありますし、なかなか会えなくなりますぞ?」
「そうなんだけど・・・グリフィスの仕事が忙しくて」
「はい」
「私の為に時間を取って相手をしてくれるから、そのしわ寄せで夜遅くまで仕事をしているみたいで、何か申し訳なくて」
「あと一週間ならいいのではありませんか? クリス様の為に無理をしたいのですよ」
「それだけではないの・・・最近、グリフィスをいつも以上に意識してしまうの」
「それは、異性として、ということですか?」
クリスがこくんと頷いた。
「それで何かまずい事があるのですか?」
「前はそんな事がなかったのに傍にいるとドキドキしてしまうし、グリフィスの一挙一動が気になって目で追ってしまうの」
「いいではありませんか。何がいけないのですか?」
「見ているのを気付かれて微笑まれるのよ!? もう恥かしくて! それになぜか頭が働かない上に緊張して、間抜けなことを言ってしまいそうになるの。話と全然関係がない馬鹿らしいことを。このままだとその内きっと、愛想を尽かされるわ」
「クリス様、それが恋です」
「これが恋・・・?」
「そうです。傍にいるとドキドキして、相手の言動が気になり、好きだからこそ失敗したくなく、相手の前だと緊張してしまう。これ全て恋のなせる技」
「でもグリフィスは前と変わらないけど・・・落ち着いているし」
「そうでもないですよ、クリス様がランダルに襲われた時は相当でしたし、ヴァネッサの件で帰国しようとした時なんて、血相を変え、船の出航を遅らせてまで追ってきたではありませんか」
「馬鹿なことをしても、愛想を尽かされない?」
「絶対に尽かされません。特にグリフィス様がクリス様にはあり得ません。これで安心されましたか?」
「あと・・・」
「まだ何かおありですか?」
「私の身体が、全体的に前より華奢になって、胸も・・・大きくなってきて、何だか恥かしいの。グリフィスは私より身体が大きいし、その――引き締まっていて・・・傍にいると自分との違いを酷く意識して、落ち着かない気分になるの」
クリスは紅くなった。
「女性は意中の相手が傍にいたら、そのように感じると思います。ましてやクリス様は今、女性化しつつありますよね? 急激に女性ホルモンが活性化している辺りも関係しているのでしょう。しかし・・・女性化しつつあるという事は、グリフィス様がお好きで、それに影響されてのことですよね? ならば、グリフィス様から熱い抱擁を受けたい、あの逞しい身体に組み敷かれたいとも思われるのではありませんか?」
クリスの返事がないので、アーネストが顔を上げると、ソファの背もたれに横になるように寄りかかり、顔を真っ赤にして、ハンナにパタパタと扇いでもらっている。
「想像してオーバーヒートしたようです」
「オーバーヒート・・・」
これで無事婚約できるのだろうか・・・と思いながらも、アーネストはクリスを説得し、予定の帰国日まで滞在することになった・・・が。
「グリフィス様、手が止まっていらっしゃいますが考え事ですか?」
レオナルドに声を掛けられて我に返る。
「あ・・・? ああ、何でもない。シュタインの新店舗の出店に関する契約書だったな」
「いいえ違います。街道の整備に関する報告書です・・・一体どうなさったんですか? お疲れならクリス様のお顔を見てリフレッシュしてきたら如何ですか?」
グリフィスが小さい声で呟いた。
「それができないから、イライラしている」
「何か仰いましたか?」
「いいや、何でもない。さあ、報告書を読んでしまおう」
クリスの滞在期間がもう一週間を切っている。それなのにこの頃避けられている気がする。いや、`気‘ ではない、完全に避けられている。
昨日は湖水地方に連れて行った。風光明媚な景色にさぞや喜んでくれるだろうと自分も楽しみにしていたのだが・・・いや、実際喜んではくれたのだが・・・プリシラも付いてきた。
プリシラは可愛い妹だ。普段ならグリフィスも大歓迎だが、帰国の日も近いのに正直二人きりで行きたかった。そう、これはデートなのだ。どこの国に妹が付いてくるデートがある。
それもプリシラはクリスが誘ったのだ。『人数が多いと楽しいわね』と――
プリシラもクリスが大好きなので、非常に楽しそうだった。
しかしなぜだ・・・? 婚約もまだだから、付き添いが必要だとでも思ったのか? 彼女の父親、ヘルマプロディトスの国王からは、押し倒してもいい許可が出ているので、そこら辺は心配いらないと思うのだが・・・
そして今日の昼食後、部屋まで送ろうとしたらあからさまに避けられた。『仕事が忙しいでしょう? 一人で帰れるから大丈夫――』と、今は唇はおろか、手にキスもできない状況だ。
グリフィスがガタッと席を立った。
「クリス様の所ですか?」
「ああ、ちょっと行ってくる」
何となく二人の様子を察しているレオナルドは、敬愛するグリフィスのためと、仕事の進みが早くなるためにも、クリスとの仲が上手くいく事を祈りつつその後ろ姿を見送るのであった。
クリスの部屋の扉がノックされた。ハンナが小さい声を出す。
「あのノックはグリフィス様ですよ」
「よく分かるわね」
「はい、ここ何日か誰かさんのお陰で何回もいらっしゃってますから」
クリスが口ごもりながら紅くなる。
「悪いけど・・・出れないと言って・・・」
「ハンナばかりじゃ可哀想だ。どれ、私が出ようか」
アーネストが応対に出ると、入り口から声が聞こえてきた。
「グリフィス様、申し訳ありません、クリス様は・・・えっ、えっ? 何を!? えーーー!!」
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