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36 先見(さきみ)の力
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「大丈夫ですか? 殿下と喧嘩でもなさったのですか?」
「ここはフォルカー様の執務室ですか?」
本当の事が言えるはずもなく、思い付いた事を口にする。
「はい、そうです。この部屋は見晴らしがよく、有事の際にはいち早く気づいて行動を起こせます。騎士団長であるわたくしには、打ってつけの部屋なのです」
「そうなのですね」
「そうなのです。ところで先ほどの答えは?」
「…………」
(フォルカー様、食いついたら離れない上に、答えを促す圧が凄い。こうやって犯罪者を自白に追い込むのね)
「実は…………、わたくし、さ、先見の力があるのです……!」
「先見の力が?」
「はい」
先見の力とは、将来に何が起こるか見える(予知する)能力である。本当はゲームでやったから知っているだけなのだが……。
「エリカ様にそのような力が……?」
フォルカーは半信半疑のようだ。
今までそういった力の片鱗すら見せていなかったのに、いきなりあると言っても、信じられないだろうとはエリカも思う。
「フォルカー様。もうすぐお姉様の息子さんの誕生日ではありませんか?」
「はい、そうですが、何故それを……」
「積み木の汽車を購入しようとしたけど買えませんでしたね?」
「はい」
「一つキャンセルが出て、買えることになります」
「は?」
フォルカーは可愛い甥っ子のために、いま人気の、積み木で汽車が組み立てられるセットを買おうとした。
だが残念ながら売り切れていて、泣く泣く普通の積み木セットを購入したのだ。
「キャンセルが出たとしても汽車のセットは人気商品なので、俺の番までは回ってこないはずですが…」
一応予約は入れてあるのだが、店の主人には『半年先になる』と言われていた。
「玩具屋の娘さんが男性からつきまとい行為を受けていましたよね? それをフォルカー様が脅し……、注意してやめさせて、玩具屋のご主人はフォルカー様にとても感謝しています。近日中に”皆には内緒で”とキャンセル分を回してくれるはずです」
フォルカーは信じられない思いで、エリカを凝視した。
彼女は積み木の汽車が手に入るという。
そして驚くべきことに、積み木の件も、つきまといの件も、誰にも話してはいなかった。
フォルカーが信じていないと思ったのか、エリカが溜息を吐いて俯く。
「これでは先見の力がある証明にはなりませんね。積み木の汽車はまだ手に入っていないのですから」
「いいえ信じます。俺以外は知らない話ですから」
エリカはホッとして顔を上げた。
これでどうにかごまかせるだろう。
「これから起こることが全てわかるのですか?」
「いいえ。全てが分かる訳ではありません」
「王子から逃げていたのは、その先見の力と関係ありますか?」
「はい。その先見の内容ですが……ダニエル様の結婚式で隣に立っていたのは、わたくしではなかったのです……」
「ここはフォルカー様の執務室ですか?」
本当の事が言えるはずもなく、思い付いた事を口にする。
「はい、そうです。この部屋は見晴らしがよく、有事の際にはいち早く気づいて行動を起こせます。騎士団長であるわたくしには、打ってつけの部屋なのです」
「そうなのですね」
「そうなのです。ところで先ほどの答えは?」
「…………」
(フォルカー様、食いついたら離れない上に、答えを促す圧が凄い。こうやって犯罪者を自白に追い込むのね)
「実は…………、わたくし、さ、先見の力があるのです……!」
「先見の力が?」
「はい」
先見の力とは、将来に何が起こるか見える(予知する)能力である。本当はゲームでやったから知っているだけなのだが……。
「エリカ様にそのような力が……?」
フォルカーは半信半疑のようだ。
今までそういった力の片鱗すら見せていなかったのに、いきなりあると言っても、信じられないだろうとはエリカも思う。
「フォルカー様。もうすぐお姉様の息子さんの誕生日ではありませんか?」
「はい、そうですが、何故それを……」
「積み木の汽車を購入しようとしたけど買えませんでしたね?」
「はい」
「一つキャンセルが出て、買えることになります」
「は?」
フォルカーは可愛い甥っ子のために、いま人気の、積み木で汽車が組み立てられるセットを買おうとした。
だが残念ながら売り切れていて、泣く泣く普通の積み木セットを購入したのだ。
「キャンセルが出たとしても汽車のセットは人気商品なので、俺の番までは回ってこないはずですが…」
一応予約は入れてあるのだが、店の主人には『半年先になる』と言われていた。
「玩具屋の娘さんが男性からつきまとい行為を受けていましたよね? それをフォルカー様が脅し……、注意してやめさせて、玩具屋のご主人はフォルカー様にとても感謝しています。近日中に”皆には内緒で”とキャンセル分を回してくれるはずです」
フォルカーは信じられない思いで、エリカを凝視した。
彼女は積み木の汽車が手に入るという。
そして驚くべきことに、積み木の件も、つきまといの件も、誰にも話してはいなかった。
フォルカーが信じていないと思ったのか、エリカが溜息を吐いて俯く。
「これでは先見の力がある証明にはなりませんね。積み木の汽車はまだ手に入っていないのですから」
「いいえ信じます。俺以外は知らない話ですから」
エリカはホッとして顔を上げた。
これでどうにかごまかせるだろう。
「これから起こることが全てわかるのですか?」
「いいえ。全てが分かる訳ではありません」
「王子から逃げていたのは、その先見の力と関係ありますか?」
「はい。その先見の内容ですが……ダニエル様の結婚式で隣に立っていたのは、わたくしではなかったのです……」
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